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来年バンド結成15周年目に突入!新作アルバム「僕ナリ」をリリースした鶴にインタビュー

2017/12/13 16:00

来年、バンド結成15周年目に突入する鶴。全会場違うセットリストでライブに臨むなど、アニバーサリーイヤーに向け相変わらずの破天荒ぶり。新作アルバム「僕ナリ」では久しぶりにプロデューサーを迎え、磯貝サイモン氏によってより自然体に昇華された鶴ナリの音が鳴り響く。2018年の年明け。15ページ目をめくる直前の彼らに心境を聞いた。

――アルバム「僕ナリ」を私ナリに聴かせてもらい、振り切るところはおもいっきり、そぎ落とす所はばっさり、そんな印象を受けました。まず磯貝サイモンさんをプロデューサーに迎えた経緯についてから教えて下さい。

秋野:以前「我がまま」というアルバムでプロデュースしてもらった橋口靖正さんに久しぶりにお願いしようと思ってた矢先、彼が急に他界してしまって、トリビュートのイベントでサイモン君に初めて会ったんです。もともと次のアルバムは第三者を入れたいって話をしていて、橋口君には生前サイモン君を紹介するよって言われてたんです。だから最後の最後に橋口君に繋いでもらった感じです。

――磯貝サイモンさんといえば、名古屋では名古屋テレビのマスコットキャラクター・ウルフィのテーマソングを書いてますよ。

三人:へえ〜!

秋野:すごく手広くやられてる方なんですよね。

――そのサイモンさんの手によって、新しい風が吹きましたね。

秋野:吹きましたねぇ(笑)。ここ最近のアルバムは3人だけのセルフプロデュースで、3人で鳴らす鶴の音の完成形みたいなものは前作ぐらいでできたのかなっていうのがあったから、次は広げてくれる人をと。きっとこれまで自分たちが固めて作ってきたものの上に、サイモン君が風を吹かせてくれた。

――とくに着地点が変わった曲は?

秋野:サイモン君には「低気圧ボーイ」「アメニモマケズ」「真夜中のベイベー」「北極星」「バカな夢を見ようぜ」の5曲をやってもらったんですけど、どれも俺たちだけではなし得なかったっていう風がいっぱい吹いてて、とくに「低気圧ボーイ」と「バカな夢を見ようぜ」かな。

――具体的にどのような変化が?

秋野:プリプロから今回一緒に参加してもらって、ワンコーラスのデモしかないところからの展開とかアレンジとか決めていったんですけど、自分たちだけだったら今までこうしてたモノを、サイモン君はこの部分がすごくいいからここだけ切り取ってこっちにくっつけようとか、そういう曲の改造をしてくれたんです。それだけで今までにないフレッシュさがあって。たとえば「低気圧ボーイ」だったら、”恋の始まりは”っていう歌い出しですけど、あれ最初は歌い出しで作ってなくて、サビ#みたいな部分だったんです。でもこれがすごいキャッチーだから、これを歌い出しにしようって。アレンジャーの耳ですかね、そういう所に威力を発揮してくれて。

――「バカな夢見ようぜ」も同様に。

秋野:「バカな夢見ようぜ」は歌詞を書き直してたりとか。タイトルも変わっちゃったくらい。この部分が一番ストレートでこれがタイトルでいいじゃないかって。こねすぎてて、何が言いたいのかわからないって指摘されたんです。

――そういうアドバイスはすんなり聞けるもんなんですね。

神田:聞けちゃうタイプですね。

秋野:けっこう流されるタイプ?(笑)。外からの意見をもらった時に、イイネっていけるようにはしてます。

――笠井さんの楽曲「真夜中のベイベー」なんかはピアノの弾き語りで、ぐっとそぎ落とされていますね。音と言葉がより純粋に響きます。

神田:まさにサイモン君の判断。

笠井:僕デモを作る時ピアノで作るんですけど、デモの段階の音をサイモン君が聴いてくれて、僕の予定では全部楽器を入れるつもりだったんですけど、逆にそのままになったパターンですね。デモのままで完成してるからそのまんまにしようって。じゃあピアノはサイモン君が弾いてくれるのかなって思ったら、自分が弾くことになって(笑)。ピアニストが上手く弾くよりは、つたない感じの方がいいと。

