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音楽制作ユニット・Mili(ミリー) 待望の3rdアルバム「Millennium Mother」は”アンドロイドが見た夢を巡る”全20曲!メインコンポーザーKasaiとボーカリストmomocashewにインタビュー!

2018/05/11 15:00


「僕らは一つの国にこだわらず、世界的に聴かれることを望んでる」


世界的人気の音楽ゲームアプリ「Deemo」への楽曲提供を通し、一躍話題となった音楽制作ユニット・Mili。主軸はメインコンポーザーYamato Kasaiと、英語、日本語、中国語を使い分けるカナダ国籍のボーカリストmomocashew(モモカシュー)。待望の3rdアルバム「Millennium Mother」は”アンドロイドが見た夢を巡る”なんと全20曲! 世界を股にかけながらも、いまだ神秘のベールに包まれるKasaiとモモカシューへの貴重なインタビューだ。


――海外のスマホアプリと日本の音楽のコラボレーションという今までにない試みから始まり、着々とMiliの音楽は広がっていますが手応えは?

kasai:ゲームのアプリからっていうのはだいぶ落ち着きはして、アプリのファンもたくさんいるのでアプリからMiliを知った人もいれば、その広がりから外れて、YouTubeとかまた別のところからっていうのが多くなってきたのかなっていう印象はあります。

momocashew:う−ん、そうですね。

――それは楽曲自体が届いてる証拠ですね。

kasai:そうですね。なんでゲームで使用してた曲とかも、ゲームをやってないけどこの曲は知ってるという人もけっこう増えて。割合的にはわからないですけど、そういうMiliのファンはほんとに多くなりましたね。

――楽曲制作において、ゲーム用ということで意識しなくてはならない部分などはあるんでしょうか?

kasai:本来はそういう意識は必要だったんですけど、ゲームセンターでやるリズムゲームとスマホでやるリズムゲームは、おんなじ中身でも使う人たちが違うんですよね。より一般的な層で、ゲームでちょっと遊びたいなって子たちが気軽に遊んだりするものなので、あくまで普通の音楽に対してリズムゲームの要素を足せるような曲。

――確かに楽曲たちはゲーム用という枠をはるかに超えてますもんね。

kasai:完全にゲーム用っていうわけではない。普通にいい音楽なら受け入れられるだろうっていう。

――4/25に3rdアルバム「Millennium Mother」がリリースされましたが、タイトルの意図は?

momocashew:ジャケットに描かれてるレフティ君っていうキャラクターがいて、この子はロボットで、レフティ君が見るいろんな夢をコンセプトとして作ったアルバムなんです。ミレニアムマザーはその世界のある組織の名前です。そこはちょっと秘密にして、ファンに自由に想像してもらえたらって思っています。

――それでアンドロイドが見た夢をめぐる20曲と謳っているんですね。最初からこんな多くの楽曲を作ろうとしてたんですか?

kasai:最初は16、7?

momocashew:でもそれも多い。

kasai:最初から多かったんですけど、制作が佳境になるタイミングで、どこからかもう2、3曲増やそうって話になって(笑)。

momocashew:そう、20曲になりましたね。

kasai:どの曲もそうなんですけど、もともと1曲1曲がそんなに長くないんで。いわゆるアーティストさんって5分、長くて6分くらい作るんですけど、僕自身あんまり好きじゃなくて。サクッと聴いて、サクッと終わる。聴きたい人はもう1回聴けばいいじゃんっていう。あまりにも長引かせるよりも、ちょっと足んない、もう1回聴きたいなって思わせる長さが僕は好きなので。ってなるとアルバムが10曲入りになると、長さが30分いくかいかないかになっちゃうので。

momocashew:そうそう、短いね。

kasai:なので曲数増やして、その分いろんな色を見せようと。

――それにしてもレフティ君はいろんな夢を見てますね。

momocashew:そうですよね(笑)。

――今回、world's end girlfriendとDE DE MOUSEとの初コラボも話題になっていますが、まさに音がカラフルに広がりますね。

momocashew:今までMiliの中で完結した曲と流れが違うというか、Miliだけじゃ出せない音、なんか新しくなった感じがします。Miliの音もあるけど、world's end girlfriendやDE DE MOUSEさんの音も混ざってて、新しい音になって、Miliだけじゃできないものができているように思います。

kasai:world's end girlfriendさんやDE DE MOUSEさんに関しては、こういうエレクトロニックな音楽をやるきっかけになったアーティストさんでもあって、もともとすごく尊敬してて追っかけてたんですよ。お二人に挨拶させてもらう機会があって、一緒にやりたいですっていう流れからきていて、僕からしたら憧れの人とコラボができたっていう。

――コラボすることによって改めて気づかされたことなどありますか?

