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約9ヶ月間の休止を経て2019年よりライブ活動を再開する近藤晃央にインタビュー!

2018/12/28 13:00

愚者であるために下した、賢明な決断。

2019年より、活動再開。


愛知県刈谷市出身のシンガーソングライター&グラフィックデザイナー、近藤晃央。
透明度の高いラブソングから、ドロドロの汚い人間関係まで、生きることの中に絡まる、ありとあらゆる感情を端から端まで描写した歌は、聴く人の心をかきまぜながら、奥へ奥へと入っていく。かたくなで、やわらかで、真っすぐで、ねじれていて。そんな厄介な人の心が彼の手にかかると、どうしてこんなに響く歌になるのだろう。
約9ヶ月間の休止を経て2019年よりライブ活動を再開する近藤晃央にインタビュー!

再始動ライブに先がけ、配信リリースされたのは強烈かつ痛烈な新曲「クレーマー」。
「誰かのせいにしてえなぁ 所詮自分が可愛くて仕方ねえやぁ」というクレーマー側の視点から描かれた世界は、まさに近藤晃央の十八番であるヴィランズ(悪役)チューン。



――タイトルを見て、クレームを受けた側の歌かと思ったら、まさかのクレーマー側でした。

そうなんです。たまたま僕の人生の中で出逢ってしまった、何を言っても自己責任を負わず人のせいにする人物の歌ですね。

――そういう時は、その人に憑依するような、乗り移る感覚で書くのでしょうか。

そういう感覚ではないんですけど、書いている途中や書き終わったあとに、ここまで極端ではないにしろ、なんとなく共感できてしまうのは少し怖いと思いましたね。心のどこかで自分が一番大切だと思っているフシがあるんじゃないか? あからさまに外には出していないけど、もしかしたらそう捉えているかも、と。秘めている部分に関しては見えないから当たり前なんですけど、人間誰しも持っているかもしれない。だから持っているか持っていないかより、出すか出さないかなんだと思います。

――“使用済みの人生も交換しろよ”というフレーズが、与えられた人生に対する、神様に対する積もり積もったクレームに感じました。

まぁ、でも人生をモノに例えるとしたら、人生って欠陥品ではないんですよね。なのにそう思うなら、その人がそういうふうにしたということ。もともと欠陥したものを渡されたんじゃない、欠陥として捉えるような考え方に自分がなっていった。それが正論だと思うんです。なのに交換しろっていうふうに、あてつけのように言えてしまうっていうのが、自分では何も背負いたくないという人間の特徴なのかと思うんです。

――作詞、作曲はもちろん、編曲、演奏、ミックス、マスタリング、アートワークに至るまでをひとりで手掛けた正真正銘、孤高のソロアーティスト作品。配信とは別にライブ会場で発売するCDも完成。

CDのマスタリングだけは今までと同じ方にお願いしたんですけど、配信は全部自分ですね。ふたつの違いと言えば、配信向けはあまり低音がなく抜けるような音。CDの方は低音が多いので、ふくよかさがありますね。聴く環境に合わせて変えました。

――全部自分で手掛けると、どこまでも追求していきそうですね。“これで完成”と手を放すのは大変じゃないですか。

確かに難しいですね。音楽って不思議と聴く環境で音が変わるので、どこが正解か、どこに正解を持っていくかもわからない。これでOKだろうと思ってから、やり直した回数は多いですね。でもCDの音になった時にやっと完成かなと思えました。配信はだいぶエッジが効いているので、それはそれとしていいかなと思うんですけど、フレーズひとつにしろ、ボーカルのテイク、アレンジ面も、自分でやるからこそ自分のツボに入るのは、音楽の理想形ではないかもしれないけど。この楽曲の理想にはなったかなとは思います。

――愚者であるために下した、賢明な決断。2019年より、活動再開。と資料にありますが、愚者であるために、という言葉の奥にある想いを聞かせてください。

活動再開のライブタイトルが「賢者はジャッジメントに踊りだして」なんですけど、タイトルをどうしようかなと考えた時に、パッと浮かんだ言葉が「賢者」と「愚者」だったんです。それで、ものすごい愚かな決断をしたと思ったんですよ。

――活動休止したことに対してですか?

いえ、活動を再開することに対してです。でもそれは、待っている人がいるところに戻るのが愚かということではないですよ。この時代に音楽をやり続ける決断をしたことを愚かだと思ったんです。音楽業界はどんどん縮小してきているから、生きていくのが大変というか。元々やりたいことが多い人間なので、やりたいことの中で、もしかして最も生活的に苦しい決断をしたんじゃないかという意味で。でもそんな考えが、途中で逆転してきたんです。愚かな決断じゃなくて、もともと愚か者だったんじゃないかと(笑)。愚か者でいるために賢い決断をしたんだと。

――自分らしくいるための決断ですね。

ええ。決断は賢い。元が愚かだったと発想が変わったんで、僕は愚か者であるがゆえに賢い決断をしていかないと生きていけないのかなと。でもある種、自分にとって賢いならそれは賢者と言えるなと、ライブタイトルを「賢者はジャッジメントに踊りだして」にしたんです。

――待望の再始動ライブ、第1話となる名古屋公演は1/6(日)名古屋ボトムライン。第2話・第3話が3月に大阪、4月に東京にて開催が決定。この3公演はツアーではなく内容は別物だそうですね。

はい。セットリストと、あとメンバーがちょっと違いますね。

――「クレーマー」以外にも新曲を披露されるとのこと。活動休止中は音楽制作を?

