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「ホワイトでもブラックでもない自分たちだからこそ触れてきた音楽や生きてきた人生。そこから生まれる音楽に意味を感じずにはいられない」

2019/05/28 15:00


男女混声ツインヴォーカルバンド・EARNIE FROGsが2ndミニアルバム「イエロウ・イン・ザ・シティ」を5月29日にリリースする。街で暮らす人々がそれぞれに悩んだり、希望を見出したりする人生のワンシーン――“人々が生きる場所”をコンセプトに制作された今作は、これまでのEARNIE FROGsの心の闇をすくい上げるような繊細な世界観に加え、メッセージに芯の強さが宿っているように感じる。バラエティに富んだ曲調の7曲が収録される中で、落ち着いたテンポの大人びたナンバーも光る。アルバム制作やリリースツアー、ワンマンライブへの意気込みを通して、EARNIE FROGsの“今”を、三木正明(Vo./Gt.)、おがた(Vo./Ba.)、テラオ(Gt.)、ゆかちん(Dr.)メンバー全員に聞いた。



今なら“聴かせる曲”で勝負できると思った


――今作はとてもバラエティ豊かな曲の顔ぶれになりましたね。曲ごとに雰囲気を変えようということは意識されたんですか?

三木:曲を作る段階よりも選ぶときに、「どういうアルバムにしよう」ということは結構考えました。

テラオ:作るときは、まとめることよりもとにかく思いつく限りでたくさん曲を作るんです。それで出来上がった中から、相性がいいものや耳に残るものを選ぶ。今回は収録曲7曲のうち、すでに配信リリースしていた3曲がそもそも個性的だったので、他にも色の強い、濃い曲を集めたほうがいいんではないかと思ってましたね。

――確かに個性が強い曲ばかり。さらにサウンドやビートの面で、今までのEARNIE FROGsにはない新しさを感じる曲も多いです。

三木:今回は全体的にBPMが下がって大人なアルバムになったと思います。今までもそういう曲を作ってはいたんですけど、なかなか世に出されることがなかったんですよね。ついついロックなナンバーや、ライブで盛り上がれる曲を僕たちが選びたかったのがあって。

――「シニカル」や「言えない」は特に落ち着いた曲調で、「アガる」というより「浸る」という聴き方が合うナンバーに仕上がっていますよね。これまでロックナンバーを選びがちだったところから、今回こういう曲もリリースに至ったというのは、何かバンドのスタンスに変化があったんですか?

テラオ:もともとメロディーセンスや、ツインヴォーカルのハーモニーの心地良さにはすごく自信を持っています。でもじゃあそれを「より聴いてもらうためには?」と考えると、ロックなナンバーは好きだけど、自分たちが一番得意な土俵ではないということを実は考えていたんですよ。それでライブのやり方、魅せ方をたくさん研究して、今の自分たちならゆったりした“聴かせに行く曲”で勝負できるなって思えてきたのが大きいです。前はそれを表現し切れないと思っていたんだけど、今は結構自信持ってやれるんです。だから今だなっていう感じ。

――例えば「シニカル」はすでに何度かライブでも披露していると思うのですが、手応えはどうですか?

テラオ:楽しい!…けど、やっぱり難しさもあって、自分たちがどういう風に見えているのかはまだ若干手探りな部分があります。

ゆかちん:でもまだ化ける要素たくさんある気がする。

テラオ:そうだね。この曲は結構リズムが難しいんですが、今やっと音源の再現度が高くなった段階で、さらにそこからもっとライブならではの表現を突き詰めていけそうな感じがします。


ドラムは土台、何が乗るかをイメージして作らないと

バランスが崩れてしまう


――「言えない」について、ここまでピアノが主体の曲は初めてですね。

三木:大変だったよね…(苦笑)

一同頷く

――大変だったとは?

おがた:私がピアノも弾いたんですけど、今までのレコーディングで一番時間かかってしまって。

テラオ:よくやったよなあ。

――おがたさんがピアノを弾かれるイメージがなかったので驚きました! ファンの方はおがたさんがピアノを弾けるということは知っていますか?

