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ピッパラの樹の下から、きせきのつるぎを装備してnano.RIPEが向かうのは、結成20周年、全国ワンマンライブの旅!!!

2018/10/03 18:00

今年結成20周年を迎えたnano.RIPEが、ふたり体制になってから初となる6thアルバム「ピッパラの樹の下で」をリリースした。
ここにしか収録されない『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』OP主題歌や、タイアップ曲・インディーズ時代の名曲「上弦」、ライブ会場限定でリリースされ名曲の呼び声高い「夜の太陽」のアコースティックVer.を含む全13曲は、バンドサウンドから、ストリングスが響くリード曲や「アザレア」まで、結成20周年を迎えたバンドとしての幅を魅せる内容。
一瞬と永遠が織りなす世界を、喜怒哀楽の透き間を零れ落ちる感情もすべて音楽にするnano.RIPEのVocal & Guitar きみコ・Guitar ササキジュンにインタビュー!



――アルバムタイトルにある「ピッパラの樹」は、その樹の下で仏陀が悟を開いたと言わるインド菩提樹のこと。20周年を迎えたnano.RIPEが得た悟り=答えが詰め込まれたアルバムはどんなふうに制作されていったのでしょうか。

きみコ:このアルバムは6枚目でありながら20周年の記念盤でもあるので、どういう方向の作品にするか、まず一番キモであるリードトラックをどういう曲にしようかとみんなで話し合ったんです。それで決まったのがバラード曲にすること。今までnano.RIPEはたくさんバラードを書いてきたんですけど、実はリードトラックとして打ち出したことはなかったんです。バンドが歩んできた道をテーマに、バラードを作るところから制作は始まりました。

――それが「ポラリス」。nano.RIPEが、どんな旅をしてきたのかが伝わる曲ですね。

ササキジュン:アルバムのリード曲は、今まで既存曲から選ぶことが多かったんです。今回はアルバムのために新たに作る、しかもバラード。初めてだったのでプレッシャーがすごかったですね。今までメロディが浮かばないということはなかったんですけど、なかなか出来なくて。大変だったんですけど、きみコの歌詞が乗って出来上がった時に、本当に20年の集大成だと感じるものになりました。みんなで話し合い、完成した曲。苦しんだから、より思い入れもありますね。

きみコ:歌詞を書いている時は、“ぼく”や“きみ”が、ジュンだったり今まで一緒に活動してきたメンバーだったり、スタッフだったり、ライブを想う時はお客さん、というイメージで書いたんです。でも実際に完成して歌ってみると、意外にバンドのことより人生に近くなったなというのを感じて。もちろん20年やっているのでバンド=人生でもあるんですけど、生まれてからこれまでを表している歌。そんなイメージがありますね。ミュージックビデオの挿話、兄弟の旅はnano.RIPEの歩みと重なるもの。全貌を知った時に感動しました。ぜひ映像も見てほしい楽曲です。

――アルバムの一曲目はnano.RIPEの風にパッと飛び乗れる「インソムニア」。

ササキ:この曲はアレンジを石田ショーキチさんにお願いしたんですけど、元々は8ビートの曲で自分としては弦を入れたり鍵盤を入れたりしたらnano.RIPEっぽくなるのかなという印象でいたら、ショーキチさんは一曲目にすることや疾走感を含めて4つ打ちでいこうと。始めは正直、抵抗があったんです。でもスタジオでみんなでやったら、一曲目にふさわしい曲になって、導いてもらえたなと。フレーズもnano.RIPEっぽさを意識して作ったので、ライブでやってもお客さんが入りやすい感じがしますね。

――「夜の太陽」はライブ会場限定でリリースされたもの。それをクレセントver.として収録。

ササキ:アルバム収録する際に、ライブに来てくれるかたにとっては別バージョンのものをお届けする形にしたいなとまったく違うアレンジをつけることにしたんです。でも自分でいったんアレンジを完成させたものを壊して別のアレンジを作るということがとても難しくて。考えたら、今までやったことがなかった初の試み。本当に最後まで悩んで、きみコにも相談したりしながらやっと完成させた曲ですね。ふたり体制になってから初めて出来た曲ということもあって印象深い曲です。

