記事詳細

「一人で作った罠じゃない。自分たちが前を見るために裏切って真逆をいく」新体制の一歩となる1stシングル「TRAP」をリリースした、ビレッジマンズストアにインタビュー

2017/12/26 16:00

「一人で作った罠じゃない。自分たちが前を見るために裏切って真逆をいく」


12月6日(水)に発売した1stシングル「TRAP」は、ビレッジマンズストアにとって4人となった新体制の一歩となる。彼らは秋にギター・加納靖識の脱退がありながら、その進みを止めることなく、ひたすら転がり続けてきた。こんな状況だからこそ、これまでのビレッジのイメージとは違う曲調を作り上げた一曲目「トラップ」は意表を突くものだっただろう。彼らなりの決意表明である今作の制作について、水野ギイ(Vocal)と岩原洋平(Guitar)に話を聞いた。


「今は出来たものに対して“どうだ!”っていう気持ちがある」


――今作はシングルというかたちでのリリースとなりました。

水野:新体制になってその後に続くものを提示したい、俺たちは準備が整ってるぞって見せたかったんですよね。シングルって一曲でほぼ全てが決まる。“絶対にシングルじゃなきゃいけない!”っていうものでもないですけど、より今の気持ちを示しやすいかなって、このかたちにしたんです。だから今までの地続きのものを見せるというよりかは、ヒリヒリする一枚になったと思っています。

岩原:一曲で聴かせなきゃいけない分、僕たちの持ってるものをしっかり詰め込んだので、改めて自分たちの熱量の強さを感じていますね。数を打つんじゃなくて、僕たちの初期衝動をギュンギュンに詰め込めた。だからこのシングルを出したことによって、“僕たちはまだまだとまらないんだよ”っていうのを実感してもいます。

――秋に4人になって、変化はありましたか?

岩原:そこに影響されて制作したことはなく、ただ僕が単純にわがままになった(笑)。わがままになったっていうのは言葉が悪いですけど、僕が前のアルバム「正しい夜明け」だけでなく、「TRAP」も水野を世の中に出すために曲を組んだんです。職人的な気持ちで、水野が思ってることをしっかり形にしてやろうと曲を作っていました。でも今回のシングルについてはそれに加えて、僕もそろそろやりたいことをちょっとずつ足して、どんどんやっていこうかなって。遊び心が全体的にできたかなと思いますね。音楽をやってる自分がすごく僕は好きで、自分が持ってるものをまだまだビレッジマンズストアで出してなかったのかなという気持ちが実はあって。じゃあ、その気持ちを出してみて曲にしたら、どうなるのかなっていう、ワクワクする気持ちが生まれたんです。

――岩原さんからのアクションを受けて、水野さんはどう思いましたか?

水野:俺が元になるものを作って、メンバーで共有して意見もらって完成させるのが、元々の作り方で。その中で俺が一番最初に話したい人間が岩原だったんですよね。だから、岩原から積極的にアイディアを言ってくれるようになったのは、自然なことかなとは思いました。俺は全然自信がない体質だったりするんで、俺たちの音楽がいいぞって言ってくれる周りからの声が嬉しいんですよね。最初は暗闇の中で音楽をしているような気持ちになっていたんですけど、そこで一人じゃないなって感じることによって、周りから自分が認められたし、俺も自分を認めることが出来た。そういう状況がすごい心強いから、今は出来たものに対して“どうだ!”っていう気持ちがあります。前みたいに下から“どうですか?”って聞くんじゃなくて、“ほら!くれてやろう!”って。

岩原:僕もその気持ちはすごい分かる。僕もずっと学校では目立たないタイプではあったし、仕事でもあまり出来る人ではなかったから、あまり自分には自信がなかった。でもビレッジマンズストアに入ってから自分の嫌いなところがどんどん消えていって。今作でようやく水野と同じように“どうや!”っていう気持ちでいられるようになりました。今、めちゃくちゃ先が見えてるんですよ。この一歩で、あ、いけたわ!って思ったから、次の一歩がすごく踏み出しやすいんですよね。


「1が10にもなったし、1000にもなった」


――その一歩となったのは一曲目「トラップ」だったのでしょうか?

