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「メンバーとはライブに向けてあることを猛特訓中です。ソロとしてはオーケストラと共演したいですね」

2019/04/25 15:00


TUBEのメロディメイカーとしてはもちろん、ソロのギタリストとしても躍進し続ける春畑道哉。Jリーグのオフィシャルテーマソングをはじめ数々のタイアップ曲でその才能はお墨付き。
約2年半ぶりにリリースされたアルバム「Continue」でも、バイオリニスト・宮本笑里との共演によって、日本の森羅万象が込められた表題曲から実に奥深い。根本要とのコラボ、「J'S THEME(Jのテーマ)」の25周年バージョン、ピアノソロ…。ギターインストの枠を越えた最新アルバムのこと、ライブのこと、優しい語り口で話してくれた。



――今回の制作はいつ頃から取りかかったんですか?

前作の「Play the Life」が出た後から、有り難いことにテーマソングの制作依頼とかCMソングのオファーがありまして、2年半ずっと作り続けてました。

――確かにタイアップ曲が多いですね。タイトルは、『じょんのび日本遺産』のメインテーマ曲「Continue」をそのまま持ってきていますね。

この曲を作ってる時に”Continue”という言葉を思い付き、タイトルもこれにしようと思いました。日本の文化や風景や遺産がいつまでも続いて欲しい、残していきたいという思いから付けました。アルバムは、この2年半の中であった出会いや再会、別れを通してできた曲が詰まった作品です。自分の音楽も、これからのライブもみんなと一緒に続けていきたいなあという思いでした。

――曲づくりを通して改めて日本の自然美を感じられたんじゃないですか?

たくさんありましたね。映像資料も見させていただいたんですけど、改めてなんて綺麗なんだろうって。日本の風景はすごいと思えた部分はたくさんあったし、この曲を作ってる途中にTUBEのツアーだったので、今日は近くに遺産があるから見に行ってみようとか。お城の中でイメージ膨らませたり。

――風景をどのように音に込めるんでしょう。

僕の場合は譜面上でいいメロディだな、いいコード進行だな、これだけで世界が広がっていけるって思えるまでいっぱい書いてます。だからレコーディングに至る前にボツになっちゃうものもいっぱいあります(笑)。この「Continue」は曲が終わりたくない、続いていくようにっていうイメージで、フェイドアウトにしてみたり。

――そう、珍しくフェイドアウトですよね。初めから宮本笑里さんとのバイオリンとコラボする狙いはあったんですか?

作ってる時に、毎晩聴いてたのが宮本さんのアルバムだったんです。あ、またこの曲聴いて眠りたいって、聴いているうちにサウンドが大好きになってきて、いま作ってる曲に弾いてもらえたら世界がきっと広がると思ってお願いしました。

――バイオリンの音が一気に世界を深くさせますよね。コラボは難しくなかったですか?

面白かったです。音が近づいたり離れたりして、融合してる時はどっちがハモリかメロディかわからないくらい近い音になったり。

――今回のアルバムでは、Stardust Revueの根本要さんともコラボされてます。もともと繋がりはあったんですか?

演奏やパフォーマンスは個人的には見ていて、あんまりお話する機会がなかったんですけど、2年くらい前から遊んでもらってます。いろんなライブに連れて行ってもらって、音楽はもう僕の100倍くらい詳しいんです。僕が聞いたこともないギタリストも知ってて、「ちょっとマニアックなライブだけど、好き?」って聞かれて、「行きたいです」ってついていきます。

――そもそもここのパートはご自身で歌う予定だったんですか?

この曲は要さんに歌って欲しくて作ったんです。

――初めから想定されてたんですね。”Every day is a new day”という歌詞はヘミングウェイの言葉からとられたそうですね。

シンプルに、タイトルを連呼する曲にしたいと思って、ずっと言葉を探してて見つけたんです。ああ、これだ!って。で、この言葉にメロディを付けました。

――先に言葉があったんですね。今回のレコーディングに関して要さんはなんておっしゃってましたか?

まず最初は、「俺が歌わなくてもいいじゃん」って(笑)言われたんですけど、実際にはすごいリードしてくれて、アイデアもたくさん出してくれて。「ここはギターがこうなってるから、崩して歌った方がいいんじゃないかなあ」とか。先輩をレコーディングに呼んだことなくて、「いつまで歌うの?」とか言われて気難しい人だったらどうしようと思ってたんですけど、そしたら全然。

――逆?