――このアルバムに欠かせないと言う曲は「月兎時」。

ササキ:これはTVアニメ「食戟のソーマ 餐ノ皿」ED主題歌のお話をいただいた時に、3曲目の「虚虚実実」と同時に出来た曲なんです。最終的にみんなで主題歌には「虚虚実実」を選んだんですけど、きみコがこの「月兎時」のメロディーをすごく気に入ってくれていて。それでアルバムには必ず入れようとアレンジをつけていくうちに、どんどんnano.RIPEの深い部分に行けるような曲になって、お客さんも絶対好きだろうなと予想できた。実際リリースしたら新録した中でこの曲が一番人気が高かったんです。ライブでも盛り上がれそうだし、まだ披露したことがないので今度のツアーでやるのが楽しみなんです。

きみコ:今回のアルバムは『ピッパラの樹の下で』というタイトルに込めたように、輪廻や再スタートをテーマにしているので、そういう意味でこの曲は欠かせないものになったと思います。サウンドもnano.RIPEらしくて、だからこそ好きなことを歌えたんですけど、書いているうちにどこまで言ってもいいんだろう?と思いもしました。それこそこのアルバムタイトルをつけるきっかけになった、手塚治虫先生の漫画『ブッダ』に出合えたからこそ、出てきた物語みたいなところがすごくあるんです。この20年、ジュンと喧嘩をしたこともあったし、スタッフや今までのメンバーと噛み合わず、世の中すべてが敵に見えていた時期があったんです。そこから脱することが出来て、やっと今歌える物語。5、6年前のあたしが見ると、何を言っているんだろう?と思う歌詞は、このアルバムの中で一番あたしらしい歌詞とも思います。

――“満たされるまでは終われない”とも歌っていますね。そこにnano.RIPEの、これからがあるのかなと思いました。

きみコ:nano.RIPEが20年続けてきた秘訣は?とよく聞かれるんですけど、まだ満たされていないというのが一番の原動力性。満足できちゃっていたら、どこかのタイミングで終わっていたと思うんです。まだまだ全然なので、そう思っているうちはnano.RIPEは続くんだろうなと思います。

――アルバムは地に根を下ろし、果てない空へ言の葉を芽吹かせながら「うてな」、そしてラストの「ステム」へと向かう。

きみコ:「うてな」は、10年くらい前かな?曲の切れ端みたいなものが生まれて、気に入っていたんですけど、手をつけられずにいたんです。今、聴き直したらすごくいい曲だと思って、すでについていたタイトル「うてな」を、これって意味はなんだったかな?と調べたら、極楽浄土に行った人が座る蓮の台座のこと。ああ、今、完成させる時なんだと。まだ『ブッダ』を読んでいなかった当時のあたしが、どういう気持ちで書いていたのかはわからない。でも昔の自分からの贈り物みたいに感じたんです。きっと当時は完成させるまでの思想がなくて、ただそういうことを書きたくて切れ端を残していて、それを今のあたしが受け取って仕上げることが出来た、そんな気がして。長い時を経て完成する曲ってあるんだなって思いました。

――「ステム」は、軸・草花の茎・木の幹の意。

きみコ:あたしはどちらかというと軸、自分の中に一本ある軸っていうのが、こういうことだという意味で書いたんですけど、結果としてこのアルバムが「ピッパラの樹の下で」というタイトルになり、「ステム」の前に「うてな」という曲がある。茎とか幹という意味にも美しくはまっていると思います。バンドのことを素直に包み隠さず書いているこの曲を最後に持ってくることによって、20周年の集大成のさらに先というか、ここから始めるという意志表示になったと思っています。