kasai:曲を作ってる側からすると、たとえば最初にトラックをお渡しして、お二方がお互い別の場所でアレンジするんですけど、二人ともとうぜん僕のアレンジの方法とは全然違うアプローチでくるので、簡単にデータを切っちゃって別のところに貼り付けたりとか、僕には持っていないやり方で。

――それは新鮮でしょうね。

kasai:たぶん今までMiliの歌を聴いてくれているファンにとっても、基本僕の編曲のアプローチだったのが別の作り方になるので、土台が違う上にヴォーカルがいるっていう点では、僕らもファンの人たちも楽しめるんじゃないかと。なんかMiliっぽいけどMiliじゃない。でもMiliみたいな(笑)。

――ちなみにkasaiさんの個人的な押し曲は「Fossil」「Let the Maggots Sing」だと。押しポイントは?

kasai:「Fossil」に関しては、たぶん人気が出るとかそういうのではないんですよ。単純に僕の好みの音楽を作ったっていう(笑)。個人的にはアルバム全体の押し曲にしたいレベルなんですけど、ただ僕が作ってて好きだなっていうだけ。モモカシューやメンバー内でやりたいこととはまた別で。これに関してはドラムもベースも参加してないので、僕一人で作ってモモカが歌ってるだけなので。バンド全体の押し曲っていうのではない。

momocashew:(笑)

――ではバンド全体の押し曲を挙げると?

kasai:バンド全体の押し曲だとどれだと思う?

momocashew:どうかなあ。バンドっぽいっていうと、たぶん「Mirror Mirror」かな。一応「Camelia」も押し曲扱いですけど…。

――「Camelia」はタンゴの要素を取り入れてカッコイイですね。

momocashew:そうですよね。でも「Camelia」だと弦楽器が入ってバンド4人で完結できていないから、そういった意味でバンドでの押し曲は「Mirror Mirror」なのかな。

――「Mirror Mirror」はユーチューブの最新ヒット曲。

kasai:ただバンドがいるからバンドを使わなきゃいけないっていう概念は僕らにはなくて、たとえばドラムとかベースがメンバーに所属しているから使わなきゃならないと考えていくと、曲の作る幅がすごく狭くなっちゃうんですね。なのでアルバムの中には1人しか参加していなかったり、ドラムもベースも参加していなかったりする曲も普通に存在するんです。

――アカペラっぽい曲もありますしね。

kasai:そうですそうです。

――momocashewさんの声がまた天使の声と言われますけど、時に少女のようで、また大人びてもいて、表情が変わりますね。

momocashew:演技をしている感じです。たとえば「Boys in Kaleidoshere」では少年をイメージして少年を演じて歌ったりして、DE DEさんとコラボした「With a Billion Worldful」では可愛く元気な少女になったりとか。いろんな物語の主人公を演じることをイメージして歌っています。

――Deemo収録の「Milk(?水)」では中国語で歌ってらっしゃって、また響き方が違いますよね。

kasai:そうなんですよね、違うんですよね。英語で歌った時、日本語で歌った時、中国語で歌った時、表情がガラガラ変わる。言語が変わると声の響き方とか、メロディラインも変わるんです。

――日本語の「TOKYO NEON」では別の人が歌っているかのようでした。

momocashew:うふふっ。

kasai:急に親近感わくような感じ(笑)。

――momocashewさんの詞もまた独特で、異界の物語が綴られているよう。「Camelia」の”男たちは豚 そして女の子たちも同じ”とか、「Summoning 101」」の”朽ちる狼の牙-----163個 粒状の月光----2131グラム”とか。

kasai:あ〜、なんか変なね(笑)。

momocashew:この曲とあの曲の物語はちょっと繋がっていると自分の中で考えて、いつも物語を想像してそれを歌詞にするのが多いですね。いわゆる英語の歌詞でも英語のポップスと違って、物語中心で…。

kasai:頭の中に短編映画みたいなのがあるんだよね。

momocashew:そうそう、ショートストーリーがいっぱい沸く感じです。

――確かに映像が浮かんできます。

momocashew:ぼんやりと視聴者さんが何かのシーンを浮かべられるように書いています。

――どんな風に1曲ができていくんでしょう。

kasai:変な話出たとこ勝負みたいな感じで、僕が基本的にはラフの1トラックを作って、この曲からどういう印象を受ける?って感じでモモカに渡して、そこでモモカの持ってたアイデアと噛み合って…。

――曲のパズルが完成していく。

kasai:そうですね。基本的にはどういうイメージで書いた曲かは言わずに渡すんですよ。普通に音楽聴く人と同じで、曲を聴いてどう感じるか聴く側の自由じゃないですか。それをやってもらってる感じです。聴いてどう感じたかってことと、モモカのアイデアが曲になる。