逆でした。「こうはどう?」「こうはどう?」って、アイデアを頂きました。

――だんだん一体化していくようなサウンドが爽快です。反対に「Daybreak Highway」では、春畑さん自身がヴォーカル、コーラス、ギター、ベース、キーボードすべてをこなしてます。

スタッフやプロデューサーから歌もチャレンジしたらと言われてたんです。シャウトする歌じゃないので、声は張らず喋ってるくらいの感じと言われました。

――それがすごく心地がいいです。

こんな盛り上がらないサビを作ったのは初めてかも(笑)。

――TUBEの時とは違いますもんね。

そうなんです。TUBEは最初からドーンですからね。どれくらいの量で歌モノにしたらいいのか結構考えたんですけど、ギターのAメロ、アドリブ、サビかどうかわかんないけど歌があって、高中さんばりのはっきりしたメロディがやってくるっていう構成が面白いかなって。ベースのリフから始まって、徐々にグルーブされていくみたいな。

――かたや前田さんがゲストヴォーカルの曲もあり。

「Fly to the world」ですね。元々のアイデアは前田が持ってきたもので、古くからの沖縄の友人がいるんですけど、その息子がボクサーとしてデビューするんで、じゃああいつを応援してやろうって作った曲です。で、少し沖縄のテイストが入っていたり、言葉も、自分の殻を打ち破って、世界へ羽ばたけという。ボクシングのハードなトレーニングで打ち合ったりする部分や、沖縄人の明るさとかを全部ミックスして出したいなと思いました。

――スポーツに関わる曲、多いですね。

そうですね、有難いことに依頼を頂くことは多いですね。

――アルバムには「J'S THEME(Jのテーマ)25th ver.」も収録されています。25周年を記念したリアレンジバージョンです。

25周年おきにリアレンジしていくというアイデアを頂いたんです。

――今回はどういうバージョンでいこうと。

リアレンジって恐いじゃないですか。原曲の方がよかったって言われたりとかするので。オリジナルの思いが強いとか、印象がついてしまうと、それを変に変えちゃったら嫌じゃないですか。だからどれくらいのバランスで変えようかすごく悩んだんですけど、今回はテンポとキーとメロディは崩さず、オリジナルの雰囲気は変えずに、でも25年前にはなかった音色とか、ドラムのループとか、シンセの音色とかを現代風に入れたアレンジにしました。

――もうこの曲が流れてくると、サッカーのグランドが浮かんできます。

試合を観に行かせてもらったんですけど、試合前に広場でボールを蹴り合ってる家族を観て、この子たちが数年後にはこっちのピッチでやってるかもしれないなあって。これから子どもたちが育っていくようなシーンを想像しました。

――攻撃的でないメロディに普遍性を感じます。

攻撃性のある曲も当時作ったんですけど、やっぱりこっちにしてよかったかなって思います。

――「東京classical」はまた哀愁漂うサウンドから始まり、ラストに向けて壮大なドラマに編み込まれていきますね。

去年『live image』に出させてもらってから、知らなかった楽器の仕組みを教えてもらったり、一緒にやったことない楽器を実際に演奏してもらったり、楽器への興味がいろいろ沸いてきて、今までにないアレンジとか順番とかで楽しみながら作りました。

――東京をイメージ?

江戸っぽい(笑)。東京の歴史をどんどん遡ってくイメージというか。日本遺産と一緒に作ってたのもとても大きいです。3拍子も風情があるし。

――では、焼酎のCMソング「Midnight Snow」はどういうアプローチだったんですか?

CMに出演してる吉田羊さんが部屋でまったり飲んでる、ゆったりとした時間の流れみたいな。海から生まれた焼酎というテーマで、2パターンお渡ししたんです。もう1つはちょっとロックなエレキのリフで、ただ引き倒すんじゃなくて大人の余裕のあるリフとドラムだけのものでした。

――ゆるやかな時間が流れているこちらの方が選ばれたわけですね。最初に出会いと別れとおっしゃってましたけど、「空」は愛犬を亡くした時に作られた曲だそうですね。

ちょうど作曲時期で、サンボ(愛犬の名前)は15歳だし、覚悟しておいてくださいと言われながらもだいぶ長く頑張ってくれてはいたんですけど、寝たきりの時間が長くて。サンボのお葬式の日も前日もずっとピアノを弾いてて、その時の空の印象というか。

――優しく包み込まれるような曲です。

すごくスカーっと突き抜けたような空だったんで、僕が勝手にバイクに乗っけて一緒に走った時のこととか思い出して。車なりバイクなり犬って風に当たるの好きじゃないですか。そんな楽しい思い出を詰め込んだ、ありがとうっていう曲です。

――途中、天国にいるサンボちゃんに届けといわんばかりの、空に駆け上がっていくようなピアノのメロディが素敵です。

届いてるかな。

――きっと! 今回、ギターは何本ぐらい使われたんですか?

