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新しいステージへと繰り出したCharisma.com、初のフルアルバム「not not me」。MCいつかの「私」に迫るインタビュー!

2017/03/16 18:00


昨年11月のOL引退宣言を経て、新しいステージへと繰り出したCharisma.com。初のフルアルバムは曲ごとにジャンルを超えたクリエーターたちとコラボし、縦横無尽に世の中を斬っていく。タイトルは《not not me》。「私じゃない、じゃない」、つまり私。さらに磨きのかかったリリックとラップを刻む、MCいつかの「私」に迫ってみた。

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――ミニではありますが、これまでにもアルバムを3枚リリースしているので、初のフルアルバムと聞いて少し驚きました。それにしても《not not me》はずいぶん進化してますね。

「今までとは違うものにしたいというのは前作の《愛泥C》から思っていて、いろんなプロデューサーやアーティストの方々にお願いしたいというのは決まっていたんです」

――「私じゃない、じゃない」。この遠回しな言い回しは、実にいつかさんっぽい。

「アルバムタイトルは先行です。まだ5曲くらいしかできてない段階だったんですが、考えた結果が《not not me》でした。すぐに肯定するというよりも、否定から入るみたいなのが自分の性分に合っているというのもあって。ノットとかディスという言葉が好きなのもあるんですけど、私であるというのを表現するとしたら、こうなりました。それ、私のことだっていうよりも、私じゃないって言うことで、周りの人には、いやお前のことだけどね、って思われるみたいなことも多いかなって」

――〈#hashdark〉に関しては、映画「暗黒女子」のオファーがあったんですか?

「いえ、もともと関係なくデモを作っていて、タイトルも違ってたんですけど、気に入ってもらえて使って頂きました」

――女子のドロドロした裏側があぶり出される物語の世界観を、曲が一層盛り上げてくれてますね。この手の話、好きそうですよね。

「はい、だーい好きです(笑)」

――ミュージックビデオは暗黒は暗黒でも深夜という暗闇。人気のない街を闊歩してますね。

「寒かったんですよ〜。人がいない時間を狙って、深夜から朝方まで撮影してました。監督さんからのリクエストはカッコいい感じ。衣裳を何回も着替えるのは当日思いついて、決めました。一日で取り切れなくて次の日の夜中も撮ってましたね」

――1曲ごとにサウンドプロデューサーを変えたことについては苦労しましたか?

「そこはとくに苦ではなかったんですけど、アルバム制作には追われました。年始に今年はどんな年にしたいか考える暇もないくらいのスケジュール感で、今回一番大変でした。前作までは同じプロデューサーさんで、馴染みの方と一緒に曲作ったから勝手がわかってて、悪く言うとルーティーンみたいにマンネリ化してたんですけど、今回そこから変えたいっていう思いがあっていろんな方にお願いしたので、打ち合わせをした後のやりとりとかにも時間がかかって」

――それが功を奏して色彩豊かなアルバムになってますね。

「作っていくうちに、これアルバムとしてまとまるのかなって思ったことはあります。違うサウンドプロデューサーだから、曲が違ってくるのは当たり前なんですけど、曲順とかもどうしようかなみたいな。でもいい感じにおさまったのでよかったかなって」

――たとえば〈Lunch time funk〉はOLのランチタイムをテーマにして、今までの流れを踏まえつつ、これまでにない軽妙洒脱な展開になってますね。

「これは郷太さんにお願いしてて、作った時は去年の夏前(OL引退宣言する前)だったので、OLってランチタイムに大きな財布かかえて、ちゃっちゃっちゃって行くイメージだよねって、そういう曲作ったら面白いと思うよみたいな話の中から生まれたもので、サビとかは郷太さんの妄想が入るんです。ご本人も歌ってます」

――OLさんが財布を持ってランチタイムへと繰り出す姿は、ミュージックステーションで星野源さんとNEWSの加藤シゲアキさんが萌えポイントだとおっしゃっていたのを思い出しました。

「でも実際にはピンクのお財布抱えて、テ、テ、テなんて、たぶん男の人の妄想ですよね。カフェ♪ランチ?みたいな感じじゃなくて、私の周りでは、あそこ安くなってるから今、がっつり食べたいねみたいな(笑)」