一同:知らないと思う(笑)

おがた:中学くらいまではクラシックをやっていたので、実は曲作りはピアノでやることも多いんです。今回はピアノアレンジも1からやりました。

テラオ:EARNIE FROGsの中で一番耳もいいと思います。

――おがたさんのソロ曲かと思うほどワンコーラスしっとりと聴かせた後にバンドが加わって静かに高まっていく展開はEARNIE FROGsにとっては新しいアプローチですよね。その他レコーディングで印象に残っていることは?

テラオ:今回は特にドラムの重要性を感じました! ドラムのビートがしっかりしていると後のパートは簡単に乗っていくんだって。

ゆかちん:ビートで曲調が一気に変わってしまうので、ドラムは一番影響力がでかいパートだし、土台だと思っています。

――やはりこれだけテイストの違う曲を叩き分けるのは大変でした?

ゆかちん:いや、私はむしろそれが楽しかったですね。準備の段階から「この曲はこういう風に叩きたいな」っていうのが色々あって。あと今回はテラオさんが、すごくはっきりしたイメージのあるオケ(歌以外の演奏部分)を作ってくれていたので、やりやすかったです。何が乗るのかわからない状態で土台を作ると、どのくらいの大きさでどんな形をしてるのかが見えないじゃないですか。でも何でもあうような形で作ったとして、思ったのと違う方に乗っちゃうとバランスが崩れてしまうこともある。その点、今回はてっぺんまでイメージが完成していたんでドラムの音も作りやすかったです。ドラムのテックさん(音作りの専門家)にも加わってもらって、曲に合わせてシンバルやスネアを選んだり、ヘッドもいろいろ変えて音色にこだわっています。

三木:ビートの気持ち良さは今作ですごく表現できていると思います。


グルーブが乗るレコーディングで価値観が広がった


ゆかちん:でもレコーディングで印象に残っているといえば、やっぱり「Journey」ですかね。

――というと?

ゆかちん:「Journey」は、エンジニアさんが今作の中では唯一違っていて、海外で活動されているノリがアメリカンな方で(笑)

三木:「お前らの最高のグルーブをこの音源に閉じ込めるんだよ!」、「クレバーにやろうとかそういうことじゃなくて、一瞬しかないものを出そうぜ!」みたいな人でした。ベーシック録りというドラム、ベース、ギターの3人が録音している様子がすごく楽しそうで、見てる俺まで楽しかったです。

ゆかちん:クリック(レコーディングの際にテンポの基準にするメトロノーム)もなし。「外れても関係ねえ!お前らの音を出せ!」って録り方はマインドとしても一つ勉強になりましたね。クリックが正解じゃなくて、音楽的に演奏することが大切なのかなって。

――レコーディングの段階から楽しんだ上で、枠にはまらないといけないという概念から一歩飛び出した感覚でしょうか。

テラオ:ギターは引っ張り出されましたね。普通に弾くだけじゃなくて、俺の人間性が乗ってる音にならないとOKをもらえなかったです。それが普段自分できちんと弾けていると思っているラインの3歩も、4歩も先で。「Journey」という曲は一人の少年の成長がテーマになっていて、そういう人間賛歌というイメージをギターの音に乗せて演奏できるまでやりました。ここまでイメージを膨らませながらレコーディングで演奏したのは初めてで、すごく価値観が広がりました。

ゆかちん:グルーブがよく出てると思います。


自己肯定できるようになったからこそ出来たアルバム


――ところで、アルバムタイトル「イエロウ・イン・ザ・シティ」の由来はなんでしょう?

