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最高傑作との呼び声も高いニューアルバム「BABEL」について、9mm Parabellum Bulletボーカル・ギターの菅原卓郎にインタビュー!

2017/06/13 15:00

常に日本のロックシーンの最前線を走り続けてきた9mm Parabellum Bullet。現在、バンドサウンドの要である滝 善充が、左腕不調のためライブ活動を休養、多くのファンが今後の動向を見守っていた中で発表されたのが、ニューアルバム「BABEL」である。ライブ活動につぎ込まれていたエネルギーがそのまま作品に反映されたかのような本作。すでにファンの間で最高傑作との呼び声も高い「BABEL」について、ボーカル・ギターの菅原卓郎に聞いた。



まずはアルバム制作のきっかけから教えてください。

「前作の『Waltz on Life Line』ができたすぐ後に、作詞が俺で、作曲が滝で一枚作ったら面白んじゃないかっていうアイデアが、まずポンと出て。実はその時すでに滝はけっこうな数の曲を作っていて、80曲ぐらいかな(笑)。その曲数があればアルバムが作れるなということからスタートしましたね。滝がライブを休むと発表した後だったし、とにかく完璧なアルバムを作るんだというモードになっていました」

滝さんは作曲モチベーションが高い時期だったんですね。

「前作では、滝は自分で納得いく楽曲を持っていくことができなくて、スランプ気味だったんですよ。ただ『太陽が欲しいだけ』とその次に出したシングル『インフェルノ』という曲を書いたら、スランプから抜け出して。そこからはザクザクと書けるようになって。デモを30曲一気に作ったらしいみたいな話をスタッフから聞くこともあって、ホンマかいなみたいな(笑)」

それだけ曲数があると、アルバムの選択肢もたくさんあったのでは?

「それがアルバムを作りましょうという時には、一択になっていて。“ダークでヘヴィなもの”、コンセプトアルバムのように曲を選んで一枚作ろうと。そうするんだったら、歌詞も統一された世界観のほうがいいよねという話になっていきました。雰囲気が統一された歌詞というのはどういう風に書けばいいのかなと考えた時に、手塚治虫の『火の鳥』という漫画が浮かんで。タイトルは同じなんだけど、時代は異なる話がいくつもあって、狂言回しで火の鳥がずーっといる、そういう仕組にできないかなと思ったんですよ。そのアイデアを滝に言ったわけじゃなかったんですけど、彼が書いた歌詞のイメージに『“火の鳥”みたいな』と書いてあったんですよ。それで、これは大丈夫だ、と。わりと俺と滝はそういうことがあって、考えていることがだいたい通じる。足がかりとしてそこが出発点にあるなら、あとは思うようにやるだけだなとなりましたね」

ダークでヘヴィというキーワードが出ましたが、その方向性はどういったきっかけで?

「前作はメンバーがそれぞれ作詞作曲したり、自分たちをプロデュースという感じで。より可能性を広げるというか、よりカラフルな状態を目指すというものだった。今回は逆に一色にするような作り方。同じ赤でも、赤という色のなかで濃淡を付けるというか。できるだけ深い色。そこをベースにしたものを作ろうと」

歌われているテーマは違いますが、不思議と統一感がありますよね。

「今までだったら似たような話とか言葉は、できるだけ他の曲には使わないようにしていました。今回は同じようなものを書こうと思ったわけではないけど、自然な流れで出てきたのなら、全部同じでいいやと使ってしまおう、それが統一感につながっていくはずだと。それこそNUMBER GIRLみたいに“冷凍都市”と何度も言うとかね」

イメージをいかにふくらませるかというのは、今作の歌詞の大きなポイントのように感じました。

「タイトルに『火の鳥』が入っていたり、『ロング・グッドバイ』という曲名はレイモンド・チャンドラーという人が書いた小説で村上春樹が翻訳した小説。『ガラスの街のアリス』は2つ話がくっついていて、ポール・オースターの『ガラスの街』と『不思議の国のアリス』。そんな話はもちろんないんですけど、どっかで聞いたことがあるような、なにかと同じタイトルでもいいやと。それがイメージを広げてくれる気がしたので」

話をうかがっていて思いますが、今作はライブでなく、本当に作品作りに集中した印象ですね。

「そうですね。今作は『9mmの得意技がつまってる』とよく言われるんだけど、そのハードルが今までより2段も3段も高くて。作曲した滝はそれを自覚していて、今まではアルバムを作る毎にひとつ階段を登る感じだったけど、最初から2段飛ばしみたいなものを投げてしまったんだよなぁと言っていて(笑)。これは挑戦だなと」

一発録りでレコーディングしてきたこれまでを思うと意外ですが、仕上がった音を聞く限りは、バンドに合ったやり方に感じました。

「言ってみれば、自分たちでお題を出してやるってことだと思うんですけど、すごくやりやすいなと思って。それは歌詞にしろ、曲にしろ。滝は自然と曲が生まれる人だから、いろんな方面に曲が広がっていきがちだし、放っておいたらいくらでもできちゃうんですけど、そこにコンセプトやテーマを与えることで、筋が通った曲の集まりにできるんだなぁと」

それは歌詞も同じですか?

