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自分たちを疑い変化し続けてきた彼女たちは、今年5周年を迎え、より純粋に音楽と向き合っていた。ハルカトミユキにインタビュー!

2017/02/15 14:00


奥深くに眠る真実を紡ぎ出すハルカの歌声と、その魅力を最大限に引き出すミユキのキーボード。12か月連続で新曲を発表した2015年、47都道府県をめぐる最中にアルバムをリリースした2016年。自分たちを疑い変化し続けてきた彼女たちは、今年5周年を迎え、より純粋に音楽と向き合っていた。

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――振り返ってみて、変わったこと、変わらないことは?

ハルカ「結成して8年、インディーズデビューして5年ですけど、昨年リリースしたアルバム《LOVELESS/ARTLESS》の前が2年9ヶ月空いてて、その時もすごい考えたんですよ。自分たちが歌ってきたこととか見せてきたものとか」

ミユキ「去年の12月に運命前夜ってライブをやらせてもらって、その時はインディーズ時代の楽曲だけで構成したんですけど、楽曲の幅は広がったなって思いましたね。当時は言葉に寄り添ってどちらかというとミドルテンポの曲が多かったんですけど、この1、2年でライブで盛り上がるために作ったり、挑戦的に曲を作りましたね。ライブも昔はお客さん棒立ち状態で終わっていくっていう、それはそれでかっこいいとは思ってたんですけど、私が学生の時は盛り上がる曲に影響を受けて救われてきたというのがあって、やっぱり盛り上がる曲も必要だと気づけました。そこからは両方のバランスがとれたライブができるようになって、そこは大きく変わったことだと思ってます」

――昔の曲をいま歌うと違いますか?

ハルカ「(しみじみと)違いましたね。私の場合はあんまり歌に対して嘘がつけないタイプで、その時々で思ったことを書き、感情で歌ってきたので。そうやって二十代前半から後半にかけて人間がすごく変わっていく時期にがっつり歌い続けてきたので、今は人間は一緒だけど思ってることは当時とは全然違って、じゃあ改めて昔の楽曲を歌おうってなった時に、すごく思い出すんですよ。ああ、こんな風に思って歌ってたなあとか、こんな風に思って書いてたなって。昔の自分に共感しつつ今の自分の感情も入ってるから、さらに違う曲になって、きっと聴かせられるし、自分も歌えてるんじゃないかって。変わってる部分と変わってない部分を、歌ってみて感じましたね」

――2015年の野音(日比谷野外音楽堂)から一年、2016年の野音は手応えを感じたのでは?

ハルカ「一昨年の10月に野音でフリーライブをやって、一年で日本全国を回りもう一度帰ってきますと約束したんですけど、去年はそこから始まった2016年だったんです。そこに向かってやってきて、合間にアルバムを作って、2015年も必死でしたけど、去年はその必死でやってきたものをちゃんと実にして届けなきゃいけないし、もっと知ってもらって、もっと聴いてもらうにはどうしたらいいかと考え続けた一年でもありました」

ミユキ「そもそも2015年の野音って、そんなに大きな場所でやったことなかったので、無謀すぎる挑戦だったんです。自分たちでチケットも配布したりして。そういう経緯で立ったので、地に足つかずともとにかく頑張って、ほんとにたくさんの人が来てくれたことに感動した景色だけは覚えています。そこを超えなきゃいけないということで、次の野音に向けて進化していかなきゃって。最初は全然変われなくて焦ったんですけど、47都道府県回ってるうちに、どこに行っても観てくれるお客さんがいて、私たちの音楽に救われましたとか、そういう言葉を直接聞けたことで、自分の変化とか気にする前に、音楽を楽しむとか、聴いてくれる人たちに少しでも届けられるような演奏をしようと向き合い方が変わりました。改めて自分がなんで音楽をやっているのかわかってきて、そこに気づけたことで新しい作品もできたと思うし。正直に言ってしまうと自分たちが進化しているのかどうかは二回野音やった今でもわからないけど、でも、確実にお客さんとの距離は近くなったとは言えるなと」

ハルカ「どれだけお客さんが来てくれるのか、開演するまでわかんない状態だったので、精神的にも追い詰められたまま立ったステージで、それはそれで二度とない経験で…、でも次はちゃんとショーとしてみせたい気持ちはあって、日本全国回ったおかげで、自分の中で余計なものがなくなったというか、こだわっていたものがどうでもよくなったり。こういう感情いらないとか、大事なことがよりわかりやすくなり、結果的に書くものもそぎ落とされ、歌い方も、コミュニケーションの取り方も」

