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「曲を良くしようということがまず第一にあった」ミニアルバムをリリースし、6/13(木)アポロベイスでのライブを控えるircleにインタビュー

2019/05/24 15:00

5月8日にミニアルバム「Cosmic City」をリリースした、ircle。昨年5月に発売したミニアルバム「CLASSIC」以来の新作だ。収録された全8曲を通して“別れ”をテーマにして情景を描かれているが、悲しいことを悲しいままに終わらせない前向きな気持ちも表現している。“別れ”におけるパーソナルな心情をircleの曲として作り上げた。そこには前作における経験、4人で話し合うことの重要性を感じたという。ircleの芯として存在する楽曲第一主義についてメンバー全員、河内健悟(Vo./Gt.)・仲道良(Gt./Cho.)・伊井宏介(Ba./Cho.)・ショウダケイト(Dr.)に語ってもらった。



「曲について4人で話し合うことが鍵になった」


――今作は方向性を決めて制作されたんですか?

仲道:全く決めてなくて、曲を出し合っていくにつれて自然と別れの曲が集まったんですよね。去年、僕らの中で共通に知ってる人との別れがあったので、テーマがそこに向いていったのかもしれません。だから曲の出来る根源としての力が、“別れ”と“スタート”というのが多かったんです。

河内:別れは人に言葉にして伝えるもんじゃないとか、さらにそれを歌にするのは当事者に対して失礼なのかなとか考えたりはします。でも昔から僕は、歌う人だからこそ起こったことを曲にできないのは、自分の人生として嫌だなという気持ちがあって。俺もモヤモヤしたままにはなるけど、前向きなエネルギーに変えるんであれば歌としてそれを人に伝えたいんですよね。それぞれの別れがあった時に少しでも気持ちを軽くできたり、明るい色に変えられたり、そういう力が歌や音にはあると信じてる。ちゃんと表現することの方が、いち表現者として重要だと考えて絶対に書く、というスタンスでいます。これは別れなどのネガティブなことだけでなく、自分の心が動いたこと全般に言えることですね。

――“伝える”という点で、今作において特に意識されたのはどのようなところですか?

河内:ちゃんと情景が浮かぶようにしました。具体的に言うと、サウンドにおいても歌詞においても、どちらからでも伝わりやすくすることですね。4人で「どんな風景になるだろう?」という話し合いをたくさんしたことが、今回のアルバムの制作では鍵になったと思います。

仲道:前作となるミニアルバム「CLASSIC」を去年に作った時ぐらいから、そういう話し合いをするようになりました。全員が歌詞で言ってることや曲を書いた時の気持ちを分かってる方が、作品として伝えたい最終形がしっかりと完成できると気付いたんですよ。それまでは何となくお互いの気持ちを汲んで、曲の景色を想像して演奏をしてたんです。でも言葉で話してお互いを理解することで、より4人で一つの景色を見ることができた。その意識がここ2年くらい強くなってきてると感じていますね。

――前作での経験を活かして、共通認識をより明確にするようにしたんですね。

河内:だから今作は、一曲一曲に対して明確な答えを提示できるものが出来上がったと思っています。ただ生みの苦しみがでかい曲は結構多かったですね。

仲道:一歩目を出すまでが大変でした。曲作り始めると、いつの間にか腰が重たくなっているんですよね。みんなで話し合って動き出してから、スピードに乗っていけたような気がします。

伊井:泊まり込みでレコーディングしたんですけど、合宿の前までは譜面が真っ白だったという曲もあったりして。例えば「忘レビ」はコードがざっくりあって、そこから100まで作っていく作業でしたね。でもそういうのも楽しいんですよ。

河内:逆に大枠でほぼ確定してたのは「ねえダーリン」、「Heaven's city light」、「ばいばい」、「アンドロメダの涙」になりますね。ちょうど半分ぐらい。ただ演奏を続けていくうちに、いろんなアイデアがどんどん出てくるんですよ。完成に向けてどんな音を入れようかと考え出したら止まらなくなってくる。チャレンジっていうよりは実験……ともまた違うな。なんて言えばいいんですかね? うーん……どんどん楽しくなっちゃうレコーディングマジックとします(笑)。

仲道:いい曲を届けたいという気持ちで原曲を作って、それに合う服はどれか選ぶ作業がレコーディングのような気がするんですよね。今回はそこにかける時間を惜しまなかった。作り始めの段階でアイディアがちょっとしか浮かばなかったとしても、みんなで膨らましていくのは面白かったんです。そうしたことで聴いてくれる人に届ける時に、最初に湧き出た気持ちを嘘がない形で込めることができました。

