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「『フレー 〜三線ver.〜』の影響で、家族の話とか自分の想いをリアルに話す機会が増えました」ヴォーカリストとして大きく羽ばたくJUONにインタビュー!

2018/04/26 14:00

「『フレー 〜三線ver.〜』の影響で、家族の話とか自分の想いをリアルに話す機会が増えました」


ロックバンドFUZZY CONTROLからソロに移行し2年。飽くなき音楽探究への旅を続ける彼が、今回シェネルやクリス・ハートら歴代アーティストたちが歌声を披露してきたNIVEAブランドのCMソングを歌う。その話題曲を含む初コンセプトEP「”あいしてる”って言えなくて」には、母親(歌手りりィ)への想いを込めた「フレー 〜三線ver.〜」も収録。
ライブでは勢いをそのままに、「CHANGE THE GAME 10音」と題した全10公演のワンマンが昨年の11月で5音まできた。DREAMS COME TRUEや稲葉浩志のツアーサポーターだった一面も持つ彼だけに、パフォーマンスも縦横無尽。ヴォーカリストとして大きく羽ばたくJUONの、心の内を覗いてきた。


――どんどん新しい試みに挑戦され、テイストが変わっていきますね。

FUZZY CONTROLからソロの流れはけっこう違いがあって、ソロをやる意味はバンドではできなかったことをやることだったから、こういうやり方したら違う自分を発見できるんじゃないかとか、冒険を楽しむようなところがベーシックにありました。

――今回リリースされた「”あいしてる”って言えなくて」では壮大なバラードを歌い上げていますね。聴く側はCMで聴き馴染みがあります。

完全なるガチオーディションでした。

――そうなんですか! 勝ち取ったわけですね。

そうそう。5アーティストほど候補がいたらしく、オーディションの時にレコーディングスタジオに行って、プロデューサーの方と話して、ちょっと歌ってみたって感じですね。

――その時にはもうこの曲は出来上がっていたんですか?

この曲のコマーシャルサイズが出来ていました。オケは未完成な状態ではあったんですが、3回くらい歌いました。歴代いろいろな方が歌われているので自分ではプレッシャーを感じるのかなって心配してたんですけど、意外となくて。昔からこういう甘いバラードは好きだったし、等身大の自分で今歌えるものを歌えばいいじゃないかって思い臨めました。

――歴代のアーティストはシェネル、クリス・ハート、三浦大知、藤巻亮太など実力派揃い。気負わず歌えたってことは最初から歌った感触はよかったんですね。

3回歌った時にはもう自分の曲じゃないかって(笑)感じもあったので、これ決まらなかったら淋しすぎるって、思っていたくらい…。それくらい自分にフィットしてたし、スムーズに歌えましたね。

――実際CMで流れてきた時はどんな風に受け止めてましたか?

会話してる最中に流れてくると基本的には黙って、おお〜っみたいな(笑)。友達や周りの反響が、今までの音楽人生の中で一番多かったですね。あと歴代の方たちはみんなクリーンなつるっとしたキレイな声してるけど、僕はちょっとハスキーな声質だから、”まもりたい”というフレーズが流れてきた時に、いつものニベアの聴こえ方と違うかなって思ってます。

――カップリングの「Love for you」と「雨のあと」は前作と同じSHIKATAさんのプロデュース曲ですね。

二人でずっとディスカッションしてたんですけど、歌を重視しようっていうコンセプトがあって、そのヴィジョンを外さず、今やるべき音を二人で探っていく旅をしてました。「Love for you」はR&B的な要素が入っていて、「雨のあと」はアコースティッキーな、たとえばエド・シーランとか、R&Bだけど解釈がちょっとロサンゼルスやカリフォルニアな空気感があって。

――SHIKATAさんからはどんなアドバイスが?

SHIKATAさんはR&Bのシンガーなので、この曲にはこういうような歌い回しした方が雰囲気でるよって、今まで歌ってきた、自分の歌の癖にはないことを伝授というか、ディレクションしてくれるっていうのはレコーディングの時にはありましたね。

――自分の抽斗をあけてくれたという。

とはいえR&Bっぽくしなければいけないわけではなく、JUONなりの解釈でいいよって。でもちょっとこういう歌い方すると、それっぽくなるから適当に歌ってみて、みたいな感じでしたね。

――曲に対しての具体的なアプローチ方法とは?

これどう?とかお互いぶつけあって、辿り着いたのがSHIKATAさんが作ったメロディだったんです。自分はどちらかというとレイト気味に歌う傾向にあるんですけど、いい意味で前ノメリってわけじゃないんだけど、自分が思ったよりもちょっと速めな世界で歌うと曲の輪廓がいつもと違ってできるっていうマジックはありましたね。感情が入って、大きくゆっくり歌いがちになるところを、もうちょっとスピーディーに歌う、そこが意外と核になってくるっていう事を今回経験しました。

――「Love for you」も愛あふれる楽曲ですね。1曲目のバラード「”あいしてる”って言えなくて」の余韻を引き継ぐ、その流れもいいです。

いいですよね。ロックバラードの要素あり、R&Bの要素もあって。大切な人、好きな人を思い浮かべながら聴いて欲しいです。

――そして3曲目にカリフォルニアの風が入ってくるわけですね。

はい!そうなんです。「雨のあと」もSHITAKAさんとお互い導き出した感じです。ヴィジョンを合わせて行くっていう作業でどんどんメロディを出し合ってると、一番必要なものがだんだん見えてくるんですよね。そのピントが一番合ったところが、このカタチでした。

――曲を頂いた時の印象は?