――47都道府県ツアーで得たものは大きいですね。

ハルカ「《LOVELESS/ARTLESS》ではミユキが半分作曲したんですけど、今までは私が作詞も作曲もしてきたので、それがすっごい変化なんですよ」

ミユキ「たぶん47都道府県ツアーがなかったらできなかったと思います。そこで自分にとって音楽をやる上で大切なものが見えたから。ハルカトミユキって強いのは言葉で、歌声でどこまで伝わるかが重要だと思ってて、ハルカがそれをやってるから私はそれを支えればいいやって変にかっこつけてたんですけど、そこはいらないってことに気づけたんです。私がハルカの言葉と歌声を強く届けるにはどうしたらいいかと思った時に楽曲ができたんです」

ハルカ「明らかに出てくる曲が変わって、これなら大丈夫って、やっと私も頼れた。二人で作る時はほとんど曲先で、ミユキが上げてくれたものに私が詞をつけていたんですが、その経験もほとんどなくて、最初はすごい難しかったんですよ。ただ自分にないものをミユキが出してきて、いいものにしないといけないって意識で書くから、自分一人で書くよりも広がりもできるし、《LOVELESS/ARTLESS》でやっと二人のアルバムができたと思っています。それはきっと聴いてる人にも伝わったんじゃないかと思って。実際、ミユキと共作っていうのが嬉しいって言われて、こっちも嬉しかったし。私はずっとダークな歌詞や言葉使いで歌ってるけど、絶対希望を歌いたいと思い続けてきて、今回さらに希望というのが自分の中で明確になって、それが書けたなって思ったんですよ。だから救われたとか言われるとすごく嬉しいですね」

――以前にも、表層的でない希望や期待を表現し、共感を得たいとおっしゃっていましたけど、それは揺るがないですね。

ハルカ「絶望の先にしか希望はないってなぜかずっと思ってきて、それは自分が音楽を聴いていて、励まされたくないと思っていたり…。慰められたくないのに、なんでがんばれとか言うんだろうってずっと思ってたんですよ。そうじゃなくてもっともっと言葉って深いところにあって、深いところに人の感情はあって、だからこその歌なんじゃないかって思ってて。口で言えないことだから歌にしたっていうことが歌のカタチとして一番好きだったから、じゃあそれを自分で歌いたいって歌い始めて…。根本にあるのは期待とか希望で、でもそれを言えないっていうのが何重にもあって、誰にも言えなかったけど歌で言ってくれてる。それが歌で救われることだと思っています」

――短歌を作っていることと繋がってるような気がします。

ハルカ「私はそういうのが好きなんでしょうね。短歌もたった三十一文字で表現しなきゃいけないっていう、その縛りがあるのが人間だみたいのがたぶんあるんですよ。なんでも自由に言えるのは楽かもしれないけど、でも本当の心理はそこじゃないから。形式的にも縛られてて そこに閉じ込めるみたいな。そこから感じたこととか、爆発するのが好きなんでしょうね」

――言葉を重ねるほど、逆に真実から遠くなることもありますからね。

ハルカ「作詞はタマネギの皮を剥いてくみたいな作業で、最初に出した言葉がタマネギだとしたら、どこまでも剥けて、最後の最後に芯のところにある言葉に辿り着くっていうプロセス、そんな感じがして。曲書く時に短歌も詠むんですけど、エッセイにも影響されますね。詞がタマネギの最後のかけらだったら、エッセイはタマネギのまんま。そこから作者の伝えたいことを探し出すのが面白くって。それを膨らませて表現するのがエッセイの面白さで、自分が書く時もたった一言が欲しいのに何行も書いたりするんです。そうすると思ってもない言葉が出てきたりして。穂村弘さんとか中嶋らもさんとか、大槻ケンヂさん、いしいしんじさん、ミュージシャンが書く文章が好きですね」

――そうやって紡がれるハルカさんの言葉で、ミユキさんが感化されることもあるんじゃないですか?

ハルカ「なんか一個ぐらい、言えよ(笑)」

ミユキ「うふふふっ、具体的にこれはっていうよりかは、自分が作ったメロディに関しては言葉ってのっけやすいと思うんですけど、とくに私は洋楽のメロディに影響されるのでどうしても英詞で替え歌を唄うんですけど、すごく日本語にするのは難しいと思ってて。そこを詰めてつめて言葉にしてしまうのはホントにすごいなと思いました。とくに〈奇跡を祈ることはもうしない〉っていう曲は、隣で苦労しているのをまじまじと見てきて、一節一節がすごく短いAメロに、そぎ落とされた言葉を入れるのはすごいなって。これからもたぶん思ってもいないようなことを投げかけた時に、思ってもないものが返ってくると思うんで、自分も突き詰めなきゃいけないと思いましたね」

――ミユキさんがインスパイアされるのはやっぱり80年代のニューロマンティック?

ミユキ「シンセポップは大好きです。カルチャークラブの来日公演行って思ったんですけど、歌詞が暗いし戦争反対とか攻撃的なんだけど、でも音楽はすごくポップじゃないですか。ポップな音楽に攻撃的な歌詞をのせてるっていうのはすごい破壊力があるし、どちらかというと、鋭いこと言ってるものの方が好きなんだなって。そこはハルカトミユキにも繋がってるんだなって」

――今年は5周年のアニバーサリーツアーがあり、名古屋は2/18 SPADE BOX。どんなステージに?