秋野:うまくやっていない不器用感が、鶴というバンドに合っているという判断をしてくれたと思うんですよね。細かいことを完璧にこなせるバンドというよりかは、人間味が見えていた方がよかったりとか。言ってるメッセージもそういうものだったりするので、だから上手さよりも鶴らしさってなんだろうってことだと思うんですよね。

――全曲違うリストで臨んだツアー「All TIME CLASSICS 〜振り返れば曲がいる〜」で、過去の曲を見直したこともアルバムに反映されましたか?

秋野:昔の曲をやると今こういう風に響くんだとか、自分たちも当時より表現できてるじゃんとか。自分たちでもわかってなかったことがあったのでツアー中は新鮮だったんですよね。お客さんがどういう反応でどういうのを喜んでくれるのかっていうのを全国各地で感じたので、その感覚は入ってますね。鶴というバンドがどういう鳴らし方をすればいいのかという。

――「低気圧ボーイ」「アメニモマケズ」「ソウル最前線」「あしたのおてんき」とか、お天気キーワードが多いのも気になりました。

秋野:たまたまなんですよね。曲並べてから多いなとは思ったんですけど。

神田:曲作ってる本人の心境が、晴れたいとか、今日は湿っぽいとか、そういう状態でいるのかなって、俺は察したんですけど(笑)。今までの作品も考えることが結構、反映されるタイプの人だと思うので。

秋野:なんか湿っぽかったのかな(笑)。

――そのわりに「低気圧ボーイ」のMVでは元気にガンガンに走ってますよね。歌っては走り、歌っては走り、しかもワンテイクで。

全員:(大笑)

秋野:最高傑作ができましたね。

神田:下にちっちゃいワイプが出てて、スタッフも走ってるっていう。

秋野:最近いろんな人が長回しやってるのをちょこちょこ見てたんですけど、監督がたまたま他の人の長回しをやって、じゃあ俺らもやってみようかって。じゃあ、何やるか。細かいギミックを重ねて不思議映像にするよりも、全速力で走ろうかって。なんか走ってるイメージだったんですよね。

――一発OKだったんですか?

秋野:3回走りました。

神田:でも最短テイク数ですね。1テイク目がすごくよくてこれでいいじゃんみたいになったんですけど、限界くらいの感じが見たいって、それがいいってなって。

秋野:面白いシチュエーションなんだけど、やってる本人たちは笑いなしねって。やっぱり限界で走ってる感じが、まさに今15周年を目前にまだ全力で走ってますっていうところまでもっていけたらいいよねっていう。そういう意味も含めダッシュだったんです。

神田:おちゃらけたくはなかったんですよね。今でも1テイク目の方が誰がどこを走ってるとか映像としてもバランスはよかったなって思ってるんですよ。

秋野:みんな元気あるし、スピード感もあるしね。

神田:だけど3テイク目のほんとに辛い感じとか、マイクがギリギリ間に合ってなかったりとか、あと最後の方でリップシンクで歌詞間違ってるかとか。

二人:(苦笑)

秋野:そういうのもあって3テイク目の方がリアリティがあるなって。

――気づかされたこともいっぱいあったのでは?

