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ソロデビュー後3枚目となるアルバム『今日の詩』をリリースしたファンキー加藤。今作に込めた思いをインタビュー

2018/05/17 19:30

2018年3月21日、アルバム『今日の詩』をリリースしたファンキー加藤。ソロデビュー後3枚目となる今作は、タイトルが示す通り、聴き手一人ひとりの“今日”を象徴するかのような11曲を集めた作品だ。「全日本フリーライブツアー〜超原点回帰〜」と題したフリーライブツアーで各地を回っている最中の加藤に、今作に込めた思いを語ってもらった。



「自分の歌ではなく、聴いてくれる人自身の歌になっていってほしい」


――キャンペーンやフリーライブツアー「全日本フリーライブツアー〜超原点回帰〜」で全国を回る中で、アルバム『今日の詩』の感想も届き始めたところだと思います。率直な感触としてはいかがですか?

リリースした瞬間から、「自分の歌ではなくて聴いてくれる皆さんの歌になってほしい」という思いがあります。これまでにいただいた感想を鵜呑みにするならば、しっかりとそれぞれの“今日”を彩っているアルバムになっているなという実感はありますね。

――日常に溶け込むようなモチーフがたくさん出てくる、等身大のアルバムだと感じました。『今日の詩』というアルバムタイトルは、どんな思いでつけましたか?

すごくバラエティに富んだ、いろんな感情がぎゅっと入った1枚になっていて。1枚通してのコンセプトというものはなかったので、タイトルを決めるのは結構悩みました。「皆さんのそれぞれの今日という日にぴったりハマる歌がこのアルバムには必ず1曲はありますよ」という願いや想いを込めて、『今日の詩』というタイトルにしました。

――曲ごとに、「こういう時に聴いてほしい」とコメントも添えられていますね。

あれは曲ができてから決めました。スタッフさん側からアイデアが出たんですけど、俺も途中から面白くなってきちゃって。具体的なシチュエーションや人物像を考えていきましたね。

――ちなみに、加藤さんの中で“今日はこの一曲”というのはありますか?

頭に鳴っている曲はありますね。今日は名古屋に着いたときに暖かくて、桜ももちろん満開で。思わず、東京から持ってきたジャケットを新幹線に忘れちゃったくらいです(笑)。そんな中で脳内BGMとして流れていたのは『花』ですね。

――確かに、今日みたいな春らしい日にぴったりの楽曲ですね! この曲も含め、加藤さんの曲には、真っ直ぐに人を応援する歌詞が多いと感じます。一方で、人を励ます言葉というと、例えば「頑張れ」という言葉が誰かを傷つけないかと躊躇する場合があるように思います。加藤さんは歌詞に使う言葉をどのように選んでいますか?

俺の場合、「“頑張れ”って言うことが誰かの重荷になるかも」みたいな捉え方はしていなくて。そう感じる人は、そもそも俺の曲を聴かないと思うんですよね。俺は音楽の良いところって、そういう綺麗事や「現実はそんなにうまくいかないだろう」と揶揄する言葉さえも抱擁していける力があるところだと思うんですよ。例えば“夢はいつか叶う”というフレーズがあるとして、書いている段階では「うまいこと言ってるな」「綺麗事だな」と思ったとしても、それを実際にライブでまっすぐに歌えて、まっすぐ受け止めてくれるファンの人がいるとしますよね。すると、その時点でその歌って本物になるんですよ。まして、その人が「よし、この曲を聴いて頑張ろう」と思ってくれて、いつか本当に夢が叶ったら、その“夢はいつか叶う”はその人にとっては間違いなく本当のことじゃないですか。大きな綱ではなくてか細い線ですけど、僕はそのか細い可能性に常に懸けてますね。

――歌詞を書いている時はいつも、曲を受け止めてくれるファンの皆さんの顔が脳裏にあるのですね。

そうですね。だからこそリリースした後の楽曲はとにかく、自分からどんどんかけ離れていってほしい。僕の歌というより、聴いてくれる人自身の歌になってほしいと思ってますね。


