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「私の曲を聴きたいから聴くようになってくれたら」

2019/10/09 11:00


11月6日に2ndシングル「アネクドット」をリリースする、ももすももす。2018年よりソロ活動を開始したシンガー・ソングライターであり、日本コロムビアのロックレーベル・TRIADより2019年2月シングル「木馬」でメジャーデビューした。今作はTVアニメ『旗揚!けものみち』エンディング・テーマである表題曲「アネクドット」、日本テレビ系『ウチのガヤがすみません!』10月エンディングテーマである「プルシアンブルー」とタイアップ曲が2曲続き、さらに「シクラメン」と合わせて3曲収録されている。メジャーデビューして2枚目となる制作について話を聞いた。彼女独特の言葉選びと共に楽しんでもらいたい。



「家や街を作るゲームをするように、編曲作業にのめり込んだ」


――「アネクドット」はメジャーデビューして2枚目の作品となりました。

2枚目のシングルなので、1枚目よりもっと好きなことができたような気がしています。もちろん1枚目は好きなことをやったんですけど、2枚目は音楽として一つのジャンルに特化して制作していた感覚があるんですよね。例えて言うなら、1枚目は綺麗な動物だったんですけど、2枚目は動物が転んだりして身体に土をつけて走ってきた。ちょっとがむしゃらな感じが生まれたと思っています。ただ最初からそういうイメージで取り掛かったのではなく、自然とそうなっていました。

――「アネクドット」はTVアニメ『旗揚!けものみち』エンディング・テーマになりました。

最初に漫画を読んでいたんです。「かわいい……!かっこいい……!なにこれ〜!」といろんな感情が行ったり来たりできて、好きなりました。タイアップのお話が来た時は嬉しかったです。

――好きだからこそ、エンディング・テーマで相応しい曲を作り上げられるかという点で意識したことはありましたか?

アニメの主題歌を作ることが初めてだったので、どこまで自分がアニメの中に入り込んでいいのか、それともアニメを第三者の目線から見た方がいいのか、どうすればいいのか悩みました。でも私はアニメの主人公たちを尊敬しているので、アニメの中に入ってしまったら申し訳ないなと思ったんです。だから今回は外から見た姿勢でこの曲を書きました。

――このアニメを大事にされているんですね。特に難しかったところはありますか?

今回この曲を作る上で一番大変だったのが編曲作業でした。前作は協力していただいた方がいたんですけど、今作は全部自分一人でやったんです。「ああ……どうしよう!」って一人でずっと考えてました。例えば大阪でライブがあった日も、行き帰りの新幹線の中やホテルの中でひたすら編曲作業をしていました。

――どうしてそんなにも編曲作業にのめり込んだ制作だったんですか?

私にとって編曲は、家や街を作るゲームをするのと同じような気持ちなんです。ここは公園にしようとか、周りにビルを建てたいなとか、そういうイメージでドラムやギターなどのリズムやサウンドを考えて進めました。しばらく経つと「あれ?私は街に行ってるんだっけ?音楽やってるんだっけ?」というように精神の境目がわからなくなるんです(笑)。それが大変でしたけど、楽しかったんです。


「喜怒哀楽の“哀”って、自分の血液ぐらい生きていく上で手放せない」


――歌詞ではどういうテーマで書かれたんですか?

私は歌詞を書く上で少しだけ喜怒哀楽の“哀”を入れたいんです。喜怒哀楽の“哀”って自分の血液ぐらい生きていく上で手放せないし、かつ、それがないと絶対に生きることも笑うこともできない。そうやって自分の心の中には喜怒哀楽の“哀”が365日いつでもあるからなんです。“哀”を少し伝えつつアニメの明るさも伝える、そのバランスを大事にして書きました。

――自分の自己表現をする時に、“哀”は欠かせないものなんですね。

なくしたいんですけど、なかなかなくならないものですよね。でもなくしたいと言っておきながら、実はそんな気持ちはないかもしれない(笑)。

――「プルシアンブルー」の歌詞に関してはどのようなイメージで書かれたんですか?

自然の儚さ・雄大さと人間の愛の在り形が作品とリンクするところがあると思うんですけど、特にそういうことを考えながら書いたわけじゃないんです。結果的にそういう風になったのかなって思います。たぶん土や星、そして海など自然が好きだからかもしれません。ただもうこれも書いた時の記憶があんまりなくて……。

――それは書くことに集中しているから、当時のことが自分の中では曖昧になってしまったのかもしれないですよね。

書く前までいろんな気持ちが心の中で溜まるんですよね。それが書いた時点で波みたいにサーッと流れてどっかに行っちゃってるんだと思います。その気持ちは聴いてくれる人にどんどん移っていったらいいなとも考えています。

――喜怒哀楽の“哀”という共通点は、この曲にもあるんですか?

あります。“哀”ってポジティブなイメージがないと思いますけど、結果的にポジティブなメッセージを伝えたくないわけではない。私もポジティブになりたいし、聴いた人にもポジティブになってほしいんです。でもそのためには“哀”を一回乗り越えなければいけないので、捉えようによったらポジティブなのかもしれないし、ネガティブなのかもしれないし。そんなものを吹き飛ばすような大自然に私は眠りたいです。砂漠で寝たい。

――その一方で「シクラメン」の歌詞はこれまでの2曲とは違う方向性を感じました。

私って思ってることと正反対なことを言ってしまう、つまり天邪鬼なんですよ。それがすごく反映されていて、まさしくこの歌詞も天邪鬼になっていて。実は私は映画も猫も大好きなんですけど、歌詞ではその逆を歌っている。もしかするとこの曲は自分の内部をちょっとだけ見せちゃってるかもしれないので、恥ずかしく思っています。


「美しく綺麗に成形して出せば、スライムもきっと召していかれる」


――今作に収録された楽曲はバンドサウンドが色濃く出ていますね。

ただ単純にバンドサウンドが大好きなんです。それだけの理由で、このような楽曲が揃いました。人の心の模様を書きやすい紙質が、私にとってはたぶんバンドサウンドなのかなと思っています。でもバンドサウンド以外にも、エレクトロやラテン、ボサノバ調の曲も好きでそういったサウンドで作った曲のストックはいっぱいありますね。その中で今はまず、バンドサウンドの曲を人に届けたい思いが強いんです。

――それほどのバリエーションのストックがあるんですね。

でも作曲が苦しい時は結構ありますね。でもそれを助けてくれるのは自分が新しい曲を作れたことしかない。だから苦しい時になっても、作るしかないんだなと思います。今、自分の使命として曲を作ることがあるのかもしれない。

――これまでの話から、ももすももすさんはご自身の感性を大事にされている印象を受けたのですが、いかに多くの人に届けられるかという点において意識はされていますか?

綺麗な形にまとめたいなと思います。自分の心にある時はスライムみたいな感じで決まった形がなくてドロドロしてる。でも曲にして世の中に出す時に、建物のように見た目も美しく綺麗に成形して出したいんですよね。そうした方がスライムもきっと召していかれるのかなって。

――今作においては、どのように聴いてほしいと考えていますか?

それぞれ好きなように聴いてもらえたら嬉しいです。お風呂の感覚でシャワーを浴びるんじゃなくて、浴びたいからシャワーを浴びるみたいに、私の曲を聴きたいから聴くようになってくれたらもっと嬉しいです。


インタビュー・テキスト/菊池嘉人  文/笠原幸乃



New Single 「アネクドット」 2019.11.6 Release

ももすももす Official Website >> http://columbia.jp/momosu/
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