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YouTubeから火が付いた、共感を呼びまくる“泣ける声”

2020/03/30 13:00


切なさを含んだ心に沁みる歌声で、等身大の歌詞を歌い上げるシンガー・上野優華。
若い世代の共感を呼ぶ彼女の新作は、究極の失恋・片思いソングをコンセプトにしたミニアルバム「今夜あたしが泣いても」(3/18発売)。
「いま、泣ける声」と注目を集める上野優華さんにインタビュー!

YouTubeで280万回再生(2020年3月現在)を記録した「好きな人」を収録した前アルバム「好きな人はあなただった」から約1年2ヶ月。
待望の本作は、奥華子作詞・作曲の新曲「迷子」をはじめ、橋口洋平(wacci)作詞・作曲「あなたの彼女じゃないんだね」、コレサワ作詞・作曲「こっちをむいて」など、超豪華なアーティストが提供した楽曲を含む全7曲。



――聴きながら、心がとてもやわらかくなっていくのを感じました。涙の一歩前でこらえる人を泣かせてあげる、そんな力も持ち合わせたアルバムだなと。優華さんは今、このアルバムにどんなことを思いますか。

私にとっては、涙活アルバムみたいな感じですね。人に言えないことを抱えていても、音楽を聴くことで解消できることがあると思うんです。

――1曲目は「こっちをむいて」は、優華さんが大好きだというコレサワさんによる作詞・作曲のせつない歌。

初めてチケットを買って見に行ったライブが、コレサワさんなんです。大好きで大好きで、ずっと前から書いていただきたいと思っていて、やっと念願叶いました。ふたりで曲のテーマをLINEでやりとりしながら決めていったんです。

――完成したデモが届いた時、どんな感覚でしたか。

言葉にならない感動がありました。なんていうか、やってきて良かったなあ、歌ってきて良かったなあって。自分にごほうびをもらった気持ちでした。

――“あたしが一番好きな季節とおんなじ名前の君が好き”で始まる歌は、そんな一行目から惹かれます。優華さんは、この男の子の名前をひそかに想像して歌ったんでしょうか。

私は秋が好きなので、勝手に“秋”が入っている名前にしていました。ファンの方も名前を想像して教えてくれます。自分の好きな季節に当てはめてくれているのかな。季節の名前が入っている人もいるし、季語が入っている名前の人もいるし、この一行は連想しやすくて、かつ具体的。グッと入らせてくれるポイントになっていて一行目からすごい!と思いました。

――自分の好きな季節の名前が入っている、ということから恋に落ちることもあると思うんですよね。そうでなくても、それが“好き”に加速をかけたり。

うんうん、名前がキレイな方に、素敵だなって思ったりはしますよね。あ、ぴったりだなとか。

――そんな素敵な始まりですが、そこからはせつなすぎる歌だとわかって。

そうなんですよー! このテーマにしたのは、私が好きなコレサワさんの曲「悪いユメ」が、一番になれない女の子の歌なんですね。コレサワさんが描く女の子の心のど真ん中は、男性も女性もというより、女性に共有してもらうワードセンスで出来ているんです。そういうものを今回書いていただきたいと思ったんですね。女性って友達になんでもかんでも恋バナとかしそうだけど、やっぱりきれいじゃない恋愛の話って、言いたくないじゃないですか。自分が一番の彼女にならないことがみじめだったりすると、やはり言えないし。人に言えないような恋愛を私が歌うことで、寄り添えたら。せつないというか、なんていったらいいんでしょう。どうしようもない恋なんだなあっていうのを、なりきって歌いました。

――確かにこの主人公は、彼の一番になれない恋を友達に話して、「そんな人、やめなよ」って止められたいわけじゃないんですもんね。

女の子は、実はもう決まってる。相談じゃない、ただ聞いてほしいんですよね。だからこの曲は友達のように寄り添える一曲だと思います。

――「迷子」は、「好きな人」と同時期に奥華子さんから届いた楽曲。

昨年「好きな人」と同じタイミングでいただいていて、その内のどちらかをリリースする予定だったんですが、どっちも素敵だったので、どっちもくださいと(笑)。テーマが似ているようで、曲調や言葉の選び方がまったく違う曲。ミュージックビデオは2曲ともイラストレーターさんも監督さんも同じ人にお願いしたので、続編やサイドストーリーのように感じていただけることが多いですね。楽曲だけで聴く時と、ミュージックビデオと一緒に聴く時で、いろんな解釈が生まれる曲だと思います。

――“好きだよ 好きだよ”と歌う優華さんの声が、泣いているように聴こえてずっと残るんです。レコーディングはいかがでしたか。

一年前からあったということもあって、新しい曲という気持ちより、あらためて録る気持ちでした。歌い慣れた曲を歌うみたいな。この物語をすごく落とし込んで、理解しながら歌ったから、せつなさにうるっとしてしまう。それを歌声に感じてくれたら嬉しいですね。

