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好評につきアンコール上演! 「死ぬまでに一度は観るべき」本物のエンターテイメント。作・構成・演出を手掛ける今村ねずみにインタビュー!

2018/10/12 16:00

ビートたけしに「死ぬまでに一度は観るべきだ」と言わしめたTHE CONVOY SHOW。走り出してから30数年、歌、ダンス、タップ、演劇、演奏を極め、これぞエンターテイメントと絶賛されるステージを繰り広げる彼ら。2年前から若手も加入し、昨年上演された「星屑バンプ」が好評につき再び上演される。大人は若者に、若者は大人に触発され、大切なものに気づかされるストーリーには、男たちの生き様も垣間見え胸に染みる。作・構成・演出を手掛ける今村ねずみに、舞台への意気込み、エンターテイメントに対するこだわりを聞いた。



――大人になりきれない大人と大人になれない若者が刺激しあう「星屑バンプ」の着想はどこから?

今村:「asiapan(アジァパン)」(2017年公演)の時、オーディションで選んだ若手を起用したんですけど、その時は若者と中年男のVSじゃなかったんです。彼らと一緒にやってみて、じゃあ彼らと真っ正面からぶつかった作品でどうなんだろうって。「asiapan」自体は中年男がとある遺跡の街を旅してて、ホテルの従業員とか物売りとか現地で働く若者の姿を通して、自分たちが忘れかけてた、失いかけたことを、異国の地に来て思気付かされてるっていう。そして自分たちはどこに向かって行くんだろうって作品だったんですよ。「星屑バンプ」のシチュエーションは、売れない年配役者とスターになりたい若者のお話。

――キレッキレのダンスから一転、舞台はデパートの屋上。戦隊モノのヒーローを演じる若者と、着ぐるみの中年男が出会います。

今村:なんでマスクプレイにしたかったか。これは、着ぐるみやヒーロー戦隊は、やってて素の自分をさらけ出すことができてないから。そのギャップの中でお互いに出会って、剥ぎ取っていったら、どういう風にお互いが輝き出すんだろうって。これが売れてる設定だったら面白くねえみたいな。この年になってもデパートの屋上で自分の好きなことをやっているおっさんたちを見ても、今の若者たちは夢なんか感じないよって思うんだけど、それでも夢を感じてるおっさんならどうだろうって。

――着ぐるみの中身がおじさんって所にまず惹きつけられますね。

今村:実際に60歳近くなってぬいぐるみを着て頑張っている人は少ないと思うけど(笑)、でも辞めずにやってるっていうシチュエーションなんです。ずっと好きなことをやってるおっさんを純粋に若者にぶつけたらどうなのかなって。それは彼らがそういう人たちを見て夢を感じるかどうかなんですよ。年取っても若くても、同じ未来はありますからね。長さはわからないけど、明日とか、明後日とか、生きてりゃ誰にだって未来はあるでしょ。

――確かに。

今村:それをどうやって生きてくかっていう。特権として若い人は時間があるから夢を多く語れるかって、うん、そうかもしれない、年配者は確かに彼らに比べれば勢いはないかもしれないけど、夢とか未来に関しては全然、この世で生きてる限りは一緒なので。それを同じ夢を見た段階で、世代を超えた人たちってどうなんだろうって。若いからとか年だからとかなんのハンディもない。追い続けてるか、見続けてるか、今っていう瞬間を生きる、そこが一番のポイント。過去、未来の多い少ないの問題じゃない。そういうのを書きたかった。

――それがまさに伝えたいこと。

今村:そりゃ、このくらいの年になると経験値とか、若い人と話してて実はさあ〜なんて言うけど、今の若い人たちを見てて、それはお前がホントに自分が感じたことなのか、思ったことなのか、って疑うことが結構多いじゃないですか。自分たちも、何知った風なこと言っちゃたりとか(笑)。とくに今の時代、これが(携帯電話に手を置き)できてからそうじゃないですか。

――情報が氾濫してますからね。

今村:でも一番の説得材料って、そこにいたかどうかでしょ、今回の舞台に関して言えば、同じ所に立ってて、同じ夢に向き合ってて、どうやって生きてくかっていうのが一番の説得材料なんです。昔こうだった、ああだった、お前若いから、関係ない。でも、それに向かっているお前は今どうなのよっていうのがお話の核になっている。老いも若きも関係ない。やってるやつはやってる。

――初演の時はどんな声が返ってきましたか?