岩原:そうですね。自分の中で持ってた今までのビレッジマンズストア像から一歩踏み出したところで、表現してみようって思ってやった曲なんです。

水野:今回の作り方は曲名から決まっていたわけではなくて、音を出し始める前に“すげえ悪い曲を作ろうぜ”って作り始めたんです。環境が変わっていく中で、次こういうふうになるんだよねっていう予定調和みたいなものを見えなくして、かき混ぜてやろうぜと思って。だから最初にテーマだけは決めてたんですよ。俺は悪いこと考えながら、めっちゃ悪い顔しながら曲作るから、そういう気持ちでいきましょうって言って。そこからは楽しんで、いつも通りにナチュラルに作っていったんですけど、テーマを決めたことに関しては今まであまりなかったことですね。

――そのテーマについては、水野さんがインスタグラムで仰っていた「今まで大切に培ってきた原動力(フラストレーション)がこの曲に詰まっている」ということに繋がってきますか?

水野:それに関しては、俺の性格の悪さを出してやっただけの話なんですけど、歌詞がただの愚痴なんですよね。自分がしょうもないと思ってた方法で、上手くやっているヤツを見返してやりたいというか。今までこういう歌詞を書けなかったんですよ。自分の悪い部分を肯定してあげる曲ってあんまり作れなくて。性格が悪くてごめんなさいっていう気持ちだったんですけど、そこを楽しんでみようかなって思って。だから自分の人生の中で積み上げてきた気持ちをそのまま出した。そういう意味でフラストレーションを詰めたということですね。

――それを書こうと思ったのは、今このタイミングだったからこそですか?

水野:環境や編成が変わった中で、俺たちが“いける”と思ってるものを何も知らない人達に“終わった”って言われるのがめちゃくちゃムカツクし、でもそれは知らない人しか言わないと思ってる。だったら、そういう人にとってイレギュラーな存在でいたいと思ったんです。知らない人にとっては、きっと今はバンドの状況と照らし合わせて、物悲しいセンチメンタルな感情を出す曲を作って発信していくタイミングだと思われる。ただ俺はそれをサムいとも感じてる。自分たちが選んだ道の先にそういう気持ちっていらねぇんじゃないかなって、それとは真逆のもので勝負してイレギュラーな存在になろうって思ったんです。周りが抱く想像を全部無視して、ただひたすら自分たちが前を見るためにそこを裏切って真逆をいく。全員を俺たちの活動自体で転ばせてやろうぜ、びっくりさせてやろうぜって、「トラップ」っていう曲名になったんです。

岩原:テーマが先に決まっていた作り方は、僕にとってめちゃくちゃ作りやすかったんですね。自分の中で曲の組み立て方にすごく影響を受けて。「トラップ」において、僕の頭の中には一つの世界があるんですよ。物語があって、そこからイメージがどんどん飛び出してくる感じで曲が作れた。それは今までになかった体験でした。水野が物語を作って、それを僕が読んで、世界観の設定をする、みたいな。こういう時代背景から建物はこういうふうかなとか、そういう感じで構成を作ってましたね。

水野:この作り方に関しては、俺たちに合ってるなって思い始めて。それはなぜかというと、岩原はBGMを作るのが好きなんですよ。インスト音楽、ゲームの後ろに流れているような世界観を表す曲が彼はすごい好きなんで、最初にこうしたいって伝えたら、そこに向かっていくことができるんですよね。

――ビレッジマンズストアとして新たな方法が生まれたんですね。

水野:俺が脚本書いて、岩原が舞台監督みたいな感覚ですよね。基本的な構成は今まで自分が考えてました。でもそこに限界がきたなって思えるタイミングが一回あって。いつもだったら投げてしまうタイミングで、岩原が初めて出てきてくれた。俺が何もしない状態で、すべて作り上げてくれたんですよね。それが拍子、テンポが変わっていく直前のフレーズ丸々なんですけど。そういうのがあってから、一人で作った罠じゃねぇなって。

岩原:音楽的な構成っていうのは、シンプルではあるんですよ。でもその中でどれだけさまざまな要素を詰め込んで、少しずつ変えて違うことをやっていくか、そういう単調じゃないものが作りたくて。ありとあらゆるところで岩原なりの罠をめちゃくちゃ散りばめましたし、最後には水野を罠にはめてやろうっていう気持ちもありましたね。

――お互いにやり取りしながら、イマジネーションがどんどん膨らんでいったんですね。

水野:前よりもそこは出るようになりましたね。1だったものを10にしていくのを1人でやるのは無理で、今までは楽器を鳴らしながら曲の制作を進めていたので、意外とコミュニケーション不足になりがちだった。音ではコミュニケーション取れるんだけど、何を考えてるのかっていうのは口じゃないと分からなくて。楽器を持たずに、作れるようになったことが大きかったです。

