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Tsuruta「始まりの土地だからこそずっと一緒に経験していけたらと思います」 Uchikawa’「地元大好きなので、支えてください!」

2020/03/23 14:00

結成わずか2年ながらも、名古屋から一気に知名度を上げたKream。
壮大なサウンドと音域の広いヴォーカルを武器に、昨年「See The Light」で話題をさらったのは記憶に新しい。
待望の2nd EP『samsara』は輪廻転生がテーマ。
独自の音楽センスでもって芸術性はさらに深くなり、他のバンドにはない独自のスタイルを貫く。
7/17にはワンマンも控える彼らに、制作のこと、ライブのことを訊いた。



Uchikawa’『samsara』を入れたら、それぞれの曲が線になった」


――結成2年。初々しさは残ってないですか?

Tsuruta(Gt.):初々しさはないですね。お互い4、5年は違う音楽活動してたんですよね。その頃からよく知ってたので。

――濃い2年ではありますね。結成に関しては渡りに船のようなスムーズさで、まさに凹と凸が噛み合わさった。

Uchikawa’(Vo.):僕は弾き語りをやってたんですけど、次はバンドやりたいなってタイミングの時に、Tsurutaさんに相談をしたら「自分以外にバンドを導ける人がいいかもね」ってアドバイスをもらって。そのわずか1週間後くらいに今度は呼び出されて、「俺バンド解散することになった。でもバンドやりたいんだよね」って言われて。前身バンドはTsurutaさんが歌ってたんですけど、今度は歌わないバンドをやりたいって相談を受けたんです。喋ってるうちに、あれ?って。
(お互い目を見合わせて)

――Tsurutaさんは歌をやられてたんですね。

Tsuruta:そうです。ギター、ヴォーカルを前のバンドではやってました。19歳から始めたバンドだったんですけど、他に歌をまかせられる人いなかったから歌ってた、よくありがちなやつです。

――Uchikawa’さんの歌の実力に関しては以前から認めていましたか?

Tsuruta:そこはあんまり考えていなかったですけど(苦笑)、ただまともに歌を唄えるのは僕の周りでは彼しかいなかった。

――始めはやはり苦労されましたか?

Tsuruta:結成してからいろんな方向性を模索しました。1st EP「Supernova」を出してから1年4ヶ月、配信シングル2曲出してから2nd EPの「samsara」をリリースしたんですけど、Kreamとしてチーム一丸となってこれだ!っていうものができた。

――昨年リリースした「See The Light」の反響も大きかったのでは?

Tsuruta:僕たちだけが理解してると思ってたオリジナリティみたいな部分を、曲を聴いたリスナーの方も理解してくれていたのが嬉しかったですね。自分たちのオリジナリティを一言で表すのは難しいんですけど、ほんとに理解して欲しい部分を、SNSだったり声を聞いた時、嬉しかったですね。

Uchikawa’:「See The Light」は目を瞑って一生懸命放ったパンチが当たったぐらいわかんなかったんですよ。そんなつもりはなかったというか。ワンマンがあるからとりあえずなんかやろう。じゃあまだ出してない音源「See The Light」があるから、これを出してキャンペーンをやろうっていうのがそもそものきっかけだったんです。

Tsuruta:去年の10月に「See The Light」出した時は、びっくりしっちゃって。想定外すぎて。

――でもラジオでかかってると、耳に止まりますね。

Tsuruta:ラジオで流れてるのを聴いて僕らも初めてこの曲こんな一面あったんだって思うくらい、自分たちが意図せずに起こった現象でした。

――自信作ではなく、二番手がプレゼンに通るみたいな。

二人:(頷く)

Uchikawa’:なので今後「See The Light」みたいな曲をどんどん出していけるバンドではないっていう不安もあったけど、でも声は変わらないじゃないですか。だから声に対しての褒め言葉は嬉しかったですね。Kreamの切れないオリジナリティになるので。

