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「あくまで音楽的に笑いっぱなしにしようというのは毎回変わっていないですね。1曲も知らなくても面白いものをお見せします」

2019/10/19 13:00

弾き語り・弦楽四重奏とのツアーを挟んで気がつきゃほぼ2年ぶりのBAND LIVE TOUR。この期におよんで更なる進化を遂げようとしているような気がするかもしれないエクセントリックなエンターテイメントショウ。
・・・と謳ったバンドツアーを前にKANさんが新曲を手土産にお越しくださいました!



――新作ディスコナンバー「ポップミュージック」を聴かせていただきました。ありがとうございます。この楽曲単体でのリリースや配信は、現時点では未定なんですね。

今回バンドツアーのプロモーションをするにあたって、手ぶらもなんだろうと、出来上がっている中から1曲だけ先にレコーディングしたんです。特にラジオ番組で出演する際は、新曲があったほうがいいですから。

――では他にも出来上がっている新曲はあったんですね。

他に2曲あって、逆にこの曲だけ歌詞はまだ出来ていなかったんです。でも1曲だけプロモーションに持っていくなら、このぐらい明るい曲の方がいいだろうと、その後なんとか書き上げました。

――ポップアーティストとして32年半経ったこの期におよんで、「ポップミュージックって何?」と自問自答を繰り返したという楽曲。

はい。

――そして会う人会う人に「ポップって何?」と質問したと・・・

いやいや、会う人会う人じゃないですよ。一緒に飲んだミュージシャンにです。

――あ、そうなんですか。ミュージシャンの方ばかり? 誰彼かまわずではなく・・・

なんでもない人に「ポップって何ですか」とは聞かないです。やはり自分で作って音楽をやっている方だからこそ、何だと思う?と飲みながら話して。それでも、みんな困りに困りますよね。

――ミュージシャンの方なら、一瞬とまどいながらも、飲んでいるうちに、だんだんその人の見解がぽろぽろ出てきそうですが。

でもそんなに長く続く会話でもないですしね。ただ、ひとりだけ「ポップって何?」という問いかけに「そりゃタピオカですよ! 間違いないです!」と即答しきった人がいました。

――おおー! タピオカ・・・深いですね。

だから入れました。その潔さが、かっこいいなと。

――ではKANさんにとってポップミュージックとは何か、この詞・曲を手掛けたことによって明確になったのでしょうか。

色々考えましたけど、ポップミュージックはこういうものだと定義づけする必要はないと思いますし、まあ最初にメロディーを思いついた時に、“Pop Pop Pop Pop Music”って詞も一緒に出てきたんですよ。初期発想で自然に出てきている言葉は残すようにしているので、結局、ポップミュージックというものを書かなくちゃいけなくなったんです。大変なものがテーマになったなと。だからなんていうんですかね、時代がぐるぐる変化して、ニュアンスは変わっても同じようなものが繰り返されている。そのような感じを書きました。うん、定義づけはしてないですね。最初のサビで“ポップってどんな意味?”と言ってますから(笑)。

――私は今まで、ポップミュージックとは?と考えたこともなく、漠然と流行の曲みたいに捉えていて、これを機に調べようと、あれこれサイトを見て歴史とか追いかけてみたのですが、本当にさまざまな文章に出合いました。

もちろん僕も色々理論化されたものを読みましたけど、この歌詞を書く分にはあんまり関係がないかな? と言うか、ここからは書けないなと。

――それよりタピオカ。

の方が強かったですね(笑)。

――スイーツ、ヒット曲、恋など様々なアイテムやツール、エピソードが盛り込まれながら語られる「ポップミュージック」は、ツッコミ&感想を待つかのようにラストは“この曲どんなフィーリング?”で締めくくられる。そして今回メロディ・アレンジは敢えて和風のテイストに執着したとのこと。

これは打ち込みなんですけど、メロディ自体が和の旋律なので、打ち込みのオケ自体は特に和ということは考えず作りました。ストリングスのアレンジはメロディが和なので和のフレーズでやろうと思って作りましたね。

――和のテイストというのは和楽器、洋楽器に関わらず生み出せるものなんですね。

独特のそういう旋律というものがあって、音階的にどういう音階がそうなるかハッキリしているんです。メロディが出来た段階でもう和になっていますね。

――間奏がジェットコースターみたいで楽しいです。ストリングスは生で入れられたんですよね。

ストリングスだけは生ですね。そんなに考えたわけではないですけど、間奏は弦で、ずーっと16分音符で行ききるものにしてみようかなと。僕は鍵盤で作るので、弾く方のことは考えていないんですが(笑)。でもみなさんプロの方ですからちゃんとかっこよく弾いてくださいました。

――11月までに「ポップミュージック」のミュージックビデオを制作予定されるそうですが、どんなものでしょうか。

これはもうディスコですからやはり踊らないとダメだと思います。久しぶりに踊ります。

――大体の流れはKANさんの脳内に?