――予想外の返信があったりもするんでしょうね。

kasai:ありますね。だから逆に変えたくない曲は渡さないんですよ。

momocashew:(笑)。

kasai:この曲はもうこれで完結してるから、さらに答えを変える必要はないって。渡さずにインストで完結したりとか。

――前回のアルバム「Miracle Milk」では牛乳瓶(双島乳業)の特典付きというアプローチもありましたが、今回も?

kasai:ある。

momocashew:ぼんやりしていますけど、このジャケットの背景は双島乳業の工場で、そしてこの子(レフティ)は工場で働いているロボットという設定です。

――繋がってるんですね。

kasai:どこまでいっていいのかわからないけど(笑)。でもまあ、今回までだね。

――ロゴマーク内にも見られるトリノちゃんはどういう位置づけなんですか?

kasai:また別なんだよね。

momocashew:そうですね、マスコット的な感じ。

――マスコットキャラクター。

kasai:このアルバムはこの子(レフティ)の夢じゃないですか、トリノはどちらかといえば観測的な扱いになってて、たとえばMiliのアルバムの中で起こってること、イラストの中で起こってることを神様的な立ち位置で見てる。

――イラストを手掛けているのはメンバーのAo Fujimoriさん。CDには楽曲の世界観を1枚ずつイラストにしたアート・リリックカードが付いてくるのもMiliの魅力ですよね。

kasai:今の若い子たちって、映像ありきで音楽を聴いたり観たりするのがメインだから、音楽を聞かせる時に絵も映像もなかったら、たぶん聴かないと思うんですよ。モニター越しに観てる、聴いてる状態が当たり前になってきて、じゃあ何もなきゃいいっていうわけでもないし、かといって映像に目をとらわれすぎても、音楽を聴いてるのか、ただ映像を楽しんでいるのか。

――昔はMVもなく、ただ純粋に音楽を聴いてましたもんね。

kasai:そうですそうです。テレビ番組で流れてるかラジオで聴いてるか、ちゃんと音楽を聴いて楽しんでいたのが、今は観て楽しむんですよ。じゃあどうしたらいいかって。映像もいいんですけど、絵があればじっと見てるじゃないですか、じっと眺めてるだけの作業に音がある方がちゃんと音楽も入ってくるし、映像に目をとられてここ聴いてなかったってことが起きづらいので。むしろ音楽とイラストの世界、両方ともが増幅されるじゃないですか。

――より想像力をかきたてられますね。

kasai:歌詞見て、絵見て、音聴いて。人の想像力を刺激する方がいいし、小説と漫画の違いみたいな感じです。

――世界に入って行く入口になりますね。このアルバムを引っさげてのライブツアー。momocashewさんは顔を見せず、あまり正体を明かしていないゆえ、Miliのライブは存在を確認し合う場所でもありますね。

二人:ああ、そうですね(深く頷く)。

――双島乳業プレゼンツになってます(笑)。

kasai:実際には存在しない会社なんですけど(笑)。

momocashew:架空の会社。

――名古屋は5/20 SPADE BOXです。どんなライブに?

momocashew:今までのライブもそうなんだけど、ちょっとアットホーム感がありますね。

kasai:そうだね。普段距離があるというか、実体がわかりづらいってところがあって、逆にライブではかなり砕けているというか。アーティストさんによってはステージ上にいて神格化じゃないですけど、アーティストっぽさを自らブランディングしてる方もいるけど、僕らどちらかといえば逆で、基本的にはステージの上にいるけど目線は同じだよっていう。

momocashew:変にカッコつけるのはなくて、こっちも人間なんだよっていう(笑)。

kasai:対等であることを訴えたいわけではないんですけど、なんだろうね、同じ人間なんだよっていうのもおこがましいというか。変に神格化しなくていいし、こうやって喋ってるのと同じ。たまたま楽曲を生んでる側であって、たまたま聴く側だっただけで。

momocashew:あとファンはもともとライブに行かない子が多いですね。ライブが初めてっていう子が多くて、気持ちよくライブを楽しめるように、こういう楽しみ方もあるよーって、手をこうやって(左右に振って)一緒に振るよーって説明してあげて、するともっと近くに感じますね。

――昨年はサマーソニックにも出演されてますが、いかがでしたか?