――ひと昔前のビッグバンド風の『婿においで』もカッコいいですよね。

「私もトラックを聴いた時に思いました。今までやったことないし。ただカッコいいとは思ったんですけど、Charisma.comでこの曲を書くんだって考えた時に、普通にカッコいいラップをのせてもなぁって」

――なるほど。だから歌い出しが“トイレの便座”(笑)

「はははっ。その温度差みたいのを出したくて」

――また一方では、ラップをおさえた〈メキメキmore〉というナンバーも。

「歌ってもらうことを前提に書いたんです。自分で自分を勇気づけられる歌っていうのがテーマです。このCDを買って下さった方が、ちょっと落ちてる時にこの曲を自分で歌って、はい、自分でがんばろうってなれるような。人に歌ってもらって元気でますっていうのって、元気出せよみたいに、そういうつもりでアーティストの方はやっているだろうけど、私はそういうつもり全然なく、自分で歌って自分を励まして、明日からまた自分自身の力で頑張れるみたいな応援ソングにしたかった」

――歌い方もずいぶん違いますね。

「はい、それ苦戦しました。お局ロックを書いて下さった岩渕マサルさんの曲なんですけど、この曲はもうちょっと違う歌い方をしてほしいっていう要望もあって。『違うんだな〜、違うんだな〜』って言われながら、わかるけどできないんです〜って、けっこう時間かかりました。新境地。普通に歌ったら『声がな〜、老けちゃったみたいなんだよな〜』て言われたんですから、失礼なっ(笑)」

――Cibo Mattoとコラボした〈YAJIUMA DANCE〉では英語の歌詞も入っていて新鮮ですね。

「英語のパートは美保さんが歌ってるんです。ゆかさんにトラックを作っていただいて、美保さんのパートは美保さんの歌詞で、私がラップをのせてます。とくにこういう内容だよってお伝えせずに美保さんに聴いてもらってのっけてくれたことで、ただ社会を批判してるだけの曲じゃなくなったっていう。ラブが生まれた。レジェンドさすがだなって」

――ベースとラップだけの〈classic glasses〉もまた渋い!

「チャレンジでした。ハマ君(ハマ・オカモト)も初めてだって言ってました、クリック聴きながらやるの初めてですって言いながら、こんな感じでいいんですか?って」

――どういうプロセスで、シンプルかつカッコいい仕上がりになっていったんでしょう。

「それはハマ君マジックですね。ベースとラップだけで曲を作りたいんですって話をさせてもらったら、そうしたらこういう感じの曲が面白いですよねって話があり、とりあえずテーマ、パンチラインを先にいただけるとベースつけやすいと言われ、自分でビートを打って、ドラムを聴いて、テーマなんだろうって考えました。いつもトラックを聴いてからテーマを考えるから、自分で打ったビートでテーマとか言われても…って悩んだ挙げ句、ハマ君も私もメガネかけてるなって、じゃあメガネの歌にしようって。色眼鏡ですけど(苦笑)」

――ジャケットも今までと違いますね。

「アルバムの内容が変わったので、アルバムのジャケットも違う方にお願いしたんです。評判がいいです」

――ほんとに刈り上げてるんですよね?

「はい、刈ってます。でも自分でカリスマドットコムって入れてるの恥ずかしいので、すぐにそれも刈りました。これ難しかったと思います。ヘアメイクさんもやったことないって言ってたんで」

――このアルバムを経て、違う「私」に出会ったりしたんじゃないですか?