三木:さっき「Journey」が人間賛歌という話もあったけど、今回収録した曲たちは配信でリリースしていた3曲も含めて、“人々が生きる場所”ということを意識して作ったんです。いろんな出来事が起こる街という意味で“シティ”と、そこに俺たちをはじめ人々という要素を盛り込もうと思った時に人種的な意味で“イエロウ”という言葉を選びました。俺たちはホワイトでもブラックでもないからこそ触れてきた音楽や生きてきた人生がある。そしてそれが、今こうしてまた新しい音楽として生まれてきたわけだから、そこにはすごく意味を感じずにはいられないんですよね。俺たちの音楽を聴いてくれている人にもそれぞれに辿ってきた人生があって、だからこそ今聴いてもらっているわけだから、それもまたすごく意味があることで、だからこそただの“シティ”じゃなくて“イエロウ・イン・ザ・シティ”にしようと決めました。

――なるほど。その意味を聞いて、今アルバムのラインナップにひときわ説得力が宿ったような気がします。ブラックでもホワイトでもないが故に触れてきた数々の音楽。そこから生まれたバラエティ豊かな曲というのは、魅せ方の多さという意味でも今やEARNIE FROGsの武器になっていますよね。

テラオ:昔は「アーニーって何がやりたいの?」って言われることが結構ありました。ロックがやりたいのか、ポップスがやりたいのか、おがたと三木どっちを歌わせたいのかって。そう見えるのは、弱点だと思っていた時期もあったけど、何でもやれるということは飽きずに楽しめる音楽を提供できるということだから、結局突き詰めたらいつの間にか強みになっていました。だから今作は、俺たちがEARNIE FROGsを自己肯定できるようになったからこそ出来たアルバムだと思います。

――自己肯定という言葉がありましたが、そういう自分自身に抱くある種の自信というものが、最近のライブではみなさんのオーラから感じられます。だからこそ曲もしっかり伝わるなあと。

三木:近頃はどういう音楽がやりたいかをメンバー同士でも話し合って、それをそのままステージで見せられていると思います。そこに雑念というか、雑味がないから、より音楽的に伝えられているのかなとも。より音楽的なライブをぜひ楽しんでほしい、味わってほしいと思っています。


より音楽的でディープな時間が楽しめるようなライブを


――ロックなナンバー、大人なナンバーといったみなさんのカードが今作でまた一層増えて、長尺でも聴き手を飽きさせない見所たっぷりのライブに期待が高まりますね。リリースツアー、そして7月13日にはNAGOYA CLUB QUATTROでのワンマンライブが開催されます。

三木:CD作品としてだけではなく、ライブで楽しめるにはどうしたらいいかっていうことを今とても考えています。ツアーでもセットリストをすごく考えて作っていくので、そういうところも楽しみにぜひ来て欲しいなと思います。

ゆかちん:前回2018年のワンマンはできることをやり尽くして、楽しかったし、盛り上がったと思うけど、今回はより音楽的でディープな時間が作れると思っているので、ぜひお待ちしております!

――そして何よりまずは、5月29日にリリースとなる「イエロウ・イン・ザ・シティ」を手にとってほしいですよね。

おがた:今回のアルバムはすごく大味にいうと、大人っぽくなったというイメージがあります。でもそれは決して背伸びしてできたものではなくて、自然体で作って、録って、形になったものなんです。その等身大というか、ありのままの感じを、アルバムを聴いてライブの現場でも感じてもらいたいと思っています。

テラオ:EARNIE FROGsは今までも、おがたや三木の心の闇の部分から見た人間像というのを歌にしてきたけど、今回はそれが自分たちだけのことではなくて、自分たちを取り囲む世界にまで目を向けられたような気がしています。だからこそ、いろんな人に届く作品になっていると思うし、たくさんの人が生きてる街の中の誰もがその一員なんだということを感じながら楽しんでもらえたらうれしいです。で、それを分かち合えた人がライブに集まってくれると思うから、みんなで楽しいライブを作っていきたいです!


インタビュー・文/岡部瑞希



New Album 「イエロウ・イン・ザ・シティ」 2019.5.29 Release

EARNIE FROGs Official Website >> https://earnie-frogs.jp/
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