神田:いっぱいあるなぁ。

秋野:アレンジもさることながら、レコーディングに対する姿勢みたいなものも、今回鶴にとっては衝撃でした。けっこう真面目で視野が狭くなっちゃうタイプなんですよ、いい音にしたいとか、ちょっとミスが気になるとか。でも真面目すぎるってサイモン君に言われて。普通にやって普通に上手いから面白くないって。もっとはみ出るとか、その場の空気を詰め込んでやろうよって。

――はみ出ると言えば、以前アルバムでふざけた感じありましたよね。リハーサルの音まで入れちゃうっていう。

笠井:ああ、ありましたね。「ソウルのゆくえ」の時に。

秋野:ああいうのもありますけど、たぶんレコーディングの日というだけでちょっと硬いんですよね。その時点でサイモン君の言ってることから外れてしまうんですよね。もともと持ってるバンドっぽさ、音が鳴ってるだけで楽しいっていう、鶴というバンドはその方がいいという判断。こっちがヤバイやり過ぎちゃったなってくらい詰め込んでようやく外には普通にうつるくらいだから、最初の段階でキチキチやってたら、そりゃ狭い世界になっちゃうよねって。そこがサイモンが吹かせてくれた風で、楽しかったよね。

二人:(頷く)

秋野:クルクルまわる椅子に座ってギター弾いたりとか、それくらいラフでいいよって。

神田:それがめちゃくちゃ演奏しづらいんですよ(苦笑)。単体の音とか聴くと、一瞬リズムよれたなぁとかあるんですけど、全体で音を捉えてる人なんで。

秋野:これから先、自分たちでやるにはまた考えなきゃいけないんですけど、すごくいい影響を与えてくれたなと。

――すでにアルバムの感想が返ってきてると思いますけど、どんな反応をもらいますか?

神田:今回のアルバム好きですっていう、シンプルな感想もらうことが多いですね。

秋野:今作、超イイネとか。

神田:もちろん今までのもいいけど、今作すごい好きですって言われます。

笠井:あとよく一緒にやってるアーティストさんが、鶴、プロデューサー入れてたんだね、安心したって言われました(笑)。

二人:(爆笑)

笠井:急にここまで進化したのは鶴だけの力ではないんだと(苦笑)。ライバルになるんで、なんかそういう気持ちになったと思うんですよね。

神田:渡會将士君ですね。FoZZtoneというバンドの。

笠井:それだけ新しい風が吹いたアルバムが画期的だったんでしょうね。

――「僕ナリ」というタイトルはどのタイミングで決まったんでしょう。

秋野:全部曲が出揃って最後に決まったんですけど。

――「僕なりの愛を」という曲から拝借したわけですね。

秋野:ヒントはそこからもらってるんです。僕ナリって言葉がアルバムを上手く言い表してくれてるなって。サイモン君のおかげですごく自然体で鳴らせたし、気張らずにメッセージを伝えられてると思ったんですよね。同じ背中を押すのでも、ぐいっと引っ張るよりかは、そこにいて行こうぜぐらいの感覚が自然とできてるっていうのがあって。「僕なりの愛を」って曲がどれだけ伝わってるかわかんないですけど、僕らは100%伝え続けなきゃいけないっていうメッセージを込めた歌なので、それが全体の背景にあるかなって。

――ずっと肯定し続けてくれてますよね。

秋野:肯定はし続けてきましたね、僕ナリに(笑)。全部僕ナリなんですよ。今が一番、バンドの熱量と状態がマッチしてる感覚はありますね。

――来年はいよいよバンド結成15周年目イヤーです。突入するにあたり、今年から毎月、鶴ソングNo.1選手権を行っていますが、曲が見事にばらけてますね。これはファンの忖度が…。

三人:(爆笑)

笠井:じゃっかんの忖度は。

秋野:組織票とか入りますね(笑)。

神田:あの企画自体を面白がってくれてるので、それが嬉しいですね。

――選ばれた曲を見て、意外!とか、なるほどなぁとか…。

神田:いろんな”なるほどなぁ”がありますね。そうかそうかっていうのもあれば、忖度ね、っていうのもあり。

笠井:意外だったのは「歪」かな?

