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“俺たちが鳴らせば世界が踊る”FUNKISTの約4年ぶりのアルバムは『BORDERLESS』。ボーカル・染谷西郷にインタビュー!

2017/08/31 14:00

“俺たちが鳴らせば世界が踊る”。力強いテーマを掲げた約4年ぶりのアルバムはタイトルが『BORDERLESS』。国境や人種の壁を超え世界各国でライブをしてきた彼らの思いがより明確になり、ビートフルでいて実にエモい。自身のルーツ、世界から得たもの、鳴らすべく音楽についてボーカル・染谷西郷に聞いた。


――『BORDERLESS』というタイトルは、初期の頃にリリ−スしたシングル「BORDER」を意識させますね。

10年前に「BORDER」をリリースした時は僕らの間にある距離や壁を超えたい、超えようという思いだったんですけど、それから10年経って、出会いや別れを経験し、変わらずにいた部分とより強くなった部分ってなんだろうって考えたんです。あとこの2年の間だけでも海外ツアーをいっぱいしたんですね、アメリカでフェスに出たり、ヨーロッパでストリートライブツアーまわって、南アフリカにも行って。その中で泣くとか笑うとかと同じように音楽も共通言語なんだなって。言葉とかを飛び越えてわかり合えてしまうものだという思いが強くなって、世界中で笑い合って歌い合って、見てきた景色を信じてBORDERLESSっていう。

――実際に見てきた景色といえば、「BEAT of LIFE」なんかはフラメンコギターリストであるお父さんの影響もあると思いますが、本場のフラメンコを体感したことも大きいんでしょうね。

うちの父とフラメンコダンサーである宮田の父は、僕らが生まれる前からスペインで修業してた仲間なんですけど、ちっちゃい頃からフラメンコを見てきてるからこそリスペクトも含め僕たちの間ではアンタッチャブルにしてた部分もありました。スペインで本場のグルーブとかノリを吸収したnaotoが日本帰ってからスタジオでベースラインを弾き始めて、“宮ちゃんちょっとのせてよ”ってところから宮田がフラメンコギターを鳴らし、僕がセッションでカンテっていうんですけど、フラメンコの歌のフィーリングをのせたら、懐かしいし新しくて。そのセッションの音を元にして、構築したんです。

――フラメンコギターは普通のギターと違いますよね。

うん、違います。弦の太さとネックの厚さが。クラシックギターともまた違って。そもそも宮田が一番最初に弾いたギターがフラメンコギターなんです、父親の伴奏とかで。今回naotoが弾いてくれたお陰で、今まで出てこなかったビートとかフレーズがうわーって溢れてきて、自分の身体の中にやっぱこのビートってあるんだなって実感しました。

――途中、超高速フレーズに目が点になりました。

はははっ。“(早口で)誰も彼も時の流れ時を止めることも出来ず”のとこですよね。あれもフラメンコの根っこにあるビートなんです。父がギタリストだから指を怪我するといけないのでキャッチボールとかしてくれなくて、遊んでと言うとテレビのCMとかに合わせて手拍子をしてきて、その間に入ってこいってタツタツタツって手を叩く。それが僕にとっての父とのキャッチボールだったんですよね。

――「Diamond」なんかはマラソンチームに向けて作った応援歌だとか。

アタカママラソンっていう世界一過酷ともいわれるレースで、ほぼ毎日、砂漠の中をフルマラソンくらいの距離を走って、ある日は60キロ以上を20時間みたいな。荷物も全部持って、大会から支給されるのは飲み物だけ。チーム全員で完走してチーム優勝したんです。

――選手は音楽が力になったそうですね。

そう言ってくれてました。くじけそうになるとみんなで円になって「Diamond」を聴いてくれてたみたいです。星が世界一キレイなマラソンとも呼ばれてて、歌の最後に“かざした手の中にDiamond”って入れたのは、辛い時に夜空に手を伸ばすと指の隙間から星空がダイアモンドのように光ってるんじゃないかなって。ドキュメンタリー映画として公開されることになって、テーマ曲になりました。

――それこそ染谷さん自身もロックミュージカル『ONE LOVE』に挑戦されてますね。楽曲制作に加え、主演も!

仲間が15年?くらい前かな、日本にまだロックミュージカルというジャンルがなかった頃に、オリジナルのロックミュージカルを作ってロングランさせたいって夢がある、FUNKISTの曲でやりたいって話してくれて、じゃあその時は俺が全部書き下ろしするよって約束したんですよ。それから十何年経って本が書けたって言いに来てくれたので、そこから30曲全部書き下ろし、僕が作った歌を僕に歌って欲しいって言われて、お芝居とか一切やったことないんですけど、挑戦してみようかって。

――出られていかがでしたか?