――それを経ての今回の2nd EP「samsara」。まずタイトルなんですけど、サンサーラ。あまり聞き慣れない言葉ですね。

Tsuruta:サンスクリット語で輪廻転生っていう意味があるんですけど、もともと今作は輪廻転生をテーマにしたくて、言葉を探してる時にサンサーラという言葉に出会いました。

Uchikawa’:今回のアルバムはもともとあった曲の中から引っ張り出してきて、4曲目もまったく違う曲が入る予定だったんですよ。でも収録曲が仮決定の状態で曲順で聴いた時に、それぞれの曲が独立してるように感じて、じゃあ4曲目はこのEPをカタチづけるような曲にしようっていうので、レコーディング中に書いて。

――そうなんですか。

Uchikawa’:そうです。それで「samsara」を入れて聴いた時に、ちゃんとそれぞれの曲が線になったなあと思って。

――フレーズには“命”だったり“出会い”だったり出てきますね。リード曲は「Fanfare」。輪廻転生というテーマを受けて作られた曲なんですか?

Tsuruta:1曲目の「Fanfare」という曲は、次のCDそろそろ作りたいねっていう話をしてて、どの曲を入れるかという会議をしていた時に、もう1曲面白い曲があったらいいなと僕が思っててUchikawa’さんの「Fanfare」のひな型となるデモを聴いた時に、あ、CDに入れようと決意して、それで作った曲です。

――確かに面白い曲ですね。

Uchikawa’:たとえばこういう流れできたら、ドラムとベースが入ったサビを聴きたいけど、その逆をいこうと思ったんです。というのも、むちゃむちゃ嫌な気持ちになるホラー映画を観た後に書いたんですよ。嫌悪感っていいか悪いかわからないですけど、作品として人の心に残る成分はおっきいと思うんですよね。反対にすごく美しい映画も好きなんですけど、そのホラー映画はトラウマになるくらい怖くて、それを作品として捉えた時に、そうやって観てる人に思わせられるって素晴らしいなって。

――そこまで記憶に残せる。

Uchikawa’:そういうのを頭に入れてこの曲は作ったので、ひな型のデモはその映画のタイトルそのまんまだったんです。
とにかく不穏な電子的な音にストリングスが入ってるのも、僕の中ではちょっと嫌がらせなんですよね(笑)

――バックで流れるあの声は幽霊ともとれる。

Uchikawa’:そうです。意識はしました。

――歌詞も特徴的です。“街はホールケーキ”という出だしの表現も秀逸ですけど、日本語なのに英語を歌ってるような言葉ののせ方も比倫に絶します。

Uchikawa’:基本的に海外の曲が好きなんで、そういう意味では聴いた時に言葉が飛んでくるのはそんなに意識してなくて、ただ意識的にここは飛ばそうというフレーズはあるんです。「Fanfare」でいうと”これで最後の愛になれる”というところ、あそこだけ抜けてきてくれればいいという気持ちで詞は書いてます。

――なるほど。「Kogarashi」も1番、2番が対になってたりして、巧みだなって。

Uchikawa’:いやいやいや。

Tsuruta:1曲目の「Fanfare」と6曲目の「Catastrophe」は割とアルバムのテーマに添う内容にはなっているんです。

Uchikawa’:「Catastrophe」はすごい大きな脅威を前に、なすすべがないって思うのか、最もおおきな脅威が来たからこそ、残された時間をどういうふうに過ごしたいかというか。それってその環境に置かれた人の心とかコンディションによって全然違うと思うんですよね。世紀末に隕石が降っているんだとしたら、その隕石がこっちにせまってくる、ヤバイ、怖いと思うのか、大変だけどすごいキレイだと思うのか。それが1曲目と6曲目の違いなんです。じゃあなんで、「samsara」というアルバムの主人公は、同じ事象なのに気持ちが変わったか、それを真ん中の曲で描いていければいいなと思って。

――そういう流れだったんですね。最後の「Catastrophe」はじわじわ迫ってくるものがありますね。

Uchikawa’:余白が多いというのがいいっていうのを個人的には思っていて、どんなに幸せなことが起きていても、どこかで憂いていたりだとか、要は純粋な1色の気持ちっていうのは人の心の中に存在してない気がしていて、そんなにないだろうなって。だから聴く人によって色が変わって見えるっていうのも、魅力の一つになるんじゃないかなと思います。

――たとえば「Human」で、悲劇と喜劇、真逆な言葉が出てきますけど、それも同じ意味合いですか?