岩原:それこそ「トラップ」を作った時は、俺が水野の家に行って、今何を考えているんだろうなっていうことを上手く聴き出して音にする作業をやってましたね。僕は1から増やすことは得意なんですよ。今回は増やしすぎたけど(笑)、そのくらい話がちゃんとできたのかなって思います。曲の世界観についてしっかりコミュニケーションが取れたから、1が10にもなったし、1000にもなってますね。


「新しくこの曲を生き返らせてもらった」


――3曲目「ザ・ワールド・イズ・マイン」は再録ですね。

岩原:この曲は水野が22歳の時に作ってて、僕はその時ビレッジマンズストアにはいなかったんです。なのでこの再録は、僕にとっての「ビレッジマンズストアとは」を、僕の好きなものだけで構成し直す試みをした曲です。僕が入った後のビレッジマンズストアは違うってことを見せてやる気持ちがありました。

水野:正直この曲には、もう思うことが何もないんですよ。何にもなくなったから歌わなくなった。22歳の自分が何をモチーフにしたのかは覚えてるんですけど、当時の自分がそう思って書いたことを覚えてないんですよ。もうこの曲が言ってる意味を忘れてしまった。でも出来上がったら、リスナーとして聴いてしまっていて何もなかったこの曲に、“あ!こういう解釈をすればいいのか!”と新たな想いが生まれましたね。歌詞も変わってないし、こだわり抜いた部分は表にあまり出てないかもしれないけど、新しくこの曲を生き返らせてもらった気持ちがあります。ただ一回やってみましょうかから始まって、ここまで気持ちがのることなんてなかったからすごい意外でした。これからもやっていきたい曲になりましたね。

岩原:この曲ですごい気に入ってるところがあるんですよ。水野と僕はレコーディングで別録りしてるから、僕が録ったギターを水野は聴かずに歌ってて。めちゃくちゃ遊んだギターを入れたところを合わせてみたら、前よりもカッコよくなってたんです。たぶん、この曲に対しての解釈がわりと近いところまで詰められたからそういうことが出来たのかなって、ちょっと誇らしいですね。

――今までやってきたからこその通じ合う部分があったんでしょうね。

岩原:あるんでしょうね、同じようなイメージが。でも、逆にイメージが違ったりすると面白かったりする時もあるんですけどね。そこは最近、会話がちゃんとできてるから出来たものでもあると思います。本当にそこは大きいと感じています。


「憧れの人たちと対等に戦っていけるような存在になりたい」


――来年のツアーはどのようにしていきたいですか?

水野:今まで友達として大事にしてくれたバンドと対バンをしてきましたけど、今回は直接接点のない、ただひたすら俺らが好きなだけっていうバンドとツーマンをできることが嬉しくて。みんなが知らないっていう状況で対バンしてくれる人も少なかった中で活動してきて、来年のツアーはチャンスだなと思っています。周りの誰にも邪魔されることなく、自分たちが思ったものを表現するようになるためにも、憧れの人たちと対等に戦っていけるような存在になりたい。もっと舞台に立つ人間として、中身の部分でそれを見てもらいたい気持ちはあるから一番気合いが入りますね。

岩原:制作についての可能性だとか、自分たちはこれからいろんなことができるぞっていう気持ちって、ライブについても同じようにあるんです。でも制作についてと、ライブについての可能性の広げ方っていうのは全然違う。俺たちは俺たちのありのままで地の自分たちを、背中を見せてやっていきたい。ライブに対してはそういう想いでいますね。だから僕もこんな背中ですけど、いろんな人に見てもらいたいです。聴いた人にとっての何かしらの自信に繋がるような、こういう人間でも張り合っていけるんだ、そこで縮こまったりしないんだっていう背中を見せたいなって思っています。


インタビュー・文/笠原幸乃


1st Single 「TRAP」 Now on sale


ビレッジマンズストア Official Site http://villagemansstore.com/


記事の一覧へ
ライブ情報

ビレッジマンズストア / and more
ビレッジマンズストア『YOURS』リリースツアー

2018/09/24(月)
Live House浜松 窓枠

ビレッジマンズストア
ビレッジマンズストア『YOURS』リリースツアー

2018/10/13(土)
ダイアモンドホール
関連情報