面白かったです。音楽の現場しか知らずにきたので、役者の人たちがどうやってモノを作っていくのかとか、他ジャンルの人達の本気にも触れられたし。あとバンドは終わらないことを前提に構築していくような、半永久的に上澄みしていうというか、ダメだった所を修正してもっと良くもっと良くが続くんですけど、お芝居は1ヶ月経ったら必ず終わりが来て、終わってしまうことを全力でがんばるはかなさが打ち上げ花火みたいで。一日一日練習が終わるごとに別れの時が近づいていくっていうのが、自分の中では新しかった。

――舞台のテーマ曲になったのが「三日月トリップ」。ヨシロウさんの脱退時期と重なることもあり、彼へのはなむけ曲にも感じます。

そういう意味合いはすごく強かったですね。ヨシロウが辞めることがわかって急遽レコーディングしました。この曲はレコーディングまではしてなくて、ヨシロウが旅立つってなった時に今のFUNKISTをちゃんと残しておきたいなと思い、じゃあ「三日月トリップ」だって。歌詞的にも旅立っていく仲間に対して、当たり前が当たり前じゃなくなって、その大切さに気づけたとか、周りがどうあってもお前はお前でいろっていうメッセージが入っていて、孤独だったとしても空で俺たちは繋がってるんだぞっていう思いがぴったりくる曲だったんで。

――メッセージ性が強いといえば「One Shot」もそう。

母親が南アフリカ人で、人種差別や肌の色の違う人との恋愛も結婚も認められなかった中で父と母が国を出て結婚して僕を生んでくれて、でも子供の頃は生まれてきてよかったのかとか、日本人になりたいって思っても小学校入ると見た目が違うとかで外人とか言われて居場所をなくして。音楽やるようになって、初めてみんなが手拍子してくれたり、歌ってくれたり、初めて自分が生きてていい場所が見つかったっていうか。学校で居場所がないとか、職場でうまくいかなくてとか、同じ悩みを抱えた人たちがライブに来てくれるようになり、ここのライブに来ると自分がいていいんだって思える人たちがいっぱい出てきた時に、はっ、自分が歌うことが誰かの居場所にもなるんだ、音楽ってすげーって思ったんです。「One Shot」はお前にとっての居場所になってやる。それを否定するやつがいるんだったら撃ち殺してみろっていうすごい攻撃的な曲なんです。

――サウンドもジャンルレスで力強いです。

Aメロはレゲエで、ルーツでもあるアフリカの音楽で、サビは宮田に和のメロディを入れてもらって日本のルーツ、子供の時に見ていた世界というか。アフリカに行くと食えずに泣いてる子供たちがいっぱいいて、なんで自分がそうなってるかもわからずに泣いていて、でも日本帰ってくると何も為す術もなく泣いてる母親がいて、で、自分は生まれてきてよかったのか苦悩してるのを自分を愛する人が見て泣いていてみたいな。アフリカとルーツジャパンを1曲の中で表現したかった。

――かたやアコースティックナンバー「No more chang the world」ではパパの横顔が垣間見え、世界を変えると叫んでいた男が真逆のことを歌ってる。

ヨーロッパまわってる時もテロや難民の問題があった時期なんですけど、異国から来る人たちに対してすごく感情的になっていても音楽が届くとみんなが一緒に踊ってくれたり、そうやって世界って変わるんだって。ただ簡単に目の前の世界は変えていけるんだって気持ちを持ちながらも、日本帰ってきて膝の上で眠る娘を見た時に、ああ、でも世界がずっとこのままだったらいいなあって。世界よ変われと世界よ変わるなって、言葉にしてしまうと真逆なんだけど、一周して実はすごく近い所にあって、誰かを愛おしいと思う気持ちみたいなところにあるんだなって。

――根っこは一緒じゃないかと。

日本ではいろんなモノが溢れすぎてて、それを実感するのは難しい。当たり前って言葉が全部飲み込んでしまうことがいっぱいあって、南アフリカ行くと子供たちが家族とご飯食べられるだけですっごい幸せそうで、でも日本では当たり前じゃんって。そこから始まるから、ちゃんとそこに気づくことが大事だなって。いまこの瞬間が実はかけがえのないものだということに。