kasai:僕はフェス好きなので、普通に楽しんでましたね。観る側としてもガンガンに(笑)。足を止めて観てくれた方もいるかもしれないし、僕たちを目的で来てくれた方もいるかもしれないし、予定調和じゃない感じがいいですよね。お客さん側もハプニングがあったり、ああ、いいモノ見つけちゃったみたいな。僕らとしてもそういう反応を見られる場所であったり。ワンマンだと僕らを好きな層しか来ないから。

momocashew:だからフェスだとアットホーム感は薄くなるかもしれない。

kasai:薄くなるね。

momocashew:やっぱ知らない人の方が多いので、もっとカッコつけたいじゃないですか。Miliはこういうバンドだぜみたいなのを、知らない人に。

kasai:だから知ってるファンからしたら、今日カッコつけてやがるみたいな(笑)。

――海外ワンマンもありましたね。違いはありますか?

kasai:違いっていうと、熱量ですかね。僕らが日本を拠点にしちゃってる以上、ライブで伺うのは当然減るじゃないですか、もしくはないじゃないですか。って考えると、ファンの喜び度というか、熱気が伝わってくるんですよ。

――レア感がある。

kasai:何言ってもワーッて。ほんとに喜んでくれてるんだなって。だからといって日本の人が伝わりづらいんじゃなくて、回数とか頻度。日本でワンマンとかやってる限り、もうやらないよって日本のファンの子は思わないじゃないですか。

momocashew:海外の人にしてみれば、もしかしたらしばらくやらないんじゃないかって思うから。

――海外ではスピーチに苦労しないですよね。

momocashew:そうですね、台湾とか中国も普通に喋ってます。その方がファンも楽しめますよね。

kasai:MC中は僕たちは何喋ってるかわからないから、頷いてるだけ(笑)。

――今後はどこに向かっていくのでしょう。

momocashew:世界中に広がりたいです。

kasai:日本が拠点って言ったんですけど、それはあくまで現実的な世界であって、ネット上ではユーチューブが拠点になってて。ただユーチューブってあくまで日本人が日本人に向けたコンテンツだと思うんですよ。でも世界中で当たり前に使われてて、音楽って言語にもよるんでしょうけど、世界中で聴かれてもおかしくないと思うので、そこですよね。ユーチューブで英語の曲を投稿していく中で、僕らは一つの国にこだわらず、世界的に聴かれることを望んでる。日本でヒットすることも根本的には望んでなくて、まんべんなく世界中で聴いてくれてる人たちがいれば、それだけでいい。

――だから広げたい。

kasai:そうですね。世界には80億人とかいて、日本の人口は1億3000万人くらいって考えた時に、一つの国にこだわる必要はないなって。Miliにしかないものがあれば、そこに対して少しずついろんな国の人がファンになってくれるだろうって。Miliじゃなきゃ聴けないものを世界に求められていればいいかなって。

――なんか壮大です。

kasai:かといって生活があるので(笑)。

――逆に日本でヒットしてしまうと、そこに縛られてしまう。

kasai:そうなんです、それもありますね。いい意味でも悪い意味でも、日本人っぽさを出しながらも隠してる。実際コメントでもホントは何人なの?と聞かれるとか、よくわかんない感じがちょうどいいかなって。

――だから姿を見せないんですね。

kasai:でも調べればすぐにわかるんですよ。ファンになって好きになって初めてクレジットを気にする。その段階でわかるぐらいにしておくのがいいのかなっていう。

――kasaiさんが愛知で活動されていたこととか(笑)。

kasai:そうですそうです(笑)。すぐに答えが出るものじゃなくていいのかなって。音楽で勝負してんだからそれ以外は別に。

――momocashewさんが以前、プログラマーとしても活躍されていたこととかも調べて知りました。

momocashew:ああ、そうですね。大学でソフトウエアエンジニアをやってて、その時にカナダで自分で会社を立ち上げてゲームを作ってたんですけど、日本に来て一旦、ポースにして。

kasai:休学ね。

momocashew:そうですね。今はMiliで曲を作ってますね。

――多才ですよね。

momocashew:その時プログラミングで学んだことを歌詞で表現してる曲もあって、完全にプログラミング原稿で作った曲は歌詞がコードになってて、わかる人が見ると、ああこういうことなんだ、なるほどってなります。

――普通の人にはわからない(笑)。

kasai:わかんないですね。でもこれから学校でプログラミングが必修科目になってくるじゃないですか、なんで面白いのかなって思うんですよ。

momocashew:なかなかいないですね、世界中でみても。そうやって自分が学んだことを、違うところで使えるといいなと思って、曲の中にも入れたりします。

――もう可能性の塊ですね。最後に今後の意気込みを。

momocashew:今回の3rdアルバム「Millennium Mother」、ほんとに大ボリュームでいろんなジャンルの曲を作りまして、気に入ってもらえる曲があればいいなと思います。是非聴いて下さい。

kasai:このアルバムで音楽の魅力に改めて気づいてもらえれば。


インタビュー・文/深見恵美子

3rd Album「Millennium Mother」 now on sale


Mili Official Site http://projectmili.com/

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