「すっごい散らかった曲だけど、歌詞でまとめあげてほしいと、たまに滝にも言われるし(笑)。ネタを書き溜めていたこともあったんですけど、それはだいたい使わないんですよね。実際に使うのってその時に生まれてきたもので。曲を聴いたら景色が浮かぶので、それをそのまま書こうと。浮かんだ風景にぴったりくる感情、気持ちは一体なんなんだろうというのを、自分が体験したもののなかから引っ張り出していって、当てはめて書くんですよね。そこからもう一段階あって、歌ってみないとわからないことも多いんですよ。面白いんですけど、アレンジが完成系に近づけば近づくほど、歌詞ができやすくなるんですよ。だんだんくっきりしてくるっていうか」

バンドと歌のバランスでは、本作ではひとつの完成形にたどり着いたように感じました。

「歌って楽器の一部ではあるけど、やっぱり言葉でもある。何を歌っているかわからない、ではもったいなさすぎるとずっと自分は思っていて。どんなに激しいバンドサウンドでも、なぜか歌が聞こえるということを、9mmはちゃんと目指してやってきた。10年間ずっとそれを目指してやってきて、わりと最初からできていると言えばできてたんですけど、今は完全に9mmでしか実現しないバランスで、それがおきてるんだなと思います。そういう手ごたえはあります。あと、とても日本のバンドだなと思います(笑)。世界のどの国にも生まれないだろうなっていう、かなりユニークなアンサンブルだと思います。良くも悪くもですけど。王道ではないけど、最終的に歌がドンとあることで、みんな歪さを気にしないんですよね。いろいろカモフラージュされた歪さがたくさんあると思います」

タイトルは最後に決めたのですか?

「最後ですね。何個か案を出しました。曲のタイトルから引っ張ってきたんだけど、重量感、完成度の高さ、歪さとかも、全部表現している言葉だと思うんですよね」

偶然だと思いますが、ブリューゲルの「バベルの塔」が日本の展示会にやってきますね(笑)。

「行かなきゃいけないですね(笑)。もちろん偶然ですけど、アルバム発売タイミングで展示会のビジュアルが街に並ぶというのは、なんかうれしいですよね」

うまく物事が進む時って、そういう偶然が積み重なるものですよね。

「もうひとつ面白い話があって。滝が『I.C.R.A』っていう楽曲ですごいノイズを出しているんですけど、弦にガムテープを貼って剥がすとすごいノイズが出て、それを録音してるんですよ。僕はそのガムテープ奏法を知らずに、歌詞に“ガムテープ”という言葉を入れたもんだから、なんで知ってんの?みたいな話になって(笑)。そういう話が続くと、いい偶然が起きてるぞっていう感覚にはなりますね。ただ面白いのは、俺はガムテープを貼ってて、滝は剥がしてるんだよね(笑)。

アルバムとは別軸になりますが、9thシングル『サクリファイス』も発売になりますね。こちらはTVアニメ『ベルセルク』第2期オープニング・テーマ曲です。

「前回の第1期オープニングだった『インフェルノ』に続いて、今回の『サクリファイス』も描き下ろしました。今回で2回目だし、もともと好きな漫画で少なからず影響を受けた作品なので、もうすでにその世界観で何曲か書いているなっていうのが正直なところで(笑)。ベルセルクの曲だけど、9mmの新曲にも聴こえるような、そんなバランスを目指しましたね」

この楽曲やシングル『インフェルノ』をアルバムに収録しなかったことで、より「BABEL」の世界観や、バンドがやりたかった絵が見えた気がしました。

「シングルを入れるとそこに目がいってしまうというか。そうじゃなくて全部が新しい曲で、ひとつの固まりで『BABEL』というアルバムを作りたい。曲調的には合うと思うんですけど、ちょっと違うんだよっていうことを言いたかったんですよね」

最後にアルバムを再現するホールツアーについて。バンドにとってはひとつの挑戦となるツアーですよね。

「ギタリスト2人をサポートに迎えてやります。名古屋は武田将幸(HERE)と三橋隼人(HERE)の2人ですが、滝がライブステージにいないっていうのを、同じことができそうな人で埋めるんじゃなくて、別のやり方で完成度を上げたり、面白いものを見せたいなと思っていました。だから2人入れて、いつものメンバーの立ち位置も少し変えて。今しかできないことがきっとあるはずなんですよね。アルバムは出したかったし、出すからにはライブをしたかったし、そこにはどんな形態のバンドがいてもいいだろうと。日本ではすごく珍しいかもしれないけど、そんなこと気にしなくていいんじゃないかなと思いますね。あとは練習するだけですね(笑)」

インタビュー・文:阿部慎一郎


■Release info!
7th Album 「BABEL」 Now on sale


■Live info!
〇TOUR OF BABEL
2017/06/11(日) 神奈川県民ホール 大ホール [神奈川]
2017/06/18(日) 神戸国際会館こくさいホール [兵庫]
2017/06/25(日) 日本特殊陶業市民会館(ビレッジホール) [愛知]

〇菅原卓郎「SORO SORO SOLO TOUR」
2017/07/14(金)渋谷CLUB QUATTRO
2017/07/16(日)梅田CLUB QUATTRO
2017/07/22(土)名古屋CLUB QUATTRO

9mm Parabellum Bullet Official Site http://9mm.jp/
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ライブ情報

9mm Parabellum Bullet
9mm Parabellum Bullet TOUR2017 "BABEL on Life Line”

2017/10/13(金)
松阪M'AXA
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