――他国に行くことで母国がより見えることもありますし、世界からもらったお土産がまた次の創作意欲へと繋がっていく。

教えてもらってることが多くて、南アフリカには毎年子供達に楽器を届けに行ってるんですけど、それも国際支援とか社会貢献とかそういうことじゃなくて、地元で泣いてる子供がいるからなんとかしなきゃって、近所にいたおじちゃんの一人みたいな。その子たちから貰うモノが、実はあげるモノの倍ぐらいあって、それで日本で音楽やれてる部分もすごくあるんで。言葉にはなかなかできないおっきいモノをもらってます。

――お金ではなく楽器。未来を与えているようで素敵です。

いろんなやり方があると思うんですけど、これが僕たちができる方法なんです。失業率が高くて犯罪率が上がっているので、音楽好きになってくれて、それが仕事になってくれたらいいなと。

――芯のある曲が並ぶなか、「Island Carnival」だけはハッチャケてますね。

バカな曲ですよね。今までほぼ一人で曲作ってきて、自分のモードがストイックな方に向いてるなって実感があって。でもライブ考えた時に、理屈なく楽しいナンバーが欲しいし自分も好きだし、アルバム聴いた時にも肩の力が抜ける時が欲しい。けどストイックな方を向いてる自分がそれを作るとちょっと嘘つかなきゃいけないなって思って、ベースのnaotoにバカな曲をオーダーしたんです。そしたらすごいハッピーな曲を作ってくれて、歌詞書いてたら悪ノリが過ぎた(笑)。最後、歌えなくなるまで転調させてみようっていう。

――宮田さんもハスキーな声でがんばってますね。

はははっ、俺が歌うよりアイツが歌った方がいいんじゃないかって。サビは“ラララ”なのでみんなで一緒に歌ってくれたら嬉しいな。

――今回のアルバムはクラウドファンディングで呼びかけているのがまた新しい。

結果的に700人近くの人が参加してくれて。まずアルバムのダイジェスト盤が届くっていう0円のプラン作ったんです。いま発信の仕方が多様化してそれぞれがSNSとかで発信できる時代になってきて、FUNKISTを好きでいてくれるみんなの言葉を頼れたらいいなと思って。僕らの“いいアルバムができました。聴いて下さい”より、FUNKISTが好きな人の“このバンドの音楽、ホントに人生変えてくれるよ”というひと言の方が千倍も届くなと思って、0円プランは動画を送るから、その代わりにあなたのひと言を添えてSNSにアップしてってお願いをしたんです。そうすることで『BORDERLESS』が届かなかったはずの人に届くかもしれない。

――コーラスも募集しましたね。

すっごい面白かったです。東京、大阪、沖縄でやったんですけど、そもそもやろうと思ったのは『BORDERLESS』の持つ意味合いをどうしたら表現できるだろうって考えた時に、一個の曲の中に住んでる場所、性別、年齢とか全然違う人たちが声を重ね合ってるっていうのを作れたら、な、簡単に俺ら繋がれるゼって言えると思って。それでクラウドファンディングを通してコーラスに参加して欲しいって。もちろん皆さんレコーディングって初めてだから最初はすごく緊張してて。

――多くの人たち、しかも未経験者ばかりをまとめるのは大変だったのでは?

音楽の現場って感覚的なことがよくって、昔はプロのミュージシャンは譜面がしっかり読めて指示どおりにできる人って思ってたんですけど、プロの大御所の現場行けば行くほど宇宙語が飛び交ってて、“ベースもっとドゥーン、カッツ、ウンなんだよ”とか。二十歳前後の僕にはどういう意味だろうって思ってたんですけど、べーシストの人が“あ、そっちですか”って弾くとノリが一気に変わるんですよ。これでわかっちゃうのがプロなんだっていう。

――意思疎通が感覚的。

18年やってきてそれがだんだん僕にもわかってきて、言葉とか譜面にならないところに個性があるから、今回レコーディングする時も感情だったり表情だったり、描くイメージをみんなに伝えたんです。それをみんなすっごい真剣に聞いてくれて。“こういうシチュエーションでこういう子がいて、その子に対して俺ら繋がれるゼって、届くかどうかの勝負を今して欲しい”みたいな話をした時に、全員の目の色が変わって、歌った声に気迫とか思いがこもってどんどんコーラスが変わっていくのにまた感動して。出来上がったのを聴いた時にメンバーみんな顔を見合わせて“はぁ〜、できたぁ〜”って、コーラスの声を聴いて完成したのを実感しました。

――その「BORDERLESS」がアルバムのトップを飾るというこだわりも感じます。

“混ざり合う夜明けに 踊り明かせ!”っていう歌詞が入ってるんですけど、今回のアルバムは『俺たちが鳴らせば世界が踊る』をテーマにしてて、MCや言葉で世界を変えるって言うのもちろん大事なんだけど、海外に行くと原語が違うから通用しなくて、でもそこで踊りあえた瞬間に、あ、簡単に繋がれるって証明できたっていう実感がすごくある。だから世界中みんなが踊れるくらいの音楽、それが困難な環境でも争いのある場所にいても、俺たちが鳴らすと踊り出すって環境を音楽が作れれば超ピースフルなんだなって。

――とくに印象深かった国は?

