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「ライブは自分の原点。改めて歌の楽しさをみんなで一緒に共有したいと思ってます」

2020/06/29 12:00


国内外のカラオケ大会で数々の栄誉に輝き、メジャーデビューして3年目。
昨年は認知症をテーマにした「愛のカタチ」がロングヒットとなり、日本レコード大賞新人賞にも輝いた。
待望の2ndシングル「素敵な人よ」は、忘れられない愛を尊ぶ失恋のバラードソング。
丁寧な言葉としなやかなストリングスで、また別の角度から聴く人の心を癒やす名曲だ。
自粛期間を経て歌い手としての原点を見つめ直した彼は、さらに優しく、成熟していた。



「音楽ってあらためてすごいと思いました」


――レコード大賞新人賞の反響はいかがでしたか?

そうですね。けっこうたくさんの方に観ていただいて。その後も声をかけていただきました。

――その時とはずいぶん髪型が違いますね。

前髪が登場しました(笑)。

――前作「愛のカタチ」が認知症をテーマにした重い切り口だったので、大人っぽくされていたのかと。雰囲気をガラリと変えてリリースされた2ndシングルは「素敵な人よ」。曲を聴いた時の第一印象は?

一番最初に感じたのは、曲が進むにつれてだんだん壮大になっていくので、それにちゃんと感情の入った言葉が入ったら、すごくいい曲になると思いました。

――主人公は前向きに過去の恋を断ち切ろうとしているという。

過去の恋愛に向き合って、お別れをして、また新しい一歩を踏み出す曲ですね。失恋のバラードソングになってるんです。

――歌う時に心掛けたことはなんでしょう。

やっぱり日本語を、言葉をちゃんと伝えたいっていうのはありました。そういう意味ではまだ29年しか生きてないですけど、自分の恋愛観、価値観を言葉にのせて伝えるようには意識しました。

――歌詞を大切にされてるのはずっしり伝わってきます。ストリングスも効果的ですね。

最初はけっこう落ち着いてるんですけど、歌いながら感情を見せられるような構成になってるんで、皆さんも音楽で自分の気持ちがどんどん引き出されるようなそんなトラックになってるんじゃないかな。

――海蔵さんだけに、これも教えてください。この曲をカラオケで歌うポイントはなんでしょう。

自分は最後のサビで一番感情を持っていきたいので、足し算というより引き算で、最初はどれくらいのテンションで歌うかっていうのは考えます。

――そうか、引き算なんだ。

最初からマックスに歌い続けてもいいんですけど、そうするよりかは、サウンドも後半につれてどんどん上がってくるんで、その盛り上がりとともに感情も盛り上がれるように、最初はちょっと感情を抑えめに。

――1曲がストーリーになってますもんね。

そこに気持ちを持っていくように歌うといいんじゃないかなって。

――「愛のカタチ」では個性派女優のどんぐりさんバージョンも制作され話題になりましたが、今回のMV(リリックビデオ完全版)は光を駆使して透明感があります。

現実なのか、夢の中なのか。時間軸も曖昧な表現になってるんじゃないかなって。

――毎回メガネも違いますよね。

メガネ毎回違います(笑)。メガネ好きなので、衣装に合わせて変えてますね。

――今日はかけてませんね。

いや、メガネありますあります。(かけてみせる)持ってるんです。

――やっぱり似合いますね。ではタイトルにちなんで海蔵さんが考える素敵な人とは。

僕が素敵だなって思う人は、自分の気持ちを素直に表現できて、相手の気持ちを素直に尊重できる人ですね。自分に素直になるのはいいんですけど、思ったことをあまりに表現し過ぎて相手を傷つけたりすることもあるじゃないですか。そこまでいかず、相手の気持ちも素直に認められる人だったら、いい案配で一緒に過ごせるんじゃないかな。

――女性のタイプも同じですかね。

そうですね。あとは表現で言ったら、歯を前面に出して笑う人。ガハハハッみたいな感じで笑ってる人は好きですね。

――続いて「紫陽花」ですが、“夏の日差しを浴びて”“ひと夏の思い出を”というフレーズから、梅雨というより夏に咲く紫陽花をイメージしました。

時期的には6月くらいからですけど、それこそ紫陽花っていうのは花の中でもそんなに主張があるわけではないじゃないですか。しかも紫陽花の花言葉は、“移り気”とか“浮気”なんです。メインをはれる花ではないかもしれないけど、紫陽花の良さを音楽で表現したいと思いました。

――紫陽花って確かに、真花が中に隠れてるんですよね。

そうなんですよ。奥が深いし、植えた場所で花の色が変わり、そういう意味で”移り気”っていう。

――“叶っても同じカタチに見えない”って歌詞も深くて好きです。

あ、2番の。ありがとうございます。

――ずばり、聴き所は?