Uchikawa’:そいうですね、はい。

――壮大なサウンドもKreamの持ち味だと思うんですが、「Kogarashi」なんかはイントロからずっと流れてる、木枯らしを連想させる楽器がありますね。

Tsuruta:あれは中国の二胡と琵琶です。サンプリングしたものを使っていて、それにストリングスを入れたりとか。どの楽曲もKreamというバンドでしか聴けないようなサウンドメイキングだったり、歌詞を詰め込みすぎない、飛ばしすぎないっていう余白っていうのが、全曲に共通したKreamのアイデンティティーなので。

――「samsara」で赤ちゃんの声を入れたのは?

Uchikawa’:実際そんなに深い意味はなくって、ただ、あの頃はよかったなと思うのは人の常だと思っていて、青春って青い春って書きますけど、もっとも青いのがたぶん生まれた時というか。赤ちゃんの泣き声から雨の音がばあ〜っと入ってきて、いろいろ経験してきたりその雨の音がどう聞こえるかっていうのは人それぞれなんですけど。それで出会いもあれば別れもあるよねっていう、抽象的な歌詞をのせて。だからインストみたいな気持ちで歌ってるんです。

――水の音も効果的ですね。

Uchikawa’:がんばって録りました。

――えっ、録りました?

Tsuruta:赤ちゃんの声も、水の音も、雨の音も、全部録りました。

――水の音ってどうやって録ったんですか?

Uchikawa’:むちゃくちゃ模索しました(笑)。

Tsuruta:夢が壊れちゃうかもしれない(笑)。

――これからもそういう作り方を? 自然の音をいかすなど。

二人:すると思います。

Uchikawa’:それも挑戦したいし、いろいろやりたいですね。擬似的に作るのも面白いだろうし。

Tsuruta:「Kogarashi」は生楽器を使わなかったけど、「samsara」に関しては空気感、生っていうのを維持するために、すべて録音は生の音でって。

Uchikawa’:1回録ったやつをスピーカーから流して、それを録ったりしてましたからね。

――そんな技術も!

Uchikawa’:いろいろ試して。

Tsuruta:二人で所有してるスタジオに2日間くらいこもりきって、1分半の曲を。

Uchikawa’:「samsara」は収録曲の中で一番時間かかった。いまだに聴くと思い出して、ここ直さなきゃって意地悪な視点で聴いてしまう曲ですね。

Tsuruta:そこが僕らの、Kreamとして追求していきたい部分で、芸術も楽しめる作品にはなってるので。

――抽象的なジャケットもまたアーティスティックですね。

Uchikawa’:楽曲をデザイナーの方に聴いてもらい、こっちからあんまりリクエストのない状態で意図をくんでもらいました。

Tsuruta:今お話させてもらってるようなアルバムの話や楽曲の話をデザイナーさんにさせていただいて、このジャケットが届いて「もうこれです」と。

――ファーストインプレッションは?

Uchikawa’:人の心をそのまま絵にしたようだなという感じはあって、すごい好きですね。

――つかみ所のない絵ですよね。

Uchikawa’:一見、濁って見えるんですけど、単品で見ると美しい色でほんと人の心みたいだなって。


Tsuruta「今回のライブは僕たちが作り出すライブの楽しさや芸術性をしっかり出せたらなって」


――7/17にはクアトロでワンマンがありますね。

Tsuruta:ワンマンは2回目です。

――ちなみに去年の初ワンマンはいかがでしたか?

Tsuruta:去年は初ワンマンってこともあって、緊張もあり、しかも「See The Light」リリースして急激に自分たちを取り巻く環境が変わっていった中で、今思うとすべてがわかんない状態のワンマンでした。だけどステージに立ってみたら僕らを心待ちにしてくれている大勢の人がいてそれに助けられて1つのライブにできたので奇跡の初ワンマンでした。自分たちでこうしよう、ああしようってできたライブではなくて、お客さんに教えられたっていうか。

――それを経て、今回はどのように?