やっぱり南アフリカが自分にとっては大きくて、僕が中学校3年生まで争い合ってた場所なんで。マンデラ大統領が就任してアパルトヘイトが終わりましたけど、それは歴史の話じゃなく僕の人生の話なんです。音楽始めるようになって南アフリカでライブした時に、白人、黒人、日本から来てくれたみんなが肩組んで一緒に歌い合ってるのを見た時に、壁を壊せたっていう。自分の中にずっとあったわだかまりが決壊していったのをすごい感じましたね。

――音楽の力は大きいですね。

すごく感じるのは、大ざっぱな言葉になるけど、子供の時は争い合ってるこの世界が大っ嫌いで、でも音楽やって世界中まわるようになって、ちょっと好きになったっていうか。たった1曲の音楽でわかり合える世界でもあるんだと思った時に、思ってた世界とちょっと違うかもって。

――国によってノリとか違いますか?

たとえばインドだと音階が違うので、コール&レスポンスするとインド風の響きで返ってくるとか(笑)、思ってたのと違うとかいろんな所であるんですけど、最後にはそれを飛び越えて繋がれた瞬間を実感できる。僕が世界を肯定したというよりは、世界中の人が、世界って捨てたもんじゃないゼって教えてくれた感じがします。

――今のFUNKISTを見て、陽子さん(2011年に逝去したFUNKISTのメンバーでありフルート奏者)ならなんて言うでしょう。

あー、なんて言うんだろう。なんか吹いてる気がしますけどね。いろんなことがあったけど最終的にワールドミュージックに強いメンバーが残って、音楽を信じる力みたいなものがすごく強いので、すごくビートフルだしハートフルで、そこが陽子ちゃんの好きな部分で、彼女が一緒に鳴らしてる気がするし、鳴らしてくれてると思います。

――9/21名古屋CLUB UPSETでのライブはワールドワイドになりそうですね。

人種のことや国のことはもしかすると日本で生活してる人にはちょっと遠い物語かもしれないんですけど、でも僕が歌っているのは人と人の話だから、学校で友達と喧嘩したとか、仲間に馴染めないとか、会社に居場所がないとか、夢に向かって一歩が踏み出せないとか、みんな感じることがあり、『BORDERLESS』はそういう人たちの背中を押したり、心に寄り添える一枚が出来たと思うので、ライブは来てくれたらとにかく楽しい、踊らせる、あとはあなたの居場所は絶対そこに作るって思ってます。

――ライブで化ける曲ってあると思うんですけど、今回はどの曲にその予感を。

やっぱ「BORDERLESS」は楽しみですね。あと「V-ROAD」はこの間、サッカーのスタジアムでやったんですけど、6000人の人が一緒に歌ってくれて、ゾワゾワってしました。みんなが歌える曲っていいなって。あと「Time has come」は2年前に作って世界中で披露してきた曲なので、これはみんなで飛びたいな。

――以前、ファンが自前のメッセージノートを次の会場、次の会場へと繋げて最後にメンバーに渡すっていうサプライズプレゼントがありましたね。

あーはいはいはい(懐かしそうに)、ありましたね。教えてもらうことが多いです。今回、名古屋はレコーディングにも参加してくれた二人目のジャイナが参加してくれて、あとDJダイノジさんとI-RabBitsも決まっていて、この4組が揃うのは名古屋だけなので、またそこもジャンルレスでボーダレスです。それぞれライブが凄まじい4組が集まったので楽しみにして欲しいです」。

――ファイナルは東京でワンマン。

ツアーファイナルが恵比寿なんですけど、何年かぶりに挑戦するでっかいライブハウスなので、今回、全国20箇所音を届けにまわるんですけど、ツアーファイナルだけは僕らの街、東京に集まって頂きたいなと。名古屋からは近いと言っていいでしょう(笑)。


インタビュー・文:深見恵美子


New Album 「BORDERLESS」 2017.9.6 Release


FUNKIST Official Site http://funkist.info/

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FUNKIST
FUNKIST tour 2017 『BORDERLESS』

2017/09/21(木)
CLUB UPSET
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