映像に関してはまったく才能がないんですよ。

――ではいつもどなたかと組んで。

というか、そんなに今までミュージックビデオを作っていないんですね。僕自身、もともと好きじゃないので。音楽はもちろん僕が作りますけど、映像に関しては自分でどういうものをやったらいいとか、どう作るとかが全然ないんです。過去にやったものも監督とかディレクターの方に言われた通りやるわけですけど、全然曲と関係ないじゃん?と思ったり、口パクでそれ風のことをしているのがどうも、というのがあったりして、ミュージックビデオというものを作る気がまったく起きなくて。たぶん90年代前半に作ったきりだと思います。

――それほどに・・・ではとても貴重なものを今から作るわけですね。

貴重というか・・・今ではYouTubeというものがあって、まったく映像を作る意味が違いますからね。それで最近ドキュメンタリーとかを撮ってくださっている人に、どうしていいかわからないなりに話をして、たたき台を作ってくださっている段階なんです。どういうものになるか、そこからですね。

――では完成を楽しみにしています。ところで絶賛発売中のLIVE DVD、ヅラとおっぱいが飛び交う「恋するチンクワンタチンクエ」を見させていただきました。あらためて強烈な印象を呼び覚ますと同時に、DVDでしか楽しめない、副音声家・根本要氏(Stardust☆Revue)との爆笑ライブ解説【KANと要のDame-Dashiナイト】も笑わせていただきました。副音声目当てに見る方も多いと思われますが、KANさんご自身はどんな想いで映像を見ながら根本さんと話されるのでしょう。

最初は出来るだけ細かく解説をしたいなとは思っていたんですけど、普通に考えたら無理なんですね。たとえば僕の間奏のギターは、実はこういうことをこうやっているというのを言おうとするじゃないですか。それだとそのソロに行く前の段階でそれをずっと説明しておかなければならない。説明をして「というわけで、そのギターソロです!」と映像に注目していただいて聴いてもらうようにしないと。だから曲ごとに時間を出す作業がいるんですよね。どこでうまいことみんながそのフレーズを「なるほどそういうことか」とわかった上で聴いてもらうかを、時間を切った原稿を書くという、とても細かい作業が要るんです。

――それは大変なことですよね。

絶対無理だというわけではないんですが、大変な時間がかかるんですよね。それこそ秒刻みのコメントを録って貼り付ける形になると思うので。もしかしたら、いつかやるかもしれないですけど、このライブでは無理なので、最初からこれはおまけ。おまけ、面白いじゃんっていう、そういうことでいいなと思って。もともとは、根本要さんが外国のミュージシャンやギタリストのライブでものすごく面白い副音声の解説があったりするのを知っていて「副音声、やろうよやろうよ」と。Stardust☆Revueでもやっているので、僕も要さんとただただしゃべるというのをやっているんですね。

――確かに、KANさんがギターを替えて演奏し始めた時に、根本さんが「あれは俺のギターなのに貸したきり返ってこない」とかなんとか話しているうちに曲がどんどん進んでいってますから。

そうなんですよ、完全にライブの細かい、こういうところでしか出来ない解説をしようとすると、文字量を考えてとなるから、ひとりでやることになりますね。

――根本要さんは副音声家を名乗ってらっしゃる。

ええ、ただ副音声家としては、Stardust☆Revueと僕のやつを数本と、馬場俊英くんのを1本しかやっていないんですよ。「オファーが来ないんだよ」って(笑)。

――どうして来ないんでしょうね。

ね、面白いのにね。

――根本さん、とても下調べをしてらっしゃいますし。ただ映像を見ながら話すのではなく、あれは愛ですよね。

特に今回のその「恋するチンクワンタチンクエ」ツアーを彼は観ていないんです。最終公演に来る予定だったのがインフルエンザになってしまって。だからすごく責任を感じていたんだと思います。出来上がった映像を何度も見て、それぞれの曲の基本情報を全部調べて来てくれましたね。さすが副音声家です。

――そのバンドツアーと同じミュージシャン(清水淳(Dr)・西嶋正巳(Ba)・矢代恒彦(KB)・佐藤大剛(Gt)・菅原龍平(Cho))をメンバーにいよいよ2年ぶりのバンドライブが始まります。【BAND LIVE TOUR 2019クイズ・新曲は誰だ!?】名古屋は10/22(火・祝) Zepp Nagoyaにて。このツアータイトルはどんな想いからでしょう。

これは新しい曲を最低3曲ぐらいはやらなきゃな、と自分で実行するために“新曲”という言葉を入れたんです。

――新曲は誰だ、ってありそうでない文ですよね。

クイズ!と来たら――〇〇は誰だ、っていうのは定型文じゃないですか(笑)。

――定型文・・・だから〇〇に新曲という言葉を入れたという・・・

そうです。クイズ!ってつけると人が聴く気になる効果があるというか。それですね。

――バンドライブはセットを始め(前回は馬)毎回どんなパフォーマンスが繰り広げられるのか、どんなふうに音楽の楽しさが体感できるかワクワクします。

やっぱりそこはね、あくまで音楽的に笑いっぱなしにしようというのは毎回変わっていないですね。そろそろ構想を固めなければという段階です。

――では最後にメッセージをお願いします。

とにかく見てほしいですね。とりあえず見ておこうかなっていうぐらいで。アルバムなんて持っていなくてもいいです。前から精神としてありますけど、1曲も知らなくても面白いというものを作らないと、と思っていますので。ぜひお願いします。


インタビュー・文/早川矢寿子


KAN Official Website >> http://www.kimurakan.com/
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