やっぱりサビを聴いて欲しいですね。大変なんですよ、歌うの。サビの4行は全神経を集中して歌わないと、音程が迷子になっちゃいます。

――それをどう克服しましたか?

サビの部分でメロディをより集中して聴きましたね。けっこう僕、歌う時、自分が先頭で歌ってるイメージがあるんですよ。後ろにメロディがついてきてみたいな。でも「紫陽花」を歌う時は、自分が前というよりかはメロディに寄り添うみたいな。メロディが先導してるような。

――控え目な感じが紫陽花っぽいです。

っぽいですか(笑)。そういう感じで歌っているので。

――「抱きしめて」は厳かなコーラスが印象的です。

イントロのコーラスはなんともいえない浮遊感がありますね。僕も最初はコーラスが耳に残りました。音程差がけっこうあり単調に歌うとつまんないので、浮遊感みたいなのをどう表現しようかなっていうのは結構悩みました。

――ちょっと憂いがあって艶っぽい旋律。今までとはまた違うタイプの曲ですね。

たぶんそうだと思います。こういうジャンルは初めて。どれにカテゴライズされるのかわからないですけど、こういう新しいことにも挑戦させていただけてます。

――そもそも今年はチャレンジしたいとおっしゃってましたね。

いろんなことをできる年にしたいなとは思っていました。

――コブクロの「風」もカバーしています。この曲をセレクトしたのは?

この曲に初めて出会ったのが、僕が中学校1年生くらいの時だったんですけど、母親がコブクロさんのベストシングル盤みたいなのを聴いていまして、その中に入っていたのが「風」っていう曲なんです。出だしの歌詞にぞくぞくっとして。こんな歌詞を考える人の頭はどうなってるんだぁーって(笑)。ちょっと衝撃を受けて、よく聴くようになって。

――コブクロ節が効いてますよね。

ザ・コブクロというか。

――聴くのと実際に歌うのとでは、感じ方が違うと思うんですが。

全然違いました。奥が深いなと。二人で歌ってる曲なので、そもそも1人で歌うのも大変は大変だったんですけど。曲のちょっとはかなさというか、湿り気があるというか、そういうせつない感じの表現をこのメロディの中で表現するのってすごく難しくて。

――ピアノだけのシンプルなアレンジも際立ってます。

実はこの曲は同時で録ってるんです。

――そうなんですか!

もうすごい! 緊張しました。失敗はできないからヒヤヒヤで、いい緊張感の中で歌えました。具体的に言うとその場で歌って、その都度伴奏を変えてっていう練習を3回くらいしてから臨みました。

――今回の制作を経て新たな発見は?

いっぱいありますね。それこそ「抱きしめて」は自分が今まで触れてこなかった音楽だから、新しい世界を覗けた気がします。「風」に関しても一発録りは今までやってこなかったし、「素敵な人よ」に関しては実は最初なかなか上手く歌えなくて、何回も試行錯誤して本番にいったんです。本番はちゃんと歌うっていうのをやめて、自分がその時思ったことをそのまま、子供のようにやってみようと。初めてそういう風に思って歌った曲なんです。

――座右の銘にしてらっしゃっる、『楽しいから歌うのではなく、歌うから楽しい』にも繋がっているような。

ああ、そうですね。感情に身をまかせて、声がひっくり返っても別にいいかなくらいの気持ちでこの曲に関しては歌いました。それはそれで自分が今まで経験してこなかったことを今回の作品でできたなっていうのはあります。

――また一歩世界が広がりましたね。

着実に引き出しが増えるじゃないですけど、音楽って改めてすごいと感じました。


「言葉をちゃんと伝えられる歌い手になりたい」


――9/18にはダイアモンドホールでライブがありますね。

ね、お家時間もけっこう満足したと思うので。そろそろいいかなって。

――もうお腹いっぱいです(笑)。

いっぱいですよね(笑)。やっぱり皆さんの前で歌ってなんぼかなって。

――どんなライブにしましょう。

僕自身、一番最初のはじまりっていうのは、家族の前で歌って褒めてくれたっていうのが歌の原点だったりするんです。そういう意味では直接聴いてくださる方がいないと、そこに立ち返れない。ライブは自分の原点。改めて歌の楽しさをみんなで一緒に共有したいと思ってます。

――社会人だった海蔵さんに、「歌はやらんのか」って声をかけてくれたのもお父さんなんですよね

家族が歌の楽しさ、歌う楽しさを教えてくれたので、家族にも喜んでもらえるといいなと思います。

――地元だからライブには家族も駆け付けてくれるのでは?