ササキ:ライブを意識してシンプルにしていこうと決めてから、一番に出来た曲ですね。どんどんいろんなことをやっていきたくなって、音楽の幅も広がった今、原点回帰じゃないですけど逆にバンドだけのサウンドが一番歌詞もメロディも伝わりやすい、シンプルにしていくことが伝わりやすいという気持ちに気づけた曲でもありますね。

――あらためてこのアルバムに思うことは。

きみコ:ふたりになって初めてのアルバムということで、マイナスなイメージを持っているかたがどうしてもいたんです。ライブにあまり足を運ばなくなってしまったかたもいらして。そういう人達にも向けて、ふたりのnano.RIPEでもいいものを作れるよ、いろんなことがあっていろんなメンバーが支えてくれて、今ふたりになって出来たよっていうのがすごく本音なので。今まであったことを否定せず、シンプルにふたりでnano.RIPEを続けていって最高傑作というものが出来たと自信を持って言える。みんな愛してくれるからこそいろんな感情があると思うんですけど、いったんちょっと忘れて作品を聴いてもらいたいんです。そうしたら、nano.RIPEのこれからと今がわかってもらえるんじゃないかなと思います。この先長く聴いていただける曲になったし、聴いていくたびに表情が変わる作品にもきっとなっていくので、なるべくそばに置いていただけたらと思います。

――初回限定盤にはDisc2に nano.RIPE 20th Anniversary 2DAYS ONEMAN LIVE「おもいでのすず」(2018/4/7.8@下北沢Club Que)から12曲収録、同梱されている。

ササキ:ここ最近、下北沢でやることが多いんです。僕らはどんなに大きな会場でやるようになっても、ライブハウスでもやっていきたいというのがあって、この時はかぶり曲一切なしのセットリスト、nano.RIPEのヒストリー的な46曲くらいの2daysでした。ふたりになってから、このライブまでにこれほどの曲数をやることが無かったので、サポートミュージシャンの皆さんに覚えてもらったり大変ではあったんですけど、これからどんどんライブをやっていく勢いをここで得ることが出来た。いい再スタートを切れたライブ音源をぜひ聴いてもらいたいですね。

――10月からはいよいよ20周年記念ワンマンツアー「きせきのつるぎ」が開催される。名古屋公演は 10/13(土) アポロベイスにて。それで、この「きせきのつるぎ」はやはりあの・・・

きみコ:はい、ドラ〇〇です(笑)

――「きせきのつるぎ」を持っていくライブですか?それとも探しに行くライブ。

きみコ:これはもう装備です! ライブって、搬入してリハーサルして、本番をやって、搬出して打ち上げして、と一日で普通に生活している何日分ものカロリーを使うんですけど、ツアー中ってどんどん元気になっていくんです。その仕組みって多分、きせきのつるぎみたいに、使っているんだけど、みんなからパワーを吸収しているから。みんなから元気をもらって、より元気になってレベルも上がった状態でファイナルに向かう気持ちで、このツアータイトルをつけました。2カ所目の名古屋はいつも元気!初日の下北沢も元気なので、スタートダッシュをトントントンと決めて、勢いをつけて全国を回りたいと思います。

ササキ:去年は全国ツアーが出来なかったのがとてもくやしかったんです。ライブバンドなんだという気持ちをステージで早く体感したいですね。20年音楽をずっと続けてきて、楽しいこともあったしつらいこと、悲しい別れもあって、それでも音楽をやめないことが正解なんだろうなと思っていて。nano.RIPEが変わらない形で音楽を続けられる方法を考えながら、死ぬまでライブをやっていられるようなバンドになれたらと思っています。20周年は当たり前のことを言うようだけど、今年だけのこと。たくさんの人に20周年のライブを見てもらいたいです。ぜひ、いらしてください!


インタビュー・文/早川矢寿子


New Album 「ピッパラの樹の下で」 Now on sale

nano.RIPE Official Website http://nanoripe.com/
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