今村:コンボイショウの原点に戻ったみたいって。それはどうしてかっていうと、いい意味でエネルギーがぶつかり合ってるっていうか、がむしゃらさがすごい出てるから。そりゃそうですよね、VSの話だから。

――若い世代を加入したことで活性化されましたか。

今村:確かに観てる人は若い人が入ってリフレッシュしたって言うけど、それは当たり前に感じることであって、メンバーも違えばそう思うし、女の子が入ったらまた変わってくるだろうし。ただ活性化されたって意味では、彼らだからじゃなくて、今までやってきたメンバーの中に誰が入ったとしても新しい風は入ってくるわけですから。そういった意味の風に対しては、受けて立ってるって感じはしたんじゃないんですか。

――脚本を読んだ時のメンバーの反応はいかがでしたか?

今村:今までのコンボイショウとは違うかなって。やってることは一緒なんだけど、なぜならばぶつける対象がちゃんとあるから。若者VSおっさんとか。ウエストサイドストーリーのジェット団とシャーク団みたいな感じだから、簡単に言うとですよ。

――わかりやすいですね。

今村:わかりやすい、わかりやすい。でも目指すとこは一緒。 その姿が描けたらなんの問題もない。

――客層も広がったのでは? たとえば「テニスの王子様」で本田礼生さんのファンになり、その方々が観に来るとか。

今村:そこに別に依存はしないけど。入口としてはいいんじゃないですか。

――それをきっかけにコンボイのファンになった方もいるでしょうね。

今村:ああ、いますね。だって、コンボイでは本田礼生そのものが生かされますからね。2.5次元(2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称)僕もやったことありますけど、原作ありきで、漫画がちゃんとあるものの中で、自由にできる範囲とできない範囲がはっきりしてますから、結局は観てる方の楽しみ方は漫画はこうだったけど実物はこうだみたいな見方もあるわけだし、でも演劇しかやってきてない人間にとってはそれはそれじゃんって。違うんですよね、見方がね。それで劇場に足を運ぶ人が増えたって意味では、他にはない文化だから、日本唯一の文化としてはすごいリスペクトするけど、それによってコンボイショウが変わるかと言ったら、変わらない。そういうのに依存はしてないし、たまたまそういう人が入っただけっていう。

――2.5次元の世界しか知らない人がコンボイショウ観たら驚くでしょうね。

今村:うん、だって漫画のキャラクターじゃないから。でも、今回はある意味2.5次元テイストが入っている(笑)。

――演じてる本人たちも確かな手応えがあったんじゃないですか。

今村:あるのかな(笑)。まあ、あると思いますけど。コンボイショウって、始まって終わるまでこんなに舞台で動き回るから、頭の中で言い聞かせても、実際身体を動かしてみると、想像をはるかに超えてるみたいなことはある。

――彼らにとってはチャレンジでしたよね。

今村:じゃないですか。言っていいですか? コイツら、コンボイショウ観たこともないのにオーディションに来たヤツばっかですよ。

――そうなんですか? ちなみにオーディションでは彼らのどこを見てましたか?

今村:一緒にやれるか、どうかってこと。8時間ぐらいやりますから。

――ん? 8時間…!

今村:これがダメだからっていう見方はしてないです。もしかして踊りはダメだけど芝居がいいかもしれないとか、芝居も踊りもダメだけど歌がいいかもしれないとか。あとは台本渡してみんなで芝居をやる。シーンや役柄を説明してから、せ〜の(パチンと手を叩いて)でやるんですけど、ワークショップですよね。オーディションに落ちる落ちないは一つの答えであって、あなたの演劇人生としての結果じゃないから。そんな風にやってます。

――たまたま今回は彼らに白羽の矢が立った。

今村:だから最終的に見てるのは、8時間付き合ってくれるかどうかですね(笑)。あれもできるこれもできるはすごい魅力的だけど、基本的にその場にちゃんといられるのかっていう基礎体力になってきますよね。自分のシーンが終わった段階で先が見えないヤツはダメですから。踊ってる人も見てるけど、休んでいる人も見てますから。8時間もいれば人間でますから。格好付けてる暇ないんで。

――興味深いです。

今村:それぐらいやらないとわかんないです。

――ちゃんとできる人たちが選ばれたわけですね。

今村:さほどできてなかったけどね(笑)。嘘うそ、できる人が選ばれた。ものすごいみんな上手くなりましたよ。彼らは力をつけましたよ。ここ1年ちょっとしか付き合ってないけど、たかだか数本の芝居でこんなんなっちゃうのお前みたいな。

――どこか一番、変わりましたか?