あ、もうサイコーと思いましたね。せっかくソロでやらせてもらってるし、いつもは自分で全部作るスタンスなんですけど、SHIKATAさんというプロデューサーの力が入ったところで自分が歌うっていうことだけに専念するっていうのは、ある意味、自分の新しい冒険の一つなんじゃないかなって。

――SHIKATAさんはどんな存在なんでしょう。

自分の色をすごく持ってて、JUON好きなようにやっていいよって言われるんですけど、振り返ってみるとコントロールされていたなって。コントロールされヴィジョンがブレなくて済みました。一人で作業していると、ついこれもいいじゃんって色々とやりがちで、いろんな要素が入ってしまってジャンルがわかんなくなってきてしまったりとか、聴く方がこれって何系っていうんだろう?みたいなとこに陥ったりするので、そういうところをコンセプトをブレずにコントロールして頂いたと思ってます。

――ファジーコントロールではなく(笑)。

ほんっと、全然ファジーじゃなく(笑)、パーフェクトコントロール(大爆笑)。この人ほっといたらとっ散らかるんだろうなって思われてたと思います。コントロールされたかった(笑)。

――「フレー 〜三線ver..〜」は自分で作詞作曲されてますね。母親への愛にあふれたしみじみとした楽曲ですが、どこかロックも感じるんですよね。

そうですね。お父さんが沖縄のロックギタリストで、お母さんもブルースの世界を持っていたし。家の中で過ごしていた時間がエッセンスとして入っているような。一緒に暮らしていた時の思い出や、ステージで歌う母の姿を思い出しながら作りました。ありがとうっていう言葉で想いを伝えたいなって思ったんですけど、僕にとってはありがとうって、とても当たりまえすぎて、俺の想うありがとうとは違うなって気がしてて。何が、自分の母に対してありがとうかって思った時に辿り着いたのが、”前を向いて今日も歌ってます あなたが教えてくれたから”っていう。この言葉ひとつに尽きるなって…

――そのフレーズ、聴く側も響きます。

音楽の楽しさだったり歌の温もりを教わったので、その方が僕なりの母へのありがとうになるのかなって。

――個人的ではありますが、自分も亡くなった父親と重なりました。

そうですか。遠くにいると思うけど、近くにいると思っているし、でもいないんだなぁと思うと、答えが見つからない。でもこれからいろんなことが起こる中で自分一人で戦っていかなきゃならないから、自分の気持ちを少しでも押せるような、そういう意味で”フレー フレー”って。

――”フレー”には、そんな想いが込められていたんですね。

やっぱ自分への応援歌ですね。作ってた時は悲しいっていうのがトゥーマッチになってたので、自分自身もその気持ちから抜け出さなきゃいけないなって。母は昔から、もし私が亡くなっても悲しまないでねって言ってたんですよ。僕には笑ってて欲しいってことだと思うし、それは今思うと母との約束だったのかもしれないですね。

――ハスキーヴォイスは母親譲りですね。

そうですねえ。自分はタバコは吸わないんですけど、母はタバコや酒でつぶしたような声でしたね。でもちっちゃい頃に風邪をひいたって言ってたんですけどね、母曰くその前は天使のような声をしてたのよって(笑)。

――今回、何年かぶりにりりィさんの曲も聴き直しました。

想像以上にハスキーですよね。日本で初めて裸足でテレビ番組とかで歌ったみたいですよ。自然とハスキーな声が調和してて、それでいて70年代の世界を感じますよね。

――補作詩に吉田美和さんの名前がありますけど、どの部分に携わったんでしょう。

詞は全部自分で書いたんですけど、美和ちゃんには相談役になってもらってました。この部分こういう言い回しにしたらもっとJUONの言いたいことになるよって、少しマイナーチェンジして頂いた。”あなたに逢えて良かった”の部分を最後にも連呼しようと思ってたんですけど、届いて欲しい想いを自分の中で追い込んでいった方がいいって。もっと歌詞を突き詰めた方がいいよ。ってアドバイスをもらいましたね。

――それが”悲しみの涙に届け 張り裂けた心に届け もう増えない思い出に届け”のフレーズに結集されてるんですね。三線の音色もまた感情をゆさぶりますね。

お父さんが沖縄の人で、自分も出身が沖縄なんでね。家の中にお父さんとお母さんと俺がいるのを想像して、母への想いを綴った曲には沖縄の楽器を入れたいと思ったんですよね。よく沖縄帰って海で三線弾いたりするんです。三線でレコーディングをするのは初めてで、ギターとは違うんですけど、ギターをおもちゃのように遊べる人は三線に辿り着きやすいかもしれませんね。

