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「変わらないものも進化していくことも大事。両方欲しいから三者三様の幅が生まれる」Yurin(Vo/Gt)

2018/12/06 16:00

11月28日(水)に2ndアルバム「SODA POP FANCLUB 2」を発売した、サイダーガール。シュワシュワとはじける炭酸の泡は爽快感、その泡はあっという間に消えてなくなってしまう儚さ。そしてどんな色にも自在に変化していく――彼ら独自の“炭酸系サウンド”を目指し、昨年メジャーデビューを果たした3ピースバンドだ。今作は、映画およびテレビドラマ『兄友』の主題歌となった2ndシングル「パレット」、テレビドラマ『覚悟はいいかそこの女子。』挿入歌の3rdシングル「約束」、11月23日(金・祝)に公開した岡田将生主演の映画『家族のはなし』主題歌の「dialogue」など、全11曲が収録されている。模索の日々を経て作り上げられたという今作について、メンバー全員に話を聞いた。



「やっとアルバムの展望が見えたのは、最後のタームだった」


――今回の制作はいかがでしたか?

Yurin(Vo./Gt.):今までで一番長い制作でした。曲が出来上がるのが遅かったんですよね。ちょっとずつ曲を作っていって並べた時に、もう少しこういう曲があった方がいいねというように進めていったんです。最初から全部ポンと曲があるわけじゃなくて、レコーディング自体もちょっとずつ録っていったから時間がかかりました。その分、色々と悩んだりとかもしたんですけど、結果的に前作「SODA POP FANCLUB 1」でやったことをさらに広げて、かつ深く掘り下げて出来上がったアルバムになったと思います」

――メジャーデビューして一年が経ちますが、その中で受けた刺激などからの影響はありましたか?

知(Gt.):メジャーで初めて出したCD・前作「SODA POP FANCLUB 1」を引っさげて全国ツアーを回るということが、自分の中で次はどうしていこうかと考える期間になったんですよね。“どうして行けばいいんだろう……”と悩んじゃう時期に入ってしまって、すごい壁にぶち当たっていました。

フジムラ (Ba.):何をしたらいいのか分からなかったんです。今作「SODA POP FANCLUB 2」を作る上で、前作は振り切って自分らの幅を広げました。だからその流れを途切れることなく踏襲したいと思った時に、“じゃあどうしたらいいのができるんだろう?”と制作に行き詰まってしまいましたね。

Yurin:スタジオに入ってからみんなで曲を作りながら制作を進めていたので、“もっとこうした方がいいんじゃない?”とか、“ここはどういうイメージなの?”とアレンジの段階が一番煮詰まりましたね。だから時間がかかったし、話し合いも多かったと思います。

――そのような模索状態から脱することが出来たのは徐々にだったという感覚でしたか?

Yurin:うーん。一つひとつ付きっ切りで片付けていったって感じなのかな……

:レコーディングの一番最後の時ぐらいに、ようやく抜け出せたのかなという感覚になったような気がしています。曲ごとに時間が空いてしまったレコーディングだったので、一つのレコーディングが終わり次が始まるまでの間に新しい曲を制作していって。一曲ごとに悩んで完成させて、また次の曲挑戦してという流れでした。だから、やっとアルバムの展望が見えたのは最後のタームだったんですよね。

Yurin:でも「SODA POP FANCLUB 1」でいろんなことができたからこそ、「SODA POP FANCLUB 2」はもっとやれる手応えがあったので、2枚目のアルバムとしての意識はありませんでした。2ndアルバムだからということへの抵抗はなく、自然にバリエーション豊富な曲が出来上がってきたんです。悩んだ制作ではあったけど、みんなそれぞれに前作からの手応えが同じようにあったのかなと感じましたね。

:変わりたいという気持ちを僕は常々持っているんです。またYurinくんもフジムラさんも少なからず、同じような気持ちがあるとも感じています。その上でたくさんの人に聴いてもらいたいという目標をみんなで持っている。シーケンスなど今まで使っていたものを、どういう風に自分たちのカラーとして取り組めるかっていう意欲作に、「SODA POP FANCLUB 2」はなりました。“トライしたものを吸収したのがこれだよ”と提示できたアルバムだと思っています。


「サイダーガールらしくない曲がアルバムの核の一つになった」


――先ほどYurinさんが話されていたように、今作もバラエティに富んだ曲が揃った印象を受けました。しかもどの曲もサイダーガールとしてのサウンドのフィルターがしっかり通っていますよね。

:“ここまでやって大丈夫かな?”という心配はいつもあるんです。デモを持っていって、まず最初に聴いてくれるメンバーが“いいね!”って言ってくれたら、自分の中ではとりあえず“じゃあ大丈夫だな”って感覚にはなりますね。さらに僕はYurinくんが歌うこと前提で全ての曲を作ってるからこそ、Yurinくんが歌うことでサイダーガールらしさはかなり守られてるのかなって思うんです。

フジムラ:それに関して、僕も同じなんですよね。僕が作る曲ってメンバーからよくサイダーガールっぽくないって言われることが多いんです。だから余計に作ってる段階から“やりすぎちゃったかな……”って、心配で。でも実際にYurinが歌うと、なぜだかまとまるんです。また別のサイダーガールの味になるので、僕はいつもYurinの歌声に助けられてます。Yurinが歌うことで、僕の曲は中和されていくように感じています。