今村:舞台に対するもの作りの姿勢が変わりましたね。台本の読み方一つにしても、そこをたえずついてきたんで。台本渡して何言わせるかって言ったら、「今回のお芝居、友達だと思って話してみて」って。みんな答えられないんですよ。「このシーンの始まりはこうなってるけど、最後はこういう風になるよな」って。「このセリフで終わるけど、この前はどうだった? その心の変わりようが見たい」って。みんな自分のところしか読んでなかったりするの。「asiapan」は東南アジアのある国の話だったけど、「これ地球上でいったら、どこの国だか指さしてみて」って。だいたいイメージってあるじゃないですか、それすらも持ちあわせずに、何人かは平気でやれちゃったような人たちだから。お芝居を作る感覚とかセンスとか、そういうところから底上げをしました。

――「asiapan」と「星屑バンプ」の両方観た方が、さらなる彼らの変わりように驚いてますよね。

今村:だって若いから伸びしろ絶大じゃないですか。当たり前だろって(笑)。コンボイに入ったらみんな変わりますよ(笑)。道歩いてこうなったわけじゃないんだから。

――今回の再演にあたっては、残念ながら舘形さんが怪我で出演を断念されますね。

今村:リハーサルの1週間目でアキレス腱切っちゃって、そのまま病院行ってお医者さんとも話して、その段階でアウトだったんで、その日にスタッフとメンバー集めました。まあ、8人で作り上げたものが7人になるっていうのは、ちょっとしんどいなって思ったけど、その日の夜に台本を書き直しましたね。気持ち切り替えて、彼の分までとにかくやらなきゃって。

――代役を立てる案はなかった。

今村:まあ、無理ですね。エンターテイメントの曲も何十曲もあるし、覚えてもらうだけで精一杯だから。その人のペースに合わせられないっていうか。これが初演だったらまだよかったけど、再演ですし。新しい人呼んでもその人が沈没するだけですから。

――初演観た方が今回の再演を観たら…、

今村:新作になりましたね(笑)。親父軍団がドラえもんのイベントをやることになってて、僕がのび太君で、ジャイアンが黒須で、スネ夫がジュリで、舘形は静香ちゃんだったんだけど、その静香ちゃんがいなくなったっていう設定で、静香ちゃん役を捜してるっていうことになりましたね(笑)。

――それはそれで楽しめそうですね。

今村:でも舘形と一緒に作り上げた「星屑バンプ」は絶対みんなの中に残ってるし、今回もどこかにいる感覚があるんですよ。彼と一緒にできないのはすんごい残念だけど、彼が出られなくなったことをプラスに変えるかですよ。彼の分までっていうのをずっとモチベーションにしてましたね。

――地方によって反応は違いますか?

今村:違うと思うなあ。名古屋っていいと思いますよ。すごくアットホームな感じでイメージがいいですよ。名古屋の方って楽しみたい感はありますよね。名古屋は僕ら昔ある時期にテレビとかもやってたからね、深夜番組。そういった意味ではすごい思い入れありますよ。東海テレビで、ポー星人やってた頃でね。

――ポー星人ですか?

今村:ポー星人が街に繰り出していろんなことをするっていう。以前「パ+ピ+プ+ペ+ポ〜」って作品で宇宙人のキャラクター書いたことがあるんですよ。ちょうど携帯電話が出始めた頃で、なんでみんなピポパピって線もつながってないのに話してるんだろうって。俺は持ってなかったから。それが不思議で不思議で、頭の上を通過して誰かと誰かが喋ってるみたいな。それが宇宙人ぽくて、パピプペポ(笑)。

――今回「星屑バンプ」名古屋公演は10/19、20、21、名古屋市芸術創造センターにて。リピーターも多いですが、一度も観たことない人もまだいると思います。そういう人に向けて、コンボイとは何?と訊かれたらどう答えますか?

今村:それ、ビッグクエスチョンだね。まだいっぱいいるでしょう。そういう人に聞かれたら、答えは「観に来て下さい」。答えは「あなたの中にある」(笑)。っていうか、それをずっと今まで答えてきましたけど、確かに”全員が主役で脇役”とか、”2時間ちょっとのノンストップ”とか…

――”走り出したら止まらない”。

今村:とか、コンボイならではの歌、踊り、タップ、一つのお話の流れの中で独自スタイルで組み立てたコンボイショウって言い方はできるけど、唯一言えるのは、他にはないですよって、総エンターテイメントを通して男たちの生き様が見える舞台は。そんな集団なんじゃないですか。

――続けてこられた原動力は?

今村:なんにもすることがなかったから(苦笑)。ほんとほんと。

――走り出しの頃と今。どこに違いがありますか?

今村:モチベーションは変わってないんですよ、結局は自分にとってエンターテイメントはなんぞや?ってやってるんで、この年になってもたえず問いかけてくるものがあるんです。ただある程度の知恵がついてきたのは事実。曲がりなりにも30年やってりゃある程度のスタイルは見えてくるし、そこを探っていこうと思います。それが見えてきたっていうのは、すごく大きな違いかもしれない。

――生き様と言う意味では、駆け抜けてきた今の方がより深みが増しているのでは?