――沖縄の人は授業で三線を習うとか聞いたことがあります。

女性が弾ける人が多いですね。家に置いてあるおばあの三線を、礼儀正しくカンカンッてチューニングしてね。

――沖縄行くと欲しくなって購入する人も多いですよね。私もその一人です。音を鳴らすだけでその場の空気が変わります。

あ、買いました? 空気変わりますよね。あれはたぶん音聴くだけで、沖縄に行っちゃうんじゃないですかね。俺、今回三線レコーディングして、初めてBEGINさんが三線入れてる意味が超わかって。沖縄出身だからなんとなく入れてるんじゃなくて実際聴くと空気変わるんですよね。魔法の楽器。ん〜。

――ライブは「CHANGE THE GAME 10音」が昨年の11月で5音まできて、vol.3音が名古屋でした。いかがでしたか?

名古屋のライブは毎回凄くよくて、人も熱くて最高です。でも一番最初の時期は名古屋だけやっても盛り上がらないっていう。なんで?って悩みながら何十回かバンドでやってきたんですけど、ある日突然、心開いてくれたのか、他の地方と同じくらい名古屋は盛り上がるから大丈夫っていう安心感に変わったんですよ。

――最後の10音で見える景色が楽しみですね。あと残り半分。また名古屋にも来てくれるんでしょうか?

今年はまたライブやりたいなって思ってるし、10音の残りのツアーも名古屋で是非やりたいなって思ってます。

――今までトップアーティストのツアーにも参加されていますが、やはりその経験は大きいですか?

そうですね、自分がサポートさせて頂いた人たちはホールやスタジアムでやる方々ばかりだったので、そこでのエンターテイメントとか大事にしなきゃいけないものとかを間近で見ているので、自分の時にも参考にしたいと思ってます。ライブハウスはけっこう細かいことが大事になったりするんですけど、大きい会場だと細かく刻んでいられないとか。ずっとライブハウスの中で演奏していて、いきなりスタジアムで演奏すると力入っちゃったり、ちっちゃな絵になっちゃったり。サポートさせて頂いても、自分が今いる立ち位置には気をつけてます。

――イメージと現実とでは違いますからね。

やっぱ経験させてもらうと違いますね、音づくりとかもあるし、流れてくるスピーカーの音でどういう風にチューニングした方がいいのかとか勉強になりました。

――今はソロとして、何をみせていきたいですか?

バンドで見せてこれなかったロックとダンスミュージックの融合をみせていきたいですね。今はデジタルなサウンドの中に生音も加わっていくんですが、デジタルにのった自分の声は全然違って、今まで聴こえてこなかった成分とかも出てきて見え方も変わってくる。みんなを笑顔にしたいっていう思いで毎回やってます。

――その一方、BSの人気シリーズ「京都人の密かな愉しみ」では、エンディングテーマ「北山杉」を歌っています。がっつりフォークソングですね。

これは全然ガチオーディションじゃないやつですね。「フレー」を聴いてくれた方が、JUONに歌って欲しいと思って依頼頂きました。昔からフォークソングも聴いてはいたし、あらためて日本語を歌うってことで、日本語の伝わり方、感じ方っていうのを「フレー」ができてから変わったなって自分でも思ってて。それが繋がったんだと。初め知らなかったんですけどね「北山杉」を。

――柔軟性を感じずにはいられません。

昔から幅広く音楽を聴かせてもらっていたので、なんか全部吸収してったんでしょうね。今はそれを表現出来る時期だと思ってます。たぶん1年前だったら「北山杉」あんな風に歌えなかったと思います。

――すべては自分の内から出てきますよね。

楽しいことも、悲しいことも、厳しいことも経験しながら、自分の歌が変わってくることは昔から理解してました。とくに日本語で歌ってると感情が出ちゃいますよね。

――いずれ母の歌も唄うのでは?

機会があればそういう歌も唄ってもいいのかなとは思ったりするんですけどね。母には私の曲、悲しい曲しかないから歌わなくていいよとか言われそう(笑)。

――どんなアーティストを目指しているんでしょう。

夢はスタジアムでライブがしたいと思ってます。やっぱでっかいところで自分の魂の音を響かせて、ライブを観たお客さんがみんな笑顔になってライブ終わった後には、悩みとかは晴れてプラスに変わるような、みんなを元気づけられるようなアーティストになっていきたいです。

――では最後に一言。

(CDを指差し)絶賛ここに入ってますね。作ってから時間は経ってるんですけど、「フレー」が入ってるからかな、インタビューでこんなに家族の話とか自分の想いをリアルに話したことってあったかなって。話させてもらってすごく嬉しい、うん。こういう経験から次に繋がっていくこともあるなって。話すことで新しい発見もあるし、わかってても話すことでもっと自分に染みこんでいくこともあると思うんで。今回、話せて良かったです。


インタビュー・文/深見恵美子


コンセプトEP 「”あいしてる”って言えなくて」Now on sale


JUON Official Site http://juon-guitar.com/

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