「ステージ上のファンキー加藤は、すごくかっこいいんですよ。でも…」


――アルバムの楽曲についてお聞きします。まず1曲目の「冷めた牛丼をほおばって」は、タイトルがとても印象的でした。

タイトルに関しては、良くも悪くもインパクトを残せればいいなっていうのがありました。牛丼というアイテムは、キャッチーな曲のアイコンになる気はしましたね。特に男性の方は、持ち帰りの牛丼が何かしらの事情で冷めていった経験って一度はあるんじゃないかと思って。その曲の物語にしっかり入ってきてもらえるような間口の広さは、いつも考えてはいます。

――この曲は、リズムにも面白さを感じます。三連符で畳み掛けるようなリズムですが、言葉の伝わり方は意識しましたか?

言葉がどう響くのか、聞こえるのかっていうところは結構気にしましたね。あとはライブで歌うとき、未だに自分でも見失う時がある(笑)。間奏ではハーモニカを吹いているので、息を整える時間がないっていうか、結構しんどい歌ですよ。でもその必死感や生々しさが、逆に今の自分の心境を一番乗せていける曲ではあると思ってます。

――生々しさ、リアルという点は「ダイジョウブルース」にも通じるところがあると思います。こちらはいきなり「食べログの評価は3.8」と始まりますが、加藤さんも食べログって使うんですか?

食べログ、実は僕はあまり使わないんですよ。ただ、それも物語の入り口としてはすごくキャッチーなフレーズだなと思って。すべてが実体験っていうよりは、少しずつフィクションの部分も増やしていけたらいいなっていう感じはあります。虚と実が入り混じってる感じが面白いですよね。

――「ダイジョウブルース」には、「そう思ってなきゃやってらんねえ」という、どこか投げやりな言葉も出てきますね。

100%前向きな曲って、僕も基本的にないですからね。基本的にネガティブな性格なので、自分自身も自分の歌に勇気づけられるというか…言霊みたいな、言い続けることによってそれが本当になるみたいな、良い意味での勘違いをしていく感じはあります。ステージ上のファンキー加藤は、すごくかっこいいんですよ。かっこよくて、強い。でも、スイッチが入ってない時の自分は結構ダメダメで。僕が書く歌詞は、サビではもちろん前向きなことを言うこともあるけど、AメロBメロは意外と悩んでグチグチして…みたいなのが多いんですよね。

――今作で言うと「We can Dance」も、楽しいダンスチューンと見せておいて、歌詞には少し陰があるように感じました。

そうですね。南国やラテンの陽気な音楽とかは、多分作れないんでしょうね。ちょっと夜の香りがしたり、少しだけ自虐ネタが入ったりとか…何かひねくれちゃう部分はあるのかな、という気がしています。


「必ず、全員と1人1回は目を合わせるようにしてます」


――10曲目の「急性ラブコール中毒」は“Solo ver”ということですが…これは、若い女性ファンの中には意味が伝わらない人もいるかもしれない、と思いました。

あ、意味分かりました?(若い女性は)分からないかもしれないですよね。匙加減を間違えたかな(笑)。もう2、3歩踏み込んでいても良かったかなというのは、今になって反省しています。躊躇しすぎた(笑)。

――それは具体的にどの辺りですか?

例えば、(2番の後の)英語のところ。ここ、本当は単純にAV女優の名前を連呼してるだけなんですよ。それをちょっと英語っぽく歌っている。あまりストレートすぎてもなと思ってブルーシーに歌ったら、誰にも分からなくなっちゃった(笑)

――(笑)。この曲は、書くのも楽しかったのではないかと想像します。

楽しかったんですけど、こういうおふざけソングって意外と、どの曲よりも真面目に作ってたりもするんですよね。ちょっと下ネタが入った曲って、さっき言ったみたいに匙加減がすごく難しくてどこまで踏み込むのか、どうすれば笑いになるのかって…真剣に作ったんですよ。でも今回は、臆病になりすぎたかな(笑)。反省してます(笑)。

――そして最後の「ラストナンバー」は、まさにライブの情景を描いた楽曲です。

結構いろんなミュージシャンが、ツアーをテーマにしたこういう曲を歌ってるんですよね。僕もいつかやってみたいな、と思っていたところに素敵なサウンドと出会えたので、これは試してみようと思って作りました。