ハルカ「セットリスト的にはベストセットで、最近の曲も初期の曲も、まあ、ずっとやってきた大切な曲を中心にやろうと思ってて。ライブの見せ方は変わってきてるので、昔の曲をバンドライブでやったときに、また違った見せ方ができると思ってるし、純粋に楽しんでもらえると思います」

ミユキ「盛り上がる部分と、言葉で感動してもらえる部分の、両方を見せられると思っています。5周年だからといって落ち着かずに、新しい一面を見せられるライブにしたくて、だからいま新曲にトライしようと思ってるんですけど」

――またダイブしちゃったり(笑)。

ミユキ「(目を見開いて)以前、名古屋でやった時にすごく距離を感じちゃったことがあったのに、この間の47都道府県ツアーの時は異様なほどの盛り上がりが起きて。お客さんが本当に熱くて、そこにすごく感動してしまってダイブをしちゃったんですよ(笑)。嬉しくてテンション上がっちゃって。お客さんがどう反応してくれるかは自分たちにかかってるので、2月も熱い夜になるように」

――お一人率が多いのは頷けますが、男女比率は意外にも男子の方が多いですよね。

ハルカ「歌でいったら女性が共感するかなって思ってたんですけど」

ミユキ「女の子は隠れてます」

ハルカ「年齢も性別もバラバラで、不思議な時がありますね、同世代の男の人がいたり若い女の子がいたと思えば、お母さんみたいな方が一人で来てくれていたりとか、垣根をこえてますね」

――ライブスタンスは変わらないですか?

ハルカ「歌を唄うことでいっぱいいっぱいで、歌を唄うことでしか表現できませんってスタンスできたから、MCとかパフォーマンスとかいろいろありますけど、とにかく歌に100%込めて、あとは何もできなくてもいいと思っていて、そこで観てくれる人が感じてくれればいいとずっと思ってきたんですけど、最近はちょっと変わってきて、やっぱそれでも楽しんでほしいなって。そう思えるようになったのは変化かもしれないですね。歌の軸はありつつも、ちゃんとコミュニケーションとれて、楽しかったって思えるようにしたいと思ってますね」

――バックに文字が降っているような、言葉を押し出した演出はすっごく素敵でした。

ハルカ「ライブでも言葉は大事にしたいので。ライブだと聴き取りにくかったりもするじゃないですか。でもライブだからこそ、そこ聴いてほしいってのはあるから。それこそ語っちゃってもいいかもしれないし、ふふふっ。その場で言葉を感じてほしいと思ってます」

――とくにハルカトミユキにとって野音は特別な場所だったんでしょうね。

ミユキ「魔物が棲んでます」

ハルカ「屋外は何が起きるかわからない感じがあって、突然雨が止んだりとか(笑)。偶然でも歌とリンクしてくれてる今って感じがありますね。アニバーサリーツアーは47都道府県ツアー、野音を経ての一発目のバンドライブで、見せられるものが変わってると思うので、そこは是非観てほしいです」

――ハルカさんは昨年、劇団東京マハロの舞台にも挑戦してますが今年は?

ハルカ「今年もやれたらいいなとは思ってます。舞台とは限らないですけど、お芝居は平行してやりたいですね。やる前と後ではかなり変わったと思います。まず役者さんの恥の捨て方ってすごいなって(笑)。不安定なものが面白いって教えてもらったんですけど、それってライブでも確かに言えるなって思って、完璧に作り込んだものより、アドリブが一番面白いっていう。エチュードっていう即興演劇みたいのをやったんですけど、お互い相手をグラグラにした状態の時に出てきた言葉が一番面白くて、それをあたかも初めて聞いたようにやるのがプロなんですけど、歌も何回もおんなじ歌を唄ってるけれども、その瞬間の歌は一度しかないじゃないですか。そこで、あ、ミスるとか、もっとこう歌わなきゃと思うよりは、不安定な方が面白いと思ったんですよね。それって恥を捨てるとかさらけ出すみたいな部分と繋がるなあと思って」

――ミユキさんは観に行かれましたか?

ミユキ「行きました行きました、全然違いましたね。最初の公演でハルカがいじめる役で、なんかこう…、舞台がシュールで」

ハルカ「ん?シリアスね(笑)」

ミユキ「うふふっ、そう、重たい感じで、いじめられてる子がミユキって名前で(笑)。でも全然違う人だなって観てました」

――今年も二人の化学反応が楽しみです。

ミユキ「今年は1月末にハルカの大好きなバックホーンの山田将司さんとライブやるんですけど、そういう対バン的なものはいくつかできたらいいなと思ってます」


(1/13 インタビュー・深見恵美子)


ハルカトミユキ Offical Site http://harukatomiyuki.net/
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