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バンド結成5周年イヤーに突入したsumikaが新作「Fiction e.p」をリリースしバンド史上最大規模のホールツアーが決定!片岡健太(Vo, G)と荒井智之(Dr, Cho)にインタビュー!

2018/06/15 18:30


「sumikaの音楽がどんな人にも伝わればいいなと思うし

バンド側が聴く人を選ばないことは大切にしている」


バンド結成5周年イヤーに突入したsumikaが新作「Fiction e.p」をリリースした。今作にはTVアニメ「ヲタクに恋は難しい」のオープニング・テーマ「フィクション」を含む全4曲が収録されており、枠にとらわれないsumikaらしいバラエティー豊かな4曲に仕上がっている。さらにバンドの加速度的な注目度を象徴するように日本武道館2days公演を含むバンド史上最大規模のホールツアーが決定。今作について片岡健太(Vo, G)と荒井智之(Dr, Cho)に話を聞いた。



「5年間の歩みを振り返って、正しくアップデートできた1枚」


――新作「Fiction e.p」はバンドにとってどんな1枚になりましたか?

荒井:今年でバンド結成5周年なんですが、これまでの活動でどんな事をしてきたか丁寧に振り返った上で、sumikaがどんなバンドであるかを改めて自己紹介できる1枚になったと思います。4曲とも全く雰囲気が違うんですけど、それは狙ったんじゃなくて1曲1曲の個性にフォーカスしていったら自然にこの4曲が揃っていたんです。“この曲がどうしたらもっと良くなるか”と1曲単位で取り組んでいった結果、このバランスが出揃ったので、曲調が全然違ってもどれもsumikaらしい曲になったと自信をもって言えます。その中にこれまでの真骨頂のような曲もあれば新しいことにチャンレンジできた曲もあるので、それはこれまでの5年間の歩みを自分たちの中で正しくアップデートできていると実感できました。

片岡:あとは初めてアニメのタイアップで作った「フィクション」という曲もあって、アニメを観た上でsumikaがどんな風に力になれるかと考えて曲が出来上がりました。逆にsumikaらしく力になれないなら断ろうと思っていたので、作品を観て感動した気持ちを素直に込められて良かったです。アニメ側と歌詞の確認も一回のラリーだけで終わったので、お互いがノンストレスで作りたいものを突き詰めて完成しました。不純物がどこにもなかったからこそ生まれた曲で、だからこの曲の反応がすごく良いのかなと思っています。

――sumikaはこれまでも様々なミュージシャンと共演をしてきましたし、今回のタイアップという形もsumikaらしさの一つかもしれませんね。

片岡:確かにそうですね。sumikaは色んなアーティストとのコラボレーションを楽しむというテーマがあるので、そうした他の人たちとの掛け算を楽しめるバンドなんですよね。そのコラボを引き算ではなく絶対に掛け算にしたい気持ちがあって。相手がどれだけ素敵でも自分たちがゼロだったら何を掛けてもゼロになってしまうので、相乗効果でより良いものを作っていきたいという思いで活動してきました。


「英語の発音が流暢なDJがsumikaで『いいのに』と言うことを妄想した(笑)」


――ちなみに今作で新しく挑戦したといえるのはどの楽曲ですか?

荒井:最後の「いいのに」ですね。この曲は「モータウン meets 東京」というテーマと共に片岡が鼻息荒くメンバー全員の前でプレゼンしてくれました(笑)。

片岡:ラジオで流れることを想定して作る曲だったので、どんな曲がラジオから流れてきたら面白いかなと思って作りはじめました。それで「モータウン meets 東京」というテーマは、実際に東京の夜を車で走ってラジオを聴いている時に思いついたんです。それと同時に「カラオケ」というテーマも浮かんできて。カラオケは日本が生んだ文化だから、日本独自のカルチャーを他の国の文化と掛け算したいなと思ったんです。それでモータウンのサウンドと東京を掛けあせて、それがラジオから流れてきたら面白いなと思って。その翌日にメンバーに“良いこと思いついちゃったんだ〜”と言いながらすぐにプレゼンしました(笑)。

荒井:今までそうしたサウンドは一度もしたことがなかったし、そもそもコンセプトがすごく面白いじゃないですか(笑)。だからメンバー全員がめちゃくちゃ良い反応をして、すぐに曲作りにかかりましたね。

片岡:やったことのない音楽にチャンレンジすることもsumikaらしさなので、そうした曲が作品の最後に入っていることも自分たちっぽいなと思いますね。

――「いいのに」のアイディアが浮かんだ時、片岡さんかなりワクワクしていたことが伝わってきます(笑)。

片岡:“どうだどうだ!?面白いだろ?”とガッツポーズでしたね。ラジオを聴いている時間がすごく好きで、DJの話の内容から次にどんな曲が流れてくるのか考えるのが楽しくて。“ああ、こうきたか。じゃあ自分だったらこうするな”と想像するのが癖で、その延長線上の発想で生まれたんだと思います。それこそ架空の自分の番組まで妄想して、そこでsumikaのどんな曲調のどんなタイトルの曲がいいのかまで考えましたからね(笑)。それこそFMラジオの英語の発音が流暢なDJの方いるじゃないですか。それをイメージしながら口調まで真似して“sumikaで「いいのに」”と言ったら面白いだろうなと。バリバリの日本語の「いいのに」という言葉を流暢な英語で発音したらフックになるし、それがリスナーの耳に残るのかなと。そこまで妄想しながら作った曲なので、僕の欲望というかドラマを詰め込んだ1曲です(笑)。