――笠井さんが作られた曲ですね。

笠井:嬉しいですけど、全然ライブでもやってなかったので…

秋野:強い想いを感じるよね。この曲に対する愛を。

――これらの曲をどうカタチにするか。悩みどころですね。

神田:そうなんですよね、落としどころをね、探ってるところです。

――たぶんまた新しい試みをされるんでしょうね。「ALL TIME CLASSIC」でも全曲違うセットリストで臨んだりして。曲順間違えたりしないのかなって。

秋野:なんっとか乗り越えましたね。全10本のツアーで、80曲から90曲くらいやったんですけど。

神田:なかなか過酷でしたね。ツアーと言いつつも、「All TIME CLASSICS」という一個のイベントは前からあったので、それをまとめて短期間に10本やったってだけなんです。曲を決めて、がっつり1日リハーサルやって、ライブをするっていうのが毎週でしたね。

秋野:1本ライブが終わったら。次なにやる?ってまたスタジオにがっつり入って本番っていう、それの繰り返しで。

神田:ライブが終わると、終わったーっ!っていうよりは、終わった瞬間、次どうしよ(笑)。

――それを経て、来年春にはいよいよ「鶴15th Anniversary 好きなバンドが出来ました」東西大感謝。3月は東京、4月は大阪、名古屋は!ないんですけど…。

神田:名古屋はどっちも来てほしい(笑)。

――タイトルの意図は?

秋野:僕らが15年間好きな音楽、好きなバンドをお陰様でできましたっていう真っ直ぐな気持ちと、その間に鶴を好きになってくれた、鶴という好きなバンドができたでしょ?っていう、お互いの気持ちをどっちからもあらわしてみました。

――どんなライブになりそうですか?

秋野:まあ、鶴の歴史?「All TIME CLASSICS」で楽曲的な歴史は探ってはいるんですけど、さらにプラスα、たとえば鶴がここまで来るにあたり多大な影響を与えてくれた人に声掛けてみるとか考えてますね。

神田:いろいろやり方はありますね。大きな会場なんで、ここ何年か作ってきた鶴のライブのやり方というか、見せ方を大会場でやりたいなっていうのがあるんですよね。アフロ時代にやってた会場なんですけど、卒業してからはやってないんで。今やりたいことがもっと贅沢に伝えられるんじゃないかなって思ってます。今までの会場では収まりきらなかったパワーを解放してやりたいですね。

――名古屋は2/3、4の「でらロックフェスティバル」で会えますね。

秋野:やることは大きいも小さいもなく同じので、伝えたい熱量をね。名古屋のソウルメイトたちは絶好調ですから。昨日もインストアライブですっごい寒かったんですけど、大盛況で。すんごい人が集まってくれて。

神田:名古屋のソウルメイトの愛はすごい感じるね。

笠井:昔っからだよね。

神田:相性がいいのか、鶴のソウルメイトたちが優秀なのか。

――では最後に、締めくくりとして来年の抱負を。

秋野:今は春の東西大感謝際に向かっていっていますが、でもそこはゴールじゃなくて、全国のソウルメイトたちの力を借りて成功させて、翌年、再来年、また鶴が全国に飛んでいけるようにやっていきたいと思ってるので、まずは名古屋からも集合、よろしくお願いいたします。

笠井:15周年に向けて気合いはバンバン入ってるんですけど、逆に肩の力が抜けて反比例してる感じがあるので、自然体で、人間味がもっと出てくる15周年になるんじゃないかと思ってます。

神田:僕、来年、調子がいいらしいんですよ。ゲッターズ飯田さんに言われたんですよ。あなたは2018年いきます!みたいな。

秋野:いよいよゲッターズ神田になると(笑)。

神田:そっち(笑)。実際どうなるのかわからないですけど、気持ち的にはそういう気合いで1年過ごしたいと思ってるんで、いろんなことがプラスに転がっていく1年にしたいなと思ってます。もしかしたら年が開けて、起きた瞬間から生まれ変わってるかも。

秋野:いや、ぜったい元旦から二日酔い(笑)。


インタビュー・文/深見恵美子

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鶴 Official Site http://afrock.jp/
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鶴 結成十五周年記念「ALL TIME CLASSICS〜47都道府県大会〜」

2018/11/20(火)
岐阜 柳ヶ瀬ants
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