「〈意地easy〉を録った時に、普通にラップしてたんですけど、プロデューサーがALI-KICKさんという元々ラップをされている方で、『ここの今ハメてたフロウのラップ、一歩前に言葉をもってくると、もっとレイドバックしてカッコよくなるよ』みたいな指導とかも受けて」

――ラップスキルが磨かれたってコメントされていたのはそういうところなんですね。

「そうなんですよ、ある程度かたまってきちゃって、クセみたいのが出てきてたのはわかってたんですけど、どこにそういうクセが出ているのかはイマイチわかってなかったんで、具体的にここでこうするといいよみたいのを教えてもらい、そこは新たな発見だなって」

――ラップは歌ってみるとほんとに難しさがわかりますよね。

「どこで息継ぎすんの?ってブレスの位置もあるので。私の歌、とくに言葉数多いから、歌いづらいと思います。〈サプリミナルダイエット〉」なんかは息継ぎを考えずに言葉を詰めにつめこんでますし」

――だからこそ歌えると尊敬される(笑)。

「達成感ありますよね。中高の時から拍手喝采されてました(笑)。ラップパートってみんな飛ばすから、あえて歌うと『おお〜っ』ってなる」

――いつかさんはさらに踊ったりしますからね。

「サプリミナルダイエットみたいなものはもう書かない(笑)。自分で自分の首をしめて、ひーひーいっちゃってますからね」

――昨年のライブは初っぱなからサプリミナルで踊ってましたよね。昨日のクアトロもイケイケでしたか?

「今年初めてのライブだったんですよ。前半はさぐりさぐり、トークを長めに。で、〈#hashdark〉を初めて披露しました。反応よくて、カッコいいって言ってもらえて嬉しかったです。名古屋は相変わらず、最前列には元気な女の子たちがいっぱいいますね。いて欲しいですし、最近は男性より女性の方が多くなりましたね」

――4/1の名古屋E.L.L.はどんなライブになりそうですか?

「具体的にはとくにないんですけど、アルバムが今までと大いに違うので、必然とライブスタイルも違ってくるうと思うし、どんな可能性が広がるかまだちょっとわかんないかな」

――「やらせるライブ」は変わらず?

「いや、そこも多分おさえ気味で。観て聴いて楽しんでもらえるみたいな。MCも(口にチャックするジェスチャー)。見せて煽って上げるみたいなのから、ちゃんと音を聴かせるみたいな方向でライブができたらいいなと思ってはいます。いつも思ってるんですけど、つい喋っちゃう。MCはあんまり考えてないから長くなっちゃうんですよ。あといじってたら楽しくなっちゃって」

――OLとかエレクトロとかいう肩書きを取っ払ったことでより自由になれているとかは?

「いや。そもそもOLであったことも、エレクトロヒップホップユニットとか言われていたそのジャンルであったことにこだわりはなく、あんまり意識はしてなかったんです」

――「残業コール」はどうなるんでしょう。

「OL卒業宣言した時に、残業コールはなくなりますと伝えてあり、それに変わるものを新たに募集してます」

――東京では女性限定のトークイベントも開いてますね。

「はい、やりました。6月と12月に。徹子の部屋を意識して、いつかの部屋なんですけど、女性の入場者だけで悩みを聞いて、笑いに変えるみたいな(笑)。名古屋でもやれたらいいですね」

――年齢を重ねるにつれネタにしていた周りの環境や悩み事が変わり、発信するものも変わってきてるのでは?

「表面的な悩みを歌やネタにしてきてはいたんですけど、根本が今まで見えていなかっただけで、実際、根本はみんな一緒だなって。不安っていう要素が、それぞれの悩みに大きく影響している。根本はそれだなと。漠然とした不安みたいなものを抱える、そういうお年頃って誰にでもありますから。《not not me》もそうなんですけど、〈#hashdark〉〈意地easy〉〈メキメキmore〉など、その不安を見えるカタチで歌詞をつけたっていうのが今までと違うところかもしれませんね。直球で『なんじゃそれ』ってディスるわけじゃなくて」

――カリスマとしてはどんな時期?

「今度のツアーでどうなっていくのか先が見えてくるのかなあって気はしてます。それこそ付けてもらった肩書きもいらねえって言っちゃったわけだし、カリスマドットコムとして試されてる時期ですね。負けませんよ、プレッシャーには強いので。楽しみにしててほしいです」

インタビュー・文:深見恵美子

Major 1st Full Album 「not not me」 2017.3.22 Release


Charisma.com Official Site http://official-charisma.com/
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Charisma.com
Charisma.com ワンマンツアー2017

2017/04/01(土)
E.L.L.
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