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約2年ぶりのフルアルバム『more humor』をリリースしたパスピエにインタビュー!

2019/06/25 14:00

結成10周年を迎え、さらに進化したサウンドを響かせる、約2年ぶりのフルアルバム『more humor』をリリースしたパスピエ。
6月からはアルバムを引っ提げたツアーに向かう彼らに話を聞いた。



――久しぶりのフルアルバムですが、どんなふうに作り始めました?

成田ハネダ(Key):10周年という流れもあったので、いままでの総決算的なものにしようっていう考えもあったんです。でも10周年で全てが終わるわけじゃないし、ここからリスタートというか、新しい道筋を示せるような作品になればいいなあっていう動機のもと、2018年の夏ぐらいから作り始めました。メンバーとも話し合いながら試行錯誤の繰り返しでした。

――曲の作り方も変わりました?

大胡田なつき(vo):いつも通り曲から作り始めて、最後に私が歌詞を書くのは変わらずです。でも成田さんがほぼ完成じゃない?っていうぐらいのトラックを持ってきて、“これ、どうやったらパスピエでできる?”って聞いてきた曲もあったりして。

成田:トラックミュージックとして楽曲を完成させてから、バンドでリアレンジするみたいなスタイルを取った曲も何曲かあって、その辺は今までと違う新しい試みかなと思います。

――ドラムのやおさんが脱退したこともあって?

成田:そうですね、前作「&DNA」を出した後、メンバーが4人の新体制になり、ビートに対する考え方は5人だった頃と比べてベクトルがかなり変化していったと思ってます。18年に出したミニアルバム「ネオンと虎」が、4人だけでも作れる作品を出してみようって、ドラムを打ち込みにした曲にも挑戦して。今回はその時に培った方法を研ぎ澄ましていきながら、パスピエがバンドだっていうところも示していくために、今までやってなかったことってなんだろうって試行錯誤して。その結果がトラックミュージックをバンドミュージックにリアレンジすることでした。

――他に変わった点ってありますか?

成田:今までのパスピエを知ってくれてる人たちに対しても、聞いたことのないパスピエだぞって思ってもらいたいってのはあったので、ジャンル的にも今までより幅広い守備範囲というか、いろんな音楽のエッセンスを取り入れながら、まずリフを作ってサンプリング的にメンバーに聞かせたりとか。アプローチ方法みたいなものも、洋楽邦楽問わずいろんな音楽を聞いて吸収しながら作っていった感じですね。

――確かに今回のアルバムって、年代もジャンルも多種多様! それに10周年で5枚目のフルアルバムだけど、1stアルバムのようにフレッシュな印象もある。聞くたびに発見がある面白さもありますね。

成田:僕らの周りで流れている音楽の量も増えてるし、移り変わりのスピードも速いなと感じる中で、どうにか自分たちの音楽でも爪痕を残したいという意識は、年々強くなっていってる気はします。今回のアルバムがそうなると嬉しいですけどね。

大胡田:各楽器のこだわりとかは当然あると思うので、何度聞いてもいろんな発見を感じてもらえるのは嬉しいです。

――「more humor」というアルバムタイトルは、どうやってつけたんですか?

大胡田:元々、いつか使おうと思っていた言葉なんです。それで10周年ってのと、4人になっていろいろ試してきたこともあって、このアルバムならパスピエのユーモアを見せられるなと思ったので、使うなら今だと思って。

――パスピエのユーモアってどんな部分だと思いますか?

大胡田:ひとつは鍵盤がわりと前面に出てるところかな。あとはバンド音楽なんだけど、2曲目の「ONE」のようにトラックミュージックのエッセンスも混ざってるところ。今回その垣根を越えられたなって自分で感じたので、その辺りが自分たちのユーモアなのかなと思います。

――歌詞を書くうえでもユーモアを意識してましたか?

大胡田:もちろんずっと意識してましたね。でも今回、面白おかしい言葉とかメロディだけのユーモアじゃなくて、人間らしいというか、“大胡田なつき”という人間としてのユーモアも意識しました。今まで色を見たり音を聞いたりっていう外の刺激から、思い浮かんだ景色とかを書くことが多かったんです。でも今回は、音を聞いてメロディを聞いて“これを歌いたい”と思ったものを、自分の内側から言葉を出して書いた歌詞も結構あります。4曲目「煙」とか7曲目「waltz」とか、最後の曲の「始まりはいつも」もそうですね。

――10曲目の「始まりはいつも」は、メッセージがはっきりと伝わってくる曲ですね。

大胡田:「始まりはいつも」は、成田さんが“アルバムの最後の曲にする”って言って持ってきたんです。面白いところや楽しいところもアルバムに必要だけど、言うべきことというか、今言えることを言っておきたいなと思って、この曲には私の言いたいことを詰め込んだ感じです。

成田:今回、ユーモアってものをテーマにしてるんで、音楽的にポップネスだけじゃない部分やパスピエなりのひねくれた要素も曲で表していて。でもそれだけでアルバム全体を構成して、パスピエが示すポップネスを呈示しないままにするっていうよりは、やっぱり10年間やってきたバンドの道筋もあるし、このアルバムが今後にもつながっていくんだよっていうことを一番最後の曲できちんと示したかったってのはあります。だから、いつもは意志の強い曲がアルバムの最初に並んで、最後の方にアンビエントっぽいブワーッて広がるような曲で終わることが多いんですけど、今回は本当に突き進んでいくような曲というか、このアルバムの中で一番ポップな要素が強い曲をドシンと最後に置いた感じです。

――6月からはツアーが始まります。名古屋は7月12日(金)ダイアモンドホールですが、ステージはどんな風になりそうですか?

成田:バンドサウンドだけじゃない部分も強い作品なので、音源として本当に濃密になったと思うんです。だから、これをライブでやる時に、一度創りあげた音楽にさらに肉付けしていくというか、よりフィジカル要素が強くなっていく感覚がライブにはありますね。自分たちでも予想がつかない部分がたくさんあるので、アルバムを聞いてもらったうえでライブで答え合わせじゃないけど、いろんな意味で音楽を体感してもらいたいなと思います。

――名古屋公演に向けて思うところを一言!

大胡田:名古屋の皆さんは、ただ騒ぐとかじゃなく、すごく迎え入れてくださる感覚があるので、いつも安心して飛び込めるんです。私は静岡生まれのお隣さんなので、仲良く楽しく音楽をしましょう!

成田:名古屋のお客さんは、音楽を真正面から受け止めてくれるイメージがありますね。それは名古屋って場所がいろんなカルチャーが混ざってる都市ならではなのかなって思ってて。今回の僕らのアルバムもいろんなカルチャーだったり、いろんなサウンドを盛り込んだ作品になっているので、僕ら自身も名古屋の皆さんの感覚を受け取りたいなと思ってますし、自分自身が今回のライブを楽しみにしています。


インタビュー・文/澤井敏夫



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パスピエ Official Website >> http://passepied.info/
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