――具体的な景色が描かれている中で、個人的に一番印象的だったのが「最後列だっていいさ 声をちょうだい」という歌詞です。

ここのパートは、離れ離れになってしまったファンの皆さんへ届けているような気はします。それこそ、ファンキーモンキーベイビーズ時代のファンの皆さんとかに投げかけている歌だと思いますね。

――離れていったファンの皆さんに加え、文字通りライブ会場の最後列、一番遠くからアーティストを見ているファンにとっても、このフレーズは嬉しいものだと思います。実際のライブ中、最後列は加藤さんからはどのように見えていますか?

歌うときは基本的に、一番後ろのお客さんを意識しているかな。目がすごく良いので、ちゃんと見えるんですよ。ライブでもよく「そこの黄色いTシャツのあなた!」とか、最後列の人をいじったりして。逆に最前列の人とはあまり目を合わせられないですね。近いから恥ずかしいというか、素の自分を覗かれているような気がして(笑)。会場には最前列の人もいればステージから遠い最後列の人もいるので、どうしても、後ろの人たちが寂しい思いをしないようにという気持ちは強いです。ホールツアーくらいだったら僕、基本的には全員と目を合わせている気持ちでやってますね。よく、「私、あの人と目が合った!」って言う人がいるじゃないですか。僕のライブに限って言えば、マジです。必ず、全員と1人1回は目を合わせるようにしてます。


「2018年度はずっとライブをするんだろうな」


――そのホールツアーが10月に始まる一方、すでにフリーライブであちこちを巡っています。ライブで歌っていく中で、雰囲気が変わっていく曲もありそうですね。

そうですね、そこが面白いところでもあるんですけど。でも、今回はアルバムを作っている段階でフリーライブツアーとホールツアーが決まっていて、2018年度はずっとライブをするんだろうなという思いもあったので、基本的にどの曲もライブを意識して作っています。曲を作っている段階から、意識的にはステージに立っている自分と近かった気がします。

――各地を巡りながら過ごす今年は、加藤さんにとっては40代を迎える年にもなります。30代のうちにやっておきたいことや、40代になって挑戦してみたいことなどはありますか?

40歳というのは大きな節目ではあるんですけど、本当に変わらない一歩なのかなと思っていて。僕の大好きなミュージシャンの諸先輩方は、50代でも60代でも超元気なので、良い意味で、40ジャストなんてのは洟垂れ小僧と思える感じなんですよね。だから、(40代は)30代の延長線上にあるっていうくらいの意識ですね。

――すると、まずはツアーをしっかりと回っていくというところでしょうか。

そうですね。もしかしたらそこで、ちょっとずつ心境の変化があるかもしれないですけどね。とにかく今は、目の前にあるフリーライブツアーをしっかりやりつつ、10月から始まるホールツアーで爆発させたい。

――ちなみに、フリーライブと通常のライブは、加藤さんの中で違いはありますか?

(フリーライブは)ちょっとだけ丁寧にやります。ワンマンだと自分を理解してくれているファンの皆さんが多いので、ある程度エゴ剥き出しでも大丈夫ですけど、フリーライブはやっぱり、偶然通りかかる人や老若男女幅広くいらっしゃるので、(MCの)言葉遣いや歌い方をちょっとだけ丁寧にしようという意識はあります。でも、歌ってる最中は基本変わらないです。

――そうして偶然通りかかった人にも、きちんと届く曲が詰まったアルバムだと思います。

この間、大阪でやった時にそういう人がいてね。「たまたま通りかかったんですけど」って言って、ライブ後の握手会に参加してくれて、「アルバム聴きますね」って。本当に変な話、そういう人と一人出会えるだけでも全然気持ちが違いますよ。良かったって思います。

――これからもまた、そういう人との出会いが待っているかもしれませんね。

そういう旅にしたいですね。


インタビュー・文/小島沙耶

3rd Album 「今日の詩」 Now on sale


ファンキー加藤 Official Site http://funkykato.com/

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ライブ情報

ファンキー加藤
希望のWooh oh TOUR

2018/11/28(水)
名古屋国際会議場 センチュリーホール
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