――創作意欲が湧き続ける制作だったんですね。

河内:例えば迷いを表現したくて、混沌とした空気を表す間奏を作ってる時に、その場にあった楽器や物で音を鳴らして入れたらめっちゃ怖くなったりして。「怖い!こういう変化が起こるんだ!」とすごい感動して、個人的には勉強になりましたね。

仲道:明るい気持ちの時には明るい音を入れたり、不安な部分には不穏な音を入れる。ちょっとしたことがすごく隠し味になるって気付けたんです。

河内:偶然が生んだ産物みたいなところもありますけど、それが分かった時点で音楽がもっと楽しくなる。でも楽しもうという方向もありながら、曲を良くしようということがまず第一にありました。楽しくても「これはいらないんじゃない?」と余計なものだと感じたら排除しましたね。逆に入れるべきところとかもあったりもして、その工夫は必要でした。これも入れよう、あれも入れようと言って、曲は成立するものじゃない。また一つ勉強ですよね。


「2人の曲じゃないし、歌を歌う僕一人の曲でもない。ircleの曲だから」


――リード曲「ラストシーン」の制作はいかがでしたか?

河内:仲道が原曲を持ってきた時点で、これをリード曲に仕上げていこうという気持ちは生まれていたんです。その想いが強かったので、ircleらしいサビの入り方だとか、“ザ・ircle”みたいな曲として仕上げました。いざ作り上げてみたら、ちゃんとircleとしての王道の中にも変化をつけることができた。一歩先のことができたと感じています。

仲道:最初は曲の情景がパーソナルな別れにフォーカスしてたんです。僕の個人的な気持ちがすごく入っていた。でも河内くんと話していた時に「俺は自分が作ってしまったから、この歌詞に思い入れがある。でもそれってめちゃめちゃ個人的なことだから、河内くんなりに新たにこの歌詞を翻訳してほしい。全然違うストーリーを乗せてもらっても構わない」と伝えたんです。

――それは思い切った提案ですね。どうしてそう伝えたんですか?

仲道:ライブで歌っているのは河内くんであり、河内くんの歌で伝えるから、河内くんなりに歌詞をもう一度考えてもらう方がよりircleとしての曲になると思ったんです。今回は特にその要素が強く感じられたし、お互いに踏み込んだ曲作りになりました。積み上げてきた信頼関係があったからこそ、出来上がった歌詞を見た時に、悲しいこと悲しいまま終わらせないでくれたことが嬉しかったんですよ。最終地点が別れた後にどうするかというその先のことや生きていく上での覚悟という、もっと普遍的な風景に変わっていました。

河内:仲道良は自我が強いので、もちろん俺は遠慮の心を持ちつつ接してましたけど、音楽を作る上ではそんなこと言ってられない。曲を良くしたいための話ですから、仲道がどんな思い入れがあるのかはあんまり気にしないようにしました。僕も自分が作った曲をガチャガチャに変えられたら「は……?」ってなります(笑)。でも託すという選択肢を取ることによって曲が良い方向にいくのであれば、お互いに信頼しているからいいかなって。ただ曲の方向を考えずに、変えたいだけで変えたら作った人には失礼ですよね。だからバンドで曲について話し合うことの重要性を感じました。2人の曲じゃないし、歌を歌う僕一人の曲でもない。この4人、ircleの曲だからこそですね。

――伝えるということに重きを置いた作品だからこそお聞きしたいのですが、この作品はどのように伝わっていってほしいと思い描いていますか?

河内:音・歌を聴いて、歌詞を見て、少しでも「Cosmic City」の曲たちが前向きなエネルギーに変わればいいなと思います。後ろ向きなものとしては伝わらないでほしい。別れに限らずエネルギーに昇華できないことって、何度もありますから。それを歩く力に変えるということは無理かもしれないですけど、みんなの体を軽くしたい。一人では誰も生きていけないから、寄り添えれば嬉しいです。

――今月末よりツアーが始まります。対バン形式で各地を回られますね。

ショウダ:ライブで聴いて楽しい曲が多いんで、楽しいツアーになると思います。僕らircleがカッコいいと思っているバンドしか呼んでません。特にここ最近は僕らを信頼して聴いてくれてるなという眼差しを感じているし、お客さんには新しい出会いを見つけてくれたら嬉しいです。


インタビュー・文/笠原幸乃



New Mini Album 「Cosmic City」 Now on sale

ircle Official Website http://ircle.jp/
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