荒井:片岡のこういう所が本当にすごい(笑)。僕じゃあここまで一気に考えられないし、彼の場合しっかりロジックもあるんですよね。だから一緒に音楽を作っていても色んな方向性の引き出しがあるから刺激を受けます。

片岡:でも僕からしてみると「モータウン meets 東京」なんていう無茶振りに近いテーマをしっかり曲にしてくれるのはありがたくて。sumikaのメンバーは咀嚼力がすごいから、きちんと自分のものとしてアウトプットしてくれるんですよね。例えばざっくりとした鰹節を放り投げても、それをちゃんと噛み砕いてくれる(笑)。変に作り込みすぎるんじゃなくて、漠然とでもいいから面白いと思ったアイディアを投げたらそれがちゃんと曲になる信頼感があるから、すごく居心地良いですよ(笑)。


「全員で同じだけのリスクを背負ってバンド活動ができているから

メンバーへの信頼感がとてもあるし居心地が良いんです」


――sumikaは人と人のつながりを大事にして活動してきたバンドですが、やはり根本にはメンバー同士の信頼が一番にあるんですね。

片岡:さっきの掛け算の話と同じで、アイディアは自分がもってくる事が多いかもしれないですけど、メンバー全員で同じだけのリスクを背負って曲作りや音楽活動をしている感覚がすごくあるんですよね。メンバーが一人でもゼロだったらゼロになるし、そこはボーカルだからギターだからとその役割によって責任が変わるわけじゃない。僕が100出し切っても皆が1だったら、そのタネのままの状態で世にでちゃうわけで。メンバーに対して信頼感がすごいのは、“自分が頑張ったらもっと頑張るだろう”とか“140キロのストレート投げたら次の人は145キロを目指せるバンド”だからなんですよね。

――いま片岡さんが言っていることはすごくよく分かります。

片岡:それはメンバーだけでライブが成立しない事にも繋がってる気がします。僕らにはベースがいないのでサポートメンバーがいないとライブができないから、まずはメンバーの4人が120%をださないと次の人にリレーすることすらできないと思うので。4人で100%になれるんだったら最初の人が25%で次の人が25%…みたいな感じで帳尻合わせができるかもしれないけど、メンバーだけでは不完全だからこそまず自分自身がやりきらない事には掛け算ができない。そこはバンドメンバー以外の人と一緒にやるっていう事が緊張感にも繋がってプラスに作用していると思います。

荒井:僕はすごくシンプルに考えていて。単純に皆が作ってくるメロデイーや歌詞がすごく良いので、音楽としてとても魅力的だからこそ“もっと良くしたい”と素直に思えるんですよね。だから“俺も頑張ってこの曲を良くしよう”と無理やり思っているわけではなく、“この曲こうした方が絶対いいじゃん!”とか“俺だったらこう聴きたいんだよな”っていう気持ちでアプローチできるのが僕にとってはすごくありがたいんです。変な言い方かもしれないですけど、sumikaの楽曲のいちファンとして自分の好きなように楽曲を味付けできる立場にいるのは幸せなことですね。

――そうした信頼関係がある中で、お互いが自由に音楽をできていると思えるのは素敵ですね。

片岡:それはメンバー全員が感じていると思います。あまり他のメンバーの顔色を良い意味でうかがいすぎないというか。まずそれぞれがやりたいことを全部詰め込んで、最後に削っていけばいいというスタンスなんですよね。それは色んなやり方をしてきた上で、今のやり方が一番良いなと気づけたことが大きいです。

――sumikaのメンバーはミュージシャンとしてのスキルは一人ひとりすごく高いと思うんですけど、そうしたものを感じさせない伝わりやすさが楽曲にあることが強みなのかなと思っています。

片岡:タモリさんが「難しいことを難しいまま言うやつは馬鹿だ」と言っていて、本当にその通りだなと。専門用語をたくさん使えばそれっぽくなりますけど、それは本当の頭の良さじゃないよなと。さっき咀嚼力の話がありましたけど、ちゃんと噛み砕いて子どもにも伝えられるかどうかは大事だと思うんですよね。そこをちゃんと噛み砕ける人の方がかっこいいと思っていて。文学的な歌詞を書きたい時はそういうものを書く時もありますけど、“この曲どういう曲ですか?”と聞かれた時にパッとわかりやすく一言で言えないと意味がないと思うので。僕たちは演奏がうまいと思って音楽をしているわけじゃなくて、“この音楽良いな”って思ってもらえたら嬉しいので。sumikaの音楽がどんな人にも伝わるものであればいいなと思うし、こちら側が聴く人を選ばないというのはすごく重要なことじゃないのかなと。

――本当にそうですね。それを体現し続けているのがsumikaの音楽だと思います。今年は節目の結成5周年でもあるので、これからのさらなる活躍を楽しみにしています。

片岡:健康だけは気をつけたいですね。元気がないと何もできないので。逆猪木ですよ(笑)。


インタビュー・文/菊池嘉人

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sumika Official Site http://sumika.info/
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