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「聴いてくれる人とのコミュニケーションをもっと密にとりたい」 メジャー初アルバム「eve」をリリースしたCIVILIANのメンバー全員にインタビュー

2017/11/29 17:00


「聴いてくれる人とのコミュニケーションをもっと密にとりたい」


待望のメジャー初アルバム「eve」を11月22日(水)にリリースした、CIVILIAN。改名前のLyu:Lyuとしてのフルアルバム「君と僕と世界の心的ジスキネジア」から約4年半ぶりとなった今作は、改名前後で制作された14曲が揃っている。彼らの過去と現在が詰まった、濃密な歩みを感じさせる一枚だ。「eve」を出すまでの葛藤や、リスナーとより密接なコミュニケーションをとっていきたい気持ちが芽生えた変化を中心に、コヤマヒデカズ(Vocal&Guitar)、純市(Bass)、有田清幸(Drums)のメンバー全員に話を聞いた。


「音楽的にユーザーフレンドリーさを増やすようにチャレンジをした」


――アルバムを出すまでに4年半というのは、相当長い期間だったと思います。この4年半はどうでしたか?

コヤマ:一言では言えないものがあるんですけど、本当に思い返せば思い返すほどいろんなことがありました。前のバンド名であるLyu:Lyuで活動していた時は、たくさんのことが全然上手くいってなくて。当時はもうすでにアルバムを出したい想いがあったんです。実際、そのために曲も書いていましたし。僕らは僕らなりに頑張ってライブを続けていても、書きためていた曲たちが日の目を浴びずに、ずっとどうなるのか分からない状態になってしまった。そういうこともあって自分たちがこのままでいるよりも、何か新しいことをやっていきたい空気がバンドの中でどんどん高まっていったんです。そこから事務所が変わって環境が新しくなって、僕らが出したいものをコンスタントにリリースできる状況が整ったのは1年前でした。ちょうどCIVILIANに名前を変えた頃です。

――CIVILIANという新たなバンド名で、再スタートを切ったんですね。

コヤマ:CIVILIANになってから変わろうと思ったことの一つが、“聴いてくれる人とのコミュニケーションをもっと密にとりたい”っていうことだったんです。Lyu:LyuからCIVILIANに変わる時あたりに、何度かトライはしたんですよ。それでもやっぱり、音楽に引っ張られる部分がものすごく大きいなと感じて。頑張ってコミュニケーションをとる空気をライブで出そうと思っていても、僕らがやっていた既存の楽曲がそんな空気を持っていなかったんですね。排他的な空気を持っていた曲ばっかりだった。だからまず音楽から変わらないといけないなと、音楽的にユーザーフレンドリーな部分をすごく増やすようにチャレンジをしたんです。

――以前は積極的なコミュニケーションが得意な方ではなかったんですか?

コヤマ:そうですね。ライブ中で来ている人たちに歌ってもらったり、手を挙げてもらったり、一緒に手拍子したりというコミュニケーションをとることがなかったんですよ。僕らもあまり得意な方ではなかったですし、そういうのにすごく苦手意識があったからこそ、僕たちは逆のことをやろうと、ひらすら曲を演奏する“そうじゃないライブ”をずっとやってたんです。

――そこから方向転換するのは、かなり労力がいることだったと思うんですが、実際はどうでしたか?

コヤマ:とても大変でした。非常に苦しかったです。特に僕がそのような空気を担っていた中心の人物でしたし、いわゆるパーティーみたいなライブをしているバンドが僕は嫌いでしたね。だから自分がかつて嫌っていたことをする抵抗は、最初ものすごくありました。他人は他人で自分は自分だし、他人の心は覗けるものではないから、その人のことは分かったつもりになっている。だけど、それでも構わないと思ったのが大きいかもしれないです。今までは、相手の心が分からないことに恐怖を抱いていたんです。その反動でずっと音楽をやっていたけど、理解し合えなくて構わないと思えるようになりました。


「繋がったと思える奇跡を、信じたいと思うようになった」


――ライブでお客さんに歌が届いたと思える瞬間を体験してきたことも、関係していますか?