Tsuruta:今回のアルバムはKreamのやりたいことがしっかり表現できたアルバムなので、それとはまた違う表現にはなりますね。前回の初ワンマンは自分たちが何者かもわかんない状態だったので。ただ素晴らしい1日にはなったんですけど、今回は僕たちが作り出すライブの楽しさや芸術性をしっかり出せたらなって。それでおっきい会場を選ばせてもらったんです。

Uchikawa’:地に足着けて次のワンマンやれたらいいなと思ってます。ちゃんとアウトプットしたいです。出ちゃったじゃなくて。

――極上の生クリームを(笑)。よく言われませんか?この表現。

Uchikawa’:俺、エゴサめっちゃするけど、すごい使われ方してたよ。生クリーム、ナイスクリーム(笑)。

――でもスペルは食べ物のクリームと違うんですよね。わざと変えたんですよね。

二人:そうです。

Uchikawa’:造語がよかったんで。

Tsuruta:歌詞の話とちょっと似てるんですけど、バンド名から曲を連想して欲しくないなっていうのもあったんです。でもそうすると読めない単語になったりとか、意味のない言葉を作り出すことができなくて、なんとなくクリームって言ってたのを、じゃあ頭文字をCからKに変えようって言ったら、読めるけど意味はもたないっていう単語が出来上がったんです。そこのインスピレーションで決めちゃった感じはありますね。あんまり意味はないですね。こういう風になりたいからこういうバンド名にしましたっていうのはまったくない。

Uchikawa’:そもそも名前を決めた時もそうなんですけど、ビートルズとかオアシスとか、U2とか、ただ伝説になろうみたいに付けたので、ひと単語でドーンみたいな。

Tsuruta:2018年に名前を付けたバンドの中では、一番古くさいと思うんですよね。

――今は皆さん凝ってますからね。

Tsuruta:せっかく新しく組むんだからそうやって考えるのもあると思うんですけど、僕らはあえて自分たちがやりたい芸術、表現をしているバンドで、それにふさわしい名はどれかって言われた時にKreamだって。

――地元のファンはやはり温かいですか?

Tsuruta:そもそも名古屋でしかあんまりライブをやってこなくて、今年に入ってようやく外に出るようになったので、まだ他との違いがわかんないんですけど。

Uchikawa’:自分たちを楽しみに来てくれたんだなって方が多いと、当たり前なんですけどホントに楽しくできるんだなっていうのを、県外に出て気づきました。名古屋で甘やかされとったなって。肝に銘じなきゃなって最近思いました。曲のタイトル言ったらワッと会場が沸くっていう環境が続いていたので。

Tsuruta:調子にのってましたね(笑)。

Uchikawa’:調子にのってました(笑)。

――人気の波にのらなくては(笑)。

Uchikawa’:でもそれもあってライブが楽しいと思えるようになってきてるので、やっぱりお客さんありきなんだなっていうのは感じております。

――今年も変わりそうな予感?

Uchikawa’:去年よりも自分たちが何者かわからなくなるくらい激動してくれたらいいなと思います。

Tsuruta:なるほどね。僕たちのことを知ってくれてる人はご存知の通り変なバンドなので。

――変なバンドですか?

Uchikawa’:変なバンドだと思います。

Tsuruta:でもそこを好きになってくれた方が大切なので。今後バンドがずっと続いていって、どんどん新しい曲や変なことをしでかすかもしれないんですけど、温かく見守って頂いて時には一緒に楽しんで…。始まりの土地だからこそずっと一緒に経験していけたらと思います。

Uchikawa’:地元大好きなので、支えてください(笑)


インタビュー・文/深見恵美子



2nd EP 「samsara」 2020.4.1 Release

Kream Official Website >> https://www.kream-web.com
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ライブ情報

Kream
Kream One Man Live『samsara』

2020/07/17(金)
クラブクアトロ
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