Yurin:ミニアルバムを含めて作品も6枚目ぐらいになるんで、作り続けてきたものがようやく土台になってきたと思うんです。だから、みんながいろんな曲を作っても、それぞれのらしさとして受け入れてもらえているのかなって。

フジムラ:一人だけが曲作りを担うのではなくてメンバーみんなが各々で曲を作るので、サイダーガールは三者三様であることが武器なんですよね。

:みんなバーって広がって飛んで行くけど、最後はしっかりとサイダーガールに収束するんですよ。それは僕も不思議だなと思っていて。だけど、任されたフレーズをどういう風に弾くかお互いに分かっていたりする、そういうバンドらしい関係性があるからなのかもしれないです。

Yurin:基本的に飽きっぽくて、欲張りで、いろんな人に聴いてもらいたいんですよね。そういったずっと変わらないものも大事だし、進化していくことも大事。両方とも欲しいから、幅の広さが生まれるんだと思います。

――特に4曲目に収録されている「化物」は、サイダーガールの幅を広げた曲ではないかと感じています。

フジムラ:さっき言った僕が作るサイダーガールらしくない曲の一つが「化物」だったんですよ。自分の中でも今まで通りのことをしたくないし、かと言って周りのバンドがやってるような曲もやりたくない。そういう時にちょうどアルバムについての話し合いで“リズム歌謡を作って見たらいいんじゃないか”という話をいただいて、挑戦してみようと作ったのがこの曲でした。

Yurin:こういう横ノリの曲がサイダーガールは少なかったので、デモを聴いた時に“今までにやってないことやろう”っていう意味では全然ありだなと思いましたね。フジムラらしい曲でした。

:実はこの前、デモを聴き返したんです。そうしたら、思ってたよりリズム歌謡っぽかった(笑)。でもちゃんと横ノリのサウンドに出来たことが、僕的には改めてすごいい曲になったなと思っています。僕は初めてデモを聴いた時に“どういうギターを入れてやろうかな……”とか今までにない企みをいろいろと考えることができたんです。「化物」はレコーディングの時期も早めだったこともあって、いろんな曲が生まれるきっかけにもなったとも思っています。“これがアルバムに入るんだったら、次はこういう曲を入れてみようかな”って自然と向かうことができました。個人的にはアルバムの核になる曲だと感じています。

フジムラ:こう言ってもらえることで、認められた感覚になりますよね。「SODA POP FANCLUB 2」の制作の前にも、デモを出す度に“フジムラの曲はサイダーガールっぽくない”とメンバーやスタッフから言われることが多かったので、すごい不安だったんです。「化物」を作って、それをみんなが気に入ってくれたんでホッとしました。また“フジムラはやりたいことが追求できたんじゃないか”と言われて、確かにその通りだなとも感じています。

:僕ら内側の中でサイダーガールっぽさについて話をしますけど、“サイダーガールっぽくあるべきだ”と強く言ってる訳ではないんです。フジムラさんが無理してるっぽい曲があんまり好きじゃなくて(苦笑)。「化物」はフジムラさんの力が抜けてる感じが伝わってきて、すごい良かったんです。


「意図しない偶然が絡み合っていくツアーって面白い」


――先月行われた東名阪での先取りツアーで「SODA POP FANCLUB 2」収録曲を披露されたとのことですが、いかがでしたか?

:アルバムの曲順通りに頭から演奏したので、お客さんがどう反応してくれるか心配でした。

フジムラ:お客さんみんな、ほとんど曲を知らない状態だったんですよね。でも自分たちの心配とは裏腹に、お客さんが手を挙げたり振ってくれたりして楽しんでくれていたことが嬉しかったです。もし自分がお客さんの立場で、好きなバンドのライブに行って“まだ発売されていないアルバムの新曲を全部やります”って言われても、ポカーンとして見てるだけになってしまうと思うんです。そんな中でもあの日のお客さんからのリアクションによって、みんな僕たちのアルバム「SODA POP FANCLUB 2」を本当に楽しみにして待ってくれている気がして、幸せなライブになりました。

――そんなライブを経て、来年から今作を携えた全国ツアーが始まります。

:今回のツアーは初日から積み重ねていく感覚を忘れないまま、ファイナルの東京までどう持っていけるのかというのか課題だと思っています。先取りツアーで僕たちが初披露した曲たちが今度は軸になるので、どういう風に育ったものを見せられるかっていうのが楽しみですね。

――名古屋公演はセミファイナルですね。

:名古屋がセミファイナルになるっていう、ツアーの後半戦で名古屋でのライブがあるのは僕たちにとっては珍しいことなんですよね。さらに名古屋クアトロは個人的にリベンジなので、今度こそソールドアウトしたい。実は今回のツアーって、初日が僕の出身地・北海道であったり、Yurinくんの地元・九州の福岡でのライブはYurinくんの誕生日だったりして、とても楽しみなんです。これは意図せず偶然に組んだものらしいんですけど、そうやって偶然に絡み合っていくツアーって面白いし、今からワクワクしています。


インタビュー・文/笠原幸乃


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サイダーガール Official Website https://cidergirl.jp/
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サイダーガール TOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-

2019/03/10(日)
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