――「あなたの彼女じゃないんだね」はwacciの橋口洋平さんから届いた曲。

wacciさんの「別の人の彼女になったよ」という曲が好きで、ライブでカバーさせていただいたこともあったんです。今回、テーマが失恋・片思いということで、書いていただきました。デモが届いた時に、フォルダ名が「あなたの彼女じゃないんだね」。その時点で、もう開けない。開いたらきっと泣いてしまう。それほどタイトルにインパクトがありました。

――実際、開いて、聴いてみたらいかがでしたか。

なんといったらいいんでしょう。私は暗い曲をイメージしていたんです。寂しくて、切なくて・・・という曲。でも違っていた。こんなにあったかい別れの歌があるんだなって。悲しい曲は夜に聴きたいもので、シーンやワードも夜が多いというイメージがあったんですけど、この曲は昼。“好きなままさようなら”とか、ふたりには愛しい時間がたくさんあって、でも別れるという歌。あちこちにお互いの思いやりが見えたんです。このパターンの歌は初めてでした。だから、どういうふうに歌ったらあたたかさが出るのか、どうやったら色っぽい声が出せるのか、頭をフル回転させた一曲になりました。何回も聴いて、歌って・・・涙が止まらなくなってしまうくらい感情移入してしまって。一番デモを聴いた曲だと思います。

――「冬色シルエット」は歌声のテンションにこだわった楽曲。

最初に感じたのがギャップだったんです。春らしいポップなメロディーだけれど、歌詞の季節は冬で、ハッピーではない。曲が持つエネルギーと歌詞の持つマイナスを歌声でうまく調節できたらといいなと思って。明るすぎても歌詞が入ってこないし、暗すぎてもいい曲にならない。試しながら何回か録らせてもらいました。細かいこだわりをぜひ聴いてほしいです。

――キャッチーなタイトルとメロディーに脱力感も混ざり、何度も聴きたくなるのは「メロンパンのうた」。

メロンパン大好きなんです(笑)。きっかけとしては、地元・FM徳島で同じく番組を持っているD.W.ニコルズさんが「フランスパンのうた」という曲を歌われているんですね。私はメロンパン好きをラジオで公言しているので、パンつながりで書いてもらえばとなって。詞と曲をわたなべだいすけさんに、あ、詞は私も共作したんですが、あとギターの鈴木健太さんにはアレンジと演奏をしていただきました。まさかこんなに女らしい歌になると思っていなくてそこにまずびっくりしましたね。

――“メロンパンって言ってもメロンの味しないでしょ?”と言い、さらにそれを女の子自身にフォーカスして“見かけに騙されないで”と持っていく。深いですね。

詞を共作する上で、メロンパンの魅力を語ったんですね。メロンパンはメロンの味がしないけど、メロンパンと言っていい。そこが、きゅんと来るところ。人もね、見かけと中身が違うから見かけだけで判断しちゃいけないよっていう。ザラザラすることもあるし、ふわふわしちゃうこともある。メロンパンの外側がサクッ、中がふわっていうの、ツンデレっぽくていいですよねって話したんです。女の子の二面性や気分屋なところと似てる。ラブソングからあまり離れてしまわないように、視点やワードを相談させてもらいながら、仕上げていただきました。今回のアルバムは曲調もバラバラで、全体としてうまくまとまるのかな?と思っていたところに、この「メロンパンのうた」がいい味を効かせてくれているなと思います。

――SNSソングライター企画の第一弾として生まれたのは「私の歌」。歌詞の一部や曲のタイトルをアンケートで決めて作り上げたもの。

昨年の12月に企画を発表してTwitterやInstagramでアンケートを取っていったんです。一人暮らしの時にやったことがあることは?とか、タイトルはどれがいいですか?とか、アンケート調査という機能を使ってみんなで紡いだ詞になりました。上京というテーマではあるんですけど、リリースのタイミングが春ということもあって、慣れない環境に場所的に変わる人もあれば、新しいクラスになるとか、社内で部署が異動する人もいる。上京はひとつの例え。変化の季節を迎えるみなさんに届いたらいいなという気持ちで歌わせていただきました。

――みんなの想いを歌に出来たという、達成感はありますか。

今回のSNSソングライターの企画に対しては、もともと私の気持ちを入れすぎないというのをすごく大事にしたんです。私の気持ちだけを伝えたいなら、自分で書くことも出来るし、いただいたものを自分に落とし込んで表現すればいい。曲を作るのに何百人のアンケートを取るなんて、普通はしないと思うんですね。せっかく今回みなさんの言葉や想いを込めようと初めてこういう形を取ったので、「私の歌」というタイトルですけど、私だけの歌じゃない。そこをしっかり理解しようと思いました。いろんな人がこう思っていて、私はこの人たちの気持ちを歌わせていただいているんだっていう、代弁者的な気持ちを大事にしたいと。だからリリースされてみんなが聴いて、「あ、これ自分の歌だな」って思ってくれたらその時点でやっと達成感が生まれるかなと思いますね。