曲は作っていました。けど、そんなすごいペースではないです。ミックスの勉強もしましたね。今度のライブに新曲も少しやりますが、あまり新曲が多いと知らない曲ばかりになってしまうので、来てくださる方のことを考えたセットリストにしようと思います。本当はどうせ活動を再開するなら、名前も変えて今までの曲をやらない環境で、まったく別のプロジェクトでとも思ったんですけど、活動休止のライブを、東京でしかやらなかったので、“ありがとうございました”を言い切れないまま終わったんですね。だから今は「近藤晃央」として今までやってきた曲をもう一回やってみたほうがいいのかなと。あと、捨てるのはもったいないと思える、いい曲がいっぱいあるのでそれを届けたい。そういう想いですね。

――2018年5月に1匹の豆柴(男)と1人の人間(男)で結成されたバンド「ちゃちゃまるず」として「ジロリンチョ」という曲を配信していますね。

それは遊びで作った曲なんですけど、わざわざ配信したのは、配信システムを把握するためなんです。手続きにどれくらい手間が必要か。それを把握したうえで「クレーマー」を出したんですね。こうしてひとりで活動してみて、完璧に出来ないのは、プロモーションだと思いました。制作してリリースするまではひとりで完結して出来ますけど、プロモーションは補えない。そういうことの勉強期間でしたね。

――未来のため、自分が自分であるための学びと充電期間だったんですね。

どうなんでしょうね。まだわからないですけど。活動休止前はすごく特殊な環境にいて、なかなか経験できないことをさせてもらっていた。そのことに感謝はしていますけど、チーム全員がベストを尽くせたとは思わない。限界が見えなかった。それは余裕があるからではなくて全力を出したという感じがしなかったんです。

――2019年はどんな活動になっていくのでしょうか。

しばらくはライブ中心で打って出ると思います。繰り返していくのは難しいですけど、急に規模を小さくして回るより、今までと同じ規模を貫いてやっていったほうが合っているかなというのがあるので、ライブハウスでバンドしょって出ます。グッズデザインも全部自分でやらせてもらっていて、物販に関してはクオリティーもちゃんとした「作品」として出すようにしているんです。例えばポーチにしても生地から探してきて、パーツも自分で選びました。いいものをちゃんと届けられるよう、こだわっていきたいですね」

――いよいよこれからなんですね。

見切り発車です。でも周りからもあまり間隔を開けない方がいいとすごく言われましたし、自分自身がなまっていくというのがあって、試運転がいきなり本番みたいな感じですね。これから環境を整えていきます。アーティストが生きやすい時代になったらいいな…と言うだけではなく、そういうふうに当事者たちが変えて行かないといけないのかなと。そう考えているのは僕だけではないですから。自分の音楽を多く知られるところまで、世間で知れ渡っている音楽と天秤にかけられる、評価されるところへ行かせること。そういう作業が大事なのかなとあらためて思いますね。

――名古屋公演のチケットは即日ソールドアウトしました。ライブ当日、会場の状況によって当日券も若干数用意される可能性があるとのこと。当日券情報をチェックですね。

即日ソールドアウトは嬉しかったですね。再始動と言うほど、休みが長かったわけではなく、かと言って短かったわけではなく、環境が大きく変わってファンクラブも解散した中、告知ツールがSNSだけだったんです。伝えきれないなと思っていて、実際まだライブをすることを知らない人はいたんです。それがすぐチケットが売り切れたことで、前向きになれました。

――では最後にメッセージを!

待っていてくれた方の想いがソールドアウトにつながって、身が引き締まる思いです。そうしてくれたからこそライブのクオリティーには気を付けないと。休んでいたからこんなもんか?って思われないようにしたいですね。積み重ねをリセットした分、取り戻さないといけないものが絶対ある。かといってあきらかに退化したな、進化していないなというふうにならないようにしたいです。あとここ最近作っている何曲か、圧倒的に今の方がいいので、そういう曲を出来次第ちょいちょい披露していけたら。僕のライブに来てくれる人はCDが好きな人が多いので、配信だけではなくいずれアルバムを出せたらとも思います。


インタビュー・文/早川矢寿子



Digital Single 「クレーマー」 Now on sale

近藤晃央 Official Website http://www.akihisakondo.net/
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