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軽やかに心を自由にする みずみずしい佐野元春サウンド<佐野元春 & THE COYOTE BAND「禅BEAT 2018」 10/12(金) Zepp Nagoya公演 ライブレポート>

2018/10/19 15:00
[Live Report]
2018年・秋 全国ツアー 佐野元春 & THE COYOTE BAND「禅BEAT 2018」
10/12(金) Zepp Nagoya

◆軽やかに心を自由にする みずみずしい佐野元春サウンド 


1980年に「アンジェリーナ」でデビューし、「SOMEDAY」を筆頭に名曲を世に送り出してきた佐野元春。言葉の表現者として、ミュージシャンとして、後の世代に大きな影響をもたらした人物だ。デビュー40周年を間近に控えてのライブは、ほとんどが2010年代の佐野元春& THE COYOTE BAND名義の楽曲で構成され、これほどのキャリアを重ねてなお意欲的に音楽活動に取り組んでいることを示していた。新旧どのファンにも開かれた、モダンで洒脱な彼のスタンスに、会場には常に浮き足立った高揚感が漂っていた。

ライブが始まると、明快なキーボードのトーンが華やぐ夜の始まりを予感させる。佐野を待ちわびたお客さんはそのビートにサウンドに、すぐに気持ち良さそうに肩を揺らし始めた。「こんばんは、楽しい夜にしよう」。佐野の流れるようなMC一つひとつに嬉しそうにリアクションするお客さんの姿に、彼への信頼と期待が伝わってくる。テクニックもセンスも凄腕ばかりが揃ったTHE COYOTE BANDと佐野のセッションは、時に骨太なロックンロールで、時に何層にも重なった音のシャワーでフロアを満たしていった。佐野の佇まいはスマートで都会的だが、軽やかにステップを踏み、タンバリンを鳴らし、全身で音を感じて、誰よりもこの空間を愛しているのがわかる。繰り返されるビートのなかで温度を上げる演奏に、フロアの熱気も高まっていった。

オールドファンだけでなく、若い世代に向けて意識的に発信しているのも佐野の特徴だ。集まったすべての世代をエンパワメントする痛快な楽曲、心を急かす恋の歌など、どこまでもみずみずしく胸に響いた。ラストの曲では叙情的なイントロが始まるやいなや2階席まで総立ちになり、最高潮の盛り上がりの中で本編が締めくくられた。

佐野元春& THE COYOTE BAND名義の楽曲を中心にすえた本編を終え、80、90年代の楽曲を披露したアンコール。熱く、若々しさを感じるナンバーにいくつもの拳が突き上げられ、全員で歌い上げる光景に、佐野も充実の表情でステージを去っていった。

次回のライブは12月、今年で8回目となるクリスマスイベントだ。これまで東京のみの開催だったのが、今年は大阪、名古屋で初開催。くつろいだ中にも華やかな雰囲気があり、佐野とバンドのリラックスした表情がファンに人気だ。すべての世代に開かれたサウンドで心を自由にする、佐野元春ワールドにぜひ触れてみてほしい。


Text by 青木美穂

■Live info!
佐野元春&THE COYOTE BAND
「ロッキン・クリスマス 2018」東名阪ツアー
2018/12/10(月) Zepp Nagoya
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