――そんな「私の歌」はSNSを主戦場に大ブレイク中のイラストレーター・青春bot先生とのコラボレーションを実現させるプロジェクトも始動して、クラウドファンディングが達成。楽曲をイメージしたイラストを、CDジャケットやミュージックビデオ、物語イラストに散りばめたい想いが実現へ。

青春botさんは、SNSでずっと見ていたんです。恋愛あるあるを描かれている方なんですけど、その世界観が、ファンの立場から言うのもあれなんですけど、私がこれからアーティストとしてやっていく方向性とすごく合うんじゃないかと。それで何か面白いことができたらとお声掛けさせていただいたんです。出来上がったジャケットを見て、深いなと。あえて後ろ姿であることに、いろんなものを想像させられて。ストレートじゃないからこそ、青春の不安定さ、気持ちの揺れ動きを感じていけるのかなあって。でも、単純にファンなので、実は、ただ「ありがとうございます!」って気持ちなんです(笑)。

――ミュージックビデオは青春bot先生の描く世界に優華さんが入り込むというもの。

イラストと実写の共演という形で撮らせていただきました。最近私のミュージックビデオは、イラストだったり、別の方に演じていただいたりだったので、ひさしぶりの撮影は緊張しましたね。この企画に関してはクラウドファンディングが達成したからこそ叶ったので、みなさんが私の夢を叶えてくれました。みなさんに感謝です。公開されたのでぜひ見てください!

――ラストは幻想的な響きから始まる「おぼろ月の夜に」。

王道のバラード。古内東子さんには以前「チョコレート」という作品を作詞していただいたことがあって、それがライブですごく人気が高いんです。ファンの人たちからも「この曲が聴きたかった」と言われたり、泣いてしまう人がいるくらい。今回もぜひ書いていただきたくてお願いしたんです。曲が持つ厳かなイメージと古内さんが書かれる日常的な言葉のリアリティーさ、そのアンバランスさがいいなあと。きっともっときれいな言葉をあてはめるような音作りだったと思うんです。曲だけ聴くと。だけど10代の人も共感するように難しい言葉を使わず表現されている。そういうギャップ感が素敵だなと思います。

――“好き”って、こういうことだなと、あらためて感じる歌ですね。

叶わない恋は「迷子」でも歌っていますけど、同じようでキャラクターが違う。「言えなくて嫌だ」ではなく、「思っているだけで嬉しい」「好きでいることが嬉しい」という。主人公の違いが表現されているなあって思います。

――今、このアルバムがどう届くことを願っていますか。

恋するみなさんの心に寄り添うアルバムになればいいなと思っています。恋をしていると幸せなことばかりじゃない。同じくらい、せつないことやつらいことがあったりする。幸せなことなんて全然ない苦しい片思いだってある。そういう気持ちや、ふとした瞬間の幸せにも寄り添うことが出来たらいいな。「上野優華のラブソング聴いた?」「共感するよね」「こういう恋したいよね」とか、思ってもらえたら嬉しいですね。恋する人の気持ちを歌えるようなシンガーになりたいです。

――『上野優華 LIVE TOUR 2020 〜今夜あたしが泣いても〜』は、6/12(金)名古屋 BL caf?にて。どんなライブになりそうでしょうか。

ライブでしか歌えない感情があると私は思っていて。それはCDで聴くよりいいとか悪いとかではなくて、その日だけの想いもあるし、ギターとピアノのサポートメンバーと回るのでサウンド面でもかなり違う印象になると思うんですね。この曲好きだなーとか、この曲どうなるんだろうなーとか、そういうふうにイメージしてもらいながら、遊びに来ていただけたらいいなと思っています。

――では最後にメッセージをお願いします。

名古屋はけっこう久しぶりのライブ。初めて知ったとか、最近知ったからライブを見たことがないという方もかなりたくさんいらっしゃるんじゃないかな。ライブはラブソングだけではなくいろんな曲を歌いますので、今、恋をしている方はもちろん、恋はお休み中ですって方も、きゅんとしに遊びに来ていただけたら!よろしくお願いします。


インタビュー・文/早川矢寿子



New Mini Album 「今夜あたしが泣いても」 Now on sale
[初回限定盤]

[通常盤]

上野優華 Official Website >> https://yuuka-ueno.com
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ライブ情報

上野優華
LIVE TOUR 2020 〜今夜あたしが泣いても〜

2020/06/12(金)
BLcafe
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