そうなんです。それこそ今は両親にも会えていないので、早く会いたいです。

――逆にご自身が行かれるライブはどなたの?

いろんなアーティストさんのライブ観に行くんですけど、去年か一昨年かに、サム・スミスのライブを観に行きました。MCとかはフル英語なので聞き取れなかった部分もあったんですけど、本人がなによりも歌うことが楽しそうで、オーディエンスも各々のリズムで、各々の感じた表現方法で音楽を楽しんでいて、日本のアーティストのライブにはないと感じました。

――海外のアーティストのライブは独特な雰囲気がありますよね。

いい意味で日本のライブは一体感のあるライブが多いんですけど、海外のアーティストは一体感もあるんですけど、それよりも個人がどれだけ音楽を楽しむか、その時間に没頭するかに重点がありカッコいいです。自分のライブも皆さんと一緒に楽しい時間を作りつつ、各々が好きなように音楽に対していろんな迎え方で聴けるライブにしたいなと思ってます。

――参考になりますね。

そうですね。ライブを観た後は自分も歌いたいなって思います。そういう意味では、あらためて歌って素晴らしいなって感じます。

――病院や老人施設にも出向き歌ってらっしゃいますけど、それはこれからも続けていこうと。

最近はコロナの影響で行けないんですけど、落ち着いたら行きたいです。

――ホスピタル王子と呼ばれることに対してはどう受け止めてますか?

僕の名前がそもそも複雑で珍しい名前で、なかなか覚えにくい方もいらっしゃるので、愛称のような呼び名で覚えていただけるんならいいかなって。

――確かに海蔵という苗字の方に今までお会いしたことなかったです。

僕も親戚以外で会ったことないです。

――芸名みたいです。

デビューした時はよく言われました。大御所の歌手が使ってる名前みたいだねって。

――ならば大御所になれば違和感はない。

だから名前が先に行き過ぎちゃって(笑)。全然追いついてなくて。

――地元愛知出身のスイーツ男子でもあります。

スイーツ大好きです。なごやんはめっちゃ食べてました。海老煎餅のゆかりも大好きだし。小学校の頃はういろうとか給食で出て嬉しかったです。

――なんかピックアップするスイーツが渋いですね。

夏、おじいちゃん、おばあちゃん家に帰る時になごやんを買ってましたし、老舗のお菓子が僕は好きですね。

――一時ダイエットをされてたんですよね。今もされてるんですか?

今はちょっと、、あまり、、。人に会わないっていうのはダメですね。緊張感がなくなりますね。

――でも自粛期間もYouTubeでいろんな発信をされてますよね。任天堂スイッチのリメイクとか、ヘッドスパ体験とか。細かく編集もされて。

自分は末っ子で、他の兄弟に比べるとホームビデオだったり、幼少期の写真だったりがあまりにもないんで、過去の自分の記録みたいなものが欲しいなと思って始めたんです。それが結果的にYouTubeに辿り着きました。

――とくに反響があったのは?

いやあ、どうですかねえ。そんなに別にたくさんの人に知ってもらおうと思って始めたわけではなくて、身内にちょっと笑ってもらえるように始めた動画なので。出す度に反応はありますけど。

――素の海蔵さんが出てますよね。

はい、出てます。だいぶ隠さずに。

――自称、熱しやすく冷めやすい性格とおっしゃっていますが、歌だけは続いています。

それだけは珍しく29年間続いてるかなって。

――どんな歌い手を目指してますか?

僕が素敵だなって思う歌声は、誰かにそっと寄り添えるような、肩をぽんぽんとして「いつもがんばってるね」みたいに優しい言葉のように響く歌声なので、そういう歌声の代名詞になれるような歌手になりたいというのはありますね。あといろんな夢とかやりたいことがたくさんあるんですけど、この状況下の中ではできることが限られているので、やりたいこととかもありつつ、まずはこの状況、落ち着いてっていうのをただ祈るばかり。

――最後にメッセージを。

デビューしてあっという間に3年目になっちゃったんですけど、僕自身まだまだ足らないところとか、もっと吸収したいなってところとかあって、逆に言えばまだ自分自身に可能性があるということだから、そういうことをファンの皆さんと一緒に、まだ知らない海蔵亮太を見つけていけたらいいなと思います。あとは、日本人として生まれて日本人として日本語を誇りに思っているので、言葉をちゃんと伝えられる歌い手になりたいです。最終的には聴いてくださる人が、また海蔵亮太の歌を聴きたいと思っていただけるようにがんばります。


インタビュー・文/深見恵美子



New Single 「素敵な人よ」 Now on sale

海蔵亮太 Official Website >> https://www.ryota-kaizo.com
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