アコースティックも入れると10本近いんじゃなかな。ガットギターに鉄弦に、レスポールも、テレキャスも、ストラトも、春畑モデルも。

――つい先日、お会いした押尾コータローさんなんかは、メインで使用してたギターをジャケットに持ってくるとおっしゃってたんですけど、春畑さんはいかがですか?

僕の場合は、デザイナーさんがギターをチョイスする感じです。このジャケット写真にはこのギターが合うっていう。

――今回のジャケットはまた中塚翠涛さんの書がかっこいいですね。

音を聴いてイメージを広げていただいて、お願いしたのはタイトルと名前とロゴです。何パターンも送っていただいて、どれも素敵だから困っちゃいました。繊細でいて、大胆だし。

――音を聴いたらいろんな線が浮かんできたとご本人はコメントを寄せてますね。

嬉しいです。彼女の作品は、最初にスタッフに見せてもらったんです。今回のテーマに合うし絶対かっこいいんじゃない?って。作品集も見せていただいて、これはお願いしたいねって。

――前回のライブタイトルも『Continue』。リクエストを募ったんですよね。

カバー曲のリクエストまで取ったらすごく意外な結果に。1位が「情熱大陸」だったんです(笑)。ビックリしました。ってことは、俺、バイオリン弾けってこと?って(笑)。誰も言ってないのにそう解釈して弾くっていう。

――実際に弾いてらっしゃいましたね。

半分笑いを頂きたいと思って、あの未完成のバイオリンを披露してしまうという。すごく練習しました。あんな下手なバイオリンは弾けるとはいえないんですけど、楽しいです楽器は。

――ファンの言葉を見る限りは好評でしたよね。

ほんとですか? ギャグです、ギャグ。

――いろんな側面を見せられたんじゃないですか?

要さんにも言ったんですけど、要さんはMCして、歌って、歌いながらギター弾いて、リードギター弾いて、また歌に戻って、終わったらMCするじゃないですか。僕はもういっぱいいっぱいでした。歌詞のこと考えたり、音色のこと考えたり、ピックアップのセレクト考えたり。感覚だけでできるようになるにはまだまだだなって。

――名古屋では昨年のクリスマスにZepp Nagoyaでライブがありました。ホールとはまた違うんじゃないですか?

Zeppは昔から春ソロでやらせてもらっていて、大好きな会場です。

――ここに来て、やりたいことが尽きませんっておっしゃってます。次回のライブはTUBEとしてですか?

そうですね、5月30日、31日にドルフィンズアリーナで行います。今年はまず5月にTUBEのアリーナツアーがあります。ソロの動きとしては、『live image(19 dix-neuf)』(東京と兵庫で開催)に今年も出させてもらいます。

――ドルフィンズアリーナではどんなライブになりそうですか?

TUBEはいつも、ギリギリまでセットリストを試行錯誤するので直前までなかなか決まらないんですが、今回は1月の時点でほぼ決まって、さらにはメンバー全員で新たなチャレンジをするために猛特訓をしているところです。

――猛特訓!

ストンプやタップをやったり、去年はメンバー全員でベースを持って演奏したりしましたが、今回も手に豆ができるぐらい特訓してます。アリーナツアーなので、ホールツアーとはまた違った見せ方もできると思います。

――まだまだ攻めますねえ。春畑さん自身は、アーティストとしてどんなビジョンを描いているんでしょう。

TUBEは、誰かにもういいよ!って言われるまで、いけるとこまで続けたいなと思ってます。ギタリストとしては普段バンドではできないオーケストラとの共演とかやりたいですね。去年やっていろんな発見や衝撃があったので、それが楽しくて。

――コラボしたい人とかは?

ん〜、たくさんいますけど、今ぱっと(資料を見て)目に入った沖仁さんとか。沖さんのギターは素晴らしいですね。衝撃的に上手くてもう異業種だなと思いました。フラメンコギターにも憧れて、沖さんが開発した爪を強化するマニキュアを塗って爪を伸ばした時期もあったんですけど、その時、ピアノは弾きづらかったです。鍵盤が爪にあたるとカチカチと変な感じがするんですよ。右手だけ伸ばしてたからなおさら(笑)。

――最後に東海エリアのファンに向けてひと言。

このアルバムは自分的に発見や出会いがたくさんあって、新しい作り方ができたアルバムなので、是非楽しんで欲しいです。それとドルフィンアリーナも是非遊びに来て欲しいです。


インタビュー・文/深見恵美子



New Album 「Continue」 Now on sale

春畑道哉 Official Website https://www.sonymusic.co.jp/artist/MichiyaHaruhata/
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TUBE
TUBE LIVE AROUND 2019

2019/05/30(木)他
ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
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