今村:彼らのお父さんは俺より若いっすからね。俺はお前のお父さんと同じくらいの年齢だけど、こんなことしねえよじゃなくて、やるよっていう方が、彼らにとっては刺激的なんじゃないですか。

――彼らは憧れさせてくれる大人はなかなかいないってつぶやいてますよ。

今村:俺たちが憧れんなっちゃうの(笑)? 面白いんじゃないの? 現実にそういうおっさんたちと触れる機会って少ないと思うから、彼らにとってのいい感じのモルモットなんじゃないの? 俺、ねずみだし(笑)。実験材料になってるんじゃないの?

――創作する上でインスパイアされるものは?

今村:旅。はははっ。旅の行程かな。ずっと妄想が入ってますから。はははっ。人見てて、この人はサラリーマンで離婚したなとか、この人の体重120キロ超えてんなあとか(笑)、コーラは軽く2リッターは飲んでるはずとか、くだらないけど。人もそうだし、街並みもそうだし、目的地に行くまでの流れる景色もそうだし、山手線だったらまじまじ見る必要もないし写真なんか撮らないけど、向こう行くと写真を撮ってる自分もいるし、非日常的なものだから。見たことのない色とか形とかに出会ったらすべてが刺激的。そこに身を置きコーヒー1杯買うだけでもね。

――舞台を作り上げている時はまた別の感覚が働くんでしょうね。ちなみにダメ出しはする方ですか?

今村:人に? しますね。でもむやみやたらにはしない。感情はいれない。「今日お前帰っていいよ」ってなった時もあるけど、感情論になると人間否定まで入っちゃう時あるから。落ち着いてやる。

――演出をする上で難しいところはどこですか?

今村:流れ。シーンの運びとか。踊りは振り付け家にイメージを伝えて作ってもらうけど。どうやってインサートしてアウトしていくかとか、意味合いとか考えて、ただダンス公演の中に芝居が入ってる、それは違うって。全部意味合いのある曲ですから、シーンに全部関わってる。たとえば英語の歌詞が絶対リンクしてて次に繋がってますよとか、感覚的なものもあるけど、わかる人はわかってくれる。その中で流れは大事にしてる。

――選曲にも定評がありますよね。センスがいいと。

今村:言われる。昔っから言われる(笑)。聴く時はiTunesの前にずっといるし、見つからなかったらタワーレコードにも行く。レコメンド見る(笑)。あと従業員に聞く。「オススメある?」って漠然と。そこで1曲でも2曲でも見つかったら、そんなラッキーなことはないっすよ。そういうものを作ってくれるミュージシャンの知り合いがいるかっていったら、いない。だって、いろんな曲使うんで。だからコンボイショウはそれも大変。

――ズバリ、いい舞台の条件とは?

今村:いい舞台の条件? 時間を忘れさせてくれること、時間を止めてくれること、かな?「ええーっ、もうこんな時間?」みたいな。やっぱりそこで役者の生き感みたいなものがすごく見える舞台が好きだな。

――少し悩まれるのかと思いきや、即答でしたね。

今村:舞台やってる身だから。血の通ってない舞台見せられたら、いやいや、あなた今のセリフおかしいでしょ。それ位置関係もおかしいってなっちゃう。言い方いっぱいあるけど、外れかって聞かれたら外れてる〜。想像を超えたところの称賛はするけど、いやいや、そういう芝居はないでしょ。時々そういうのが見えちゃう。下着の臭さまで見えちゃう役者、大っ嫌い。おいおい、白いタイツ履いて下に柄パン履いてんじゃねえよみたいな。お前ここどこ?いつの時代?貴族なのに生活感出てるよ。ダメだと思いません? 別に意地悪な見方してるわけじゃないけど、パッと見て現実に引き戻されるのはダメですよね。やっぱり自分達の世界に連れていかないと。

――いい舞台や映画は確かに時間を忘れさせてくれますね。そこにいることさえも。

今村:いろんな芝居あるんですよ。昔はいっぱい観まくってたから。でもコンボイショウ観てそう感じる人がいるかもしれないし。でも言われても、今できることめいっぱい詰め込んでやった舞台だから平気。はははっ。

――では最後に、このエリアの方に向けて、まだコンボイを体感していない人に向けて一言。

今村:コンボイショウってこれからより今です。このショウのスタイルを観て頂きたい。コンボイショウはずうっとコンボイショウのスタイルを追い続けてますけど、人の生き様が見える舞台です。今回の「星屑バンプ」に関しては若い方から年配の方まで、家族、友達同士、絶対楽しめる舞台なので、ほんとに1回コンボイショウ体感して頂けたら嬉しいです。騙されたと思って一度ご覧ください。


インタビュー・文/深見恵美子
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