コヤマ:もちろんありました。その恐怖を乗り越えたくてお客さんに対して問いかけてみたら、想像以上の反応が返ってきてくれたんです。例えば、今までやってこなかったコール&レスポンスが入っている「生者ノ行進」が、まさにそうで。“ああ、なんだ、やれば返してくれるんだ”っていう、ファンの人たちに対する信頼が生まれて、すごく勇気になりました。

有田:苦しんでいたのはコヤマだけじゃなくて、僕らも一緒に苦しんでいましたね。昔はコンサート寄りなライブをしていたんですよ。終わるごとに拍手が沸いて、ため息が漏れる、みたいな。挑戦している僕らのことを受け止めてくれる人がたくさん増えて、さらに支えてくれたおかげで強くなったと思います。バンドの変化に対して耐えられる力をくれた人たちが間違いなくいたから、今その成果が出てきている実感はありますね。勇気があれば何でもできるんだなって、変わったというよりも強くなったと思います。

純市:フロントマンのコヤマが自由に楽しんでもらいたいとアクションを取ることによって、手を挙げたくてもどうしていいか分からなくて疼いていた人たちに、俺らから導いていけるものが出せたなと感じています。過去のライブは“ひたすら曲を聴かせる”という武器はありました。でも、今こうやって挑戦していることがもっと形になったら、バンドとして最強になれるんじゃないかって思います。

――コール&レスポンスをやってみて、どうでしたか?

コヤマ:正直言うと、本当に感動的な光景でした。むしろもっと早くやってればよかったなって思ったくらい、みんな一生懸命歌ってくれて。“ああ……よかった!”って、感動しました。

有田:昔の状況を知っている人ほど、その光景が感動的だったみたいでした。

コヤマ:“自分たちがやったって駄目でしょ”とか、“そんなキャラじゃないでしょ”みたいに、勝手に思っていたのもあったんですよね。でも、今はそういうものが全部なくなってる状態なんです。同じものを見てきれいだねって言えたり、ライブを見ていてもみんな同じところで楽しんでくれてたり、それって本当は勘違いかもしれない。でもそうやって繋がったと思える一瞬があること自体、奇跡じゃないかなって。本当は理解し合えているのかという確証があるかはどうでもよくて、その奇跡を信じたいと思うようになりました。

――改めて今の自分をどう感じていますか?

コヤマ:どんなに変りたいと思っても、一人の人間が生きていく上で変われない部分ってあると思うんですよ。だから自分の中では、自分の人間自体が何もかも変ってしまったみたいなことは全然なくて。ただ前よりも自然で自由になった感じはします。本当はやりたかったけど、気が引けてできなかったことに対する壁が、すーっと溶けてなくなったと思います。


「CIVILIANが作る曲は懐の深い音楽であって欲しい」


――ライブだけでなく、曲作りにおいても繋がりたい気持ちを込めていったと思うんですが、そこに変化はありましたか?

コヤマ:以前から僕は曲を作る時に“やるからには”って思うところがあって、とにかく壮大な曲にしたがるんです。どんどん曲が長く、どんどん歌詞も多くなって、一曲で満腹にさせてしまうほどの量を詰め込もうとしちゃうんですよね。それって別に悪いことじゃないですけど、ただCIVILIANとしてユーザーフレンドリーな音楽を作りたい気持ちがあるから、もっとコンパクトにまとめたいと思っていたんです。

――コンパクトにまとめたい、というのは?

コヤマ:単純に言えば、一曲を聴き終わるまでの長さです。例えば、さらっと3分半くらいですぐに一曲が終わるとか。自分がリスナーとして曲を聴いている時に、よっぽどいい曲じゃない限りは長いと飛ばすこともあったなと思ったんです。だから短い曲って、それはそれで聴いてもらえる曲ではあるなと考えるようになりました。メロディーを簡略化したりして、一曲を聴く体験や時間をコンパクトにしたいんです。だんだんそれを上手く実現出来るようになってきたので、蒔いた種が芽を出している実感は少しずつ生まれてきました。

――聴き手が中心にある制作になっていったんですね。それらの曲をどのように受け取ってほしいと思っていますか?

コヤマ:明確に受け取り方を強制する気持ちは全然なくて、ざっくり言ってしまえば“いい曲だ”って思ってくれれば、それでもうOKなんです。限定させずにいろんな聴き方ができる音楽になった方がいいなと思っていて。たとえ歌詞を書いた僕の解釈とは全然違っていたとしても、歌詞一つに関してもこういうことを歌っているのかなって自由で構わないんですよ。その人独自の解釈で曲を聴いてくれれば、それでいいんです。だからCIVILIANが作る曲は、いろんな考えを持った人をすべて受け止められるような懐の深い音楽であって欲しいと思います。

――基本的にコヤマさんが作った曲をバンドで仕上げていくのが、CIVILIANのスタイルですよね。コヤマさんの曲作りの変化は、バンド間のコミュニケーションにも影響はありましたか?

有田:昔と比べたら出しゃばるようになったと思いますね。歌が大事だから聴かせようという姿勢に徹していた時もあったんです。でも今は、やり過ぎなんじゃないかなっていうくらい、歌に負けないようにしようって。ちゃんとドラムはドラムで主張して、歌だけに全責任を負わせない意識を持つようになりましたね。

純市:いい意味でリズムやノリを崩していくのは最近よくやっているので、そこにベースとして寄り添ってプレイをするようにしてます。いつもコヤマから打ち込みでデモをもらうんですけど、そこには仮のメロディーと歌詞もあって、ある程度は完成されている。でも俺らの演奏でそのデモを超えていこうと、スタジオに入っていますね。

――様々なアイディアが返ってくると、3人の結束力も高まっていきますよね。

コヤマ:本来やりたいと思っていたイメージや音像に、取り巻く環境が今やっと追いついてきてくれたことも関係しているかと思います。バンドを始めた時から個人的に思っているんですけど、自分が一人で作ったものをその通りにやってくれっていうのは、バンドでやる意味があまりないような気がするんですよね。自分一人のイメージだけで完成させるのは簡単なんです。でもせっかく人と何かを作るからには、思い描くものとは違うイメージを否定せずに、結果として出来上がったものがよければいい。今では制作を重ねるうちに、いろんなイメージに自分を合わせるのも上手くなってきて、楽しいなと感じてます。


「来てくれた人の顔を全員覚えるくらいのライブにしたい」


――アルバムを携えたツアーは、より密なコミュニケーションが取れるものになりそうですね。

有田:今回のツアーでは、コミュニケーションっていうポイントで新しいことをしようと考えています。自分で言うのもアレなんですけど、僕らのライブってすごくいいんですよ(笑)。僕らはライブバンドなんで、ライブに来てもらえたらアルバムに込めたメッセージが忘れられないものになると思うんで、とにかく来てほしいですね。

純市:今までやってきたことに対して上乗せして、俺らなりの新しい演出とかでも楽しんでもらいたいです。

コヤマ:「eve」だけでなく、CIVILIANになってからの楽曲って、自信を持っていいものができたなと思っています。また、ライブで音楽を演奏するスキルが成長した実感もあります。だから後は、いかにお客さんを楽しませて感動させたり、笑ってもらったり、泣かせたりとか、そういうことができるかだけだなって思っていて。それを全力で実行していきたいと考えているだけでも、ツアーの始まりが僕らも楽しみで仕方がないんですよね。来てくれた人の顔を全員覚えて帰るぐらい、一人一人とコミュニケーションをとって帰りたいです」


インタビュー・文/笠原幸乃


Major 1st Album 「eve」 2017.11.22 Release



CIVILIAN